日本の政治を理解する上で 響堂 雪乃著「略奪者のロジック2」は大変参考になる。 近年稀に見る名著であり、全国民必読の書と言えるだろう。以下、一部引用 __________________すでに国庫財源の枯渇から、低所得者の国民保険料が大幅に引き上げられる事態となっているのだが、日々10円単位、1円単位で生活費を切り詰め、ギリギリの暮らしを送っているところにそのような仕打ちを受けるのであれば、もはや生きていく気力すら失ってしまうだろう。世界保健機構の算定基準において、ニホンの自死者は厚労省発表の300%を上回るペースで推移しているのであり、おおよそ世界トップの自殺率だ。つまりセーフティネットの撤廃という行政暴力によって、イラクやアフガニスタンなど戦闘地域を圧倒的に上回る数の人々が殺されている。 直言するならば、社会資本を根こそぎ外国人に引き渡することによりインセンティブ(成功報酬)を得るという目論みであり、つまり連中のうち誰一人として国民の福祉や生命を守ろうなどとは考えていない。どのように社会が荒廃しようが、あるいは戦争国家が構造化されようが、支配勢力に与する多国籍企業の役員、テレビ局や新聞社の社員、国政・地方議員や公務員だけは安定給与と福利厚生さらには資産が担保される仕組みなのであり、おおよそ支配階級と一般国民の二項対立は究極に激化しているのだと思う。 2013年の参院選挙では前年の衆院選でプログラム改竄が疑われた集計マシーンを再使用したのであり、また政権のステークホルダー(利害関係者)がその運営企業に資本参画するというデタラメであり、さらには野党第一党が検察による国策捜査とメディアバッシングにより実質の解体状態なのだから、はなから国民に選択肢など不在なのであり、この国の代表民主制度は二重、三重に殺されている。これはもはや、正常選挙のため国連軍の監視を要請する第三世界の様相だろう。 長期不況に陥った最大要因とは、多国籍企業化した日本経団連の要請により派遣業務のポジティブ・リスト(非正規就労が禁じられた16の職種)を無効化し、労働者の40%近くを非正規に貶め貧困化させたことによるのだ。そのような「人間の物象化」(労働者の奴隷化)による需給ギャップを解消することなく、経済システムを正常化することなど不可能だろう。 これほど国民が疲弊しながら多国籍企業の約60%に法人税免除が継続され、さらに消費税率の引き上げにより国防費100%以上の金が輸出還付金として彼らに付与されるわけだ。そのうえ自由貿易(TPP)により食糧自給権も関税自主権も、つまり国家主権が解体されるのであり、我々の体系は新植民地主義という「帝国」の版図に飲み込まれようとしている。 クズは自民党だけに限らず、補完勢力である与野党の主要者もほぼ全員が支配グループの飼い犬であり、彼らの関心事は国民利益などではなく、対価報酬と地位の確保であることは語るまでもない。むしろそれは「権力が腐敗しているのではなく、腐敗そのものが権力である」という人間集団の普遍原理であり、そのような非協力ゲーム的な社会本質が、我々を「ナッシュ均衡」(政治的選択性の喪失)に貶めているのだろう。 外国人投資家が労働者の非正規化を推進し、解雇規制を緩和し、多国籍企業群とそのステークホルダー(利害関係者)である富裕層に累計212兆円規模の税優遇を付与した挙句、生活保護という最後のセーフティ・ネットを取り払うなど、社会資本配分は機能不全であり、完全に狂っている。全ては市場原理主義のテクストに従い、整然と進捗しているわけだ。しかし、これは憲法に規定された生存権の否定であり、つまり「貧乏人は金持ちのために死ね」ということではないのか? ○市場原理主義は福祉国家の解体にあたり、その障害物となる民主的獲得物の一切を取り崩し、制度基盤を弱体化させる。レオ・パニッチ (カナダのヨーク大学教授) 政権与党とは、不正選挙あるいは捏造世論によって編成された権力ユニットである。彼らがTPP加盟による国家主権と経済市場の譲渡をミッションとし、民意や国益の実現ではなく、米国を触媒とする多国籍企業の利潤最大化を目論んでいることは明らかだろう。つまり清朝末期にロスチャイルド率いるジャーディン・マセソン商会の窓口として、国家資本を海外勢力に売り飛ばした「買弁」となんら変わりがないのだ。 景気回復のため本来的には正規雇用を義務化し、非正規労働者が不当に搾取される月間2.5兆円の賃金を所得化させ、中間層の復権を目論まなくてはならない。しかし、ヒエラルキー(身分階層)の固定化は多国籍企業化した日本経団連の要求項目であり、国政議員らはこれの法制化によって億円規模の献金を授与されているのだから、中間層の復権による経済の正常化など実現できるわけもないだろう。 ____________________ れいわ・山本太郎の掲げる旗印は、「反貧困・フラット税制の破壊・人間尊重の回復・不条理の根絶」であり、それは取りも直さず「新自由主義(弱肉強食、グローバリズム)」の否定に他ならない。 過労死・過労自殺、年間2万人を超える自殺者・50万人を超える自殺未遂者・飢えた子ども・貧困の母子家庭、単身の貧困世帯など、生活者の悲惨は新自由主義にもとづく格差拡大政策の結果であり、労働者の奴隷化・福祉の切り捨て・貧困蔓延政策の結果である。 生活費を極限まで切り詰めることを余儀なくされた経済的弱者にとって、お金ほど大切なものはない、それは、生存の危機に繋がるからである。そのような経済的弱者をさらに崖っぷちへ追い込もうとするのが新自由主義勢力の目論む消費税の増税である。だから消費税の廃止こそが数千万人にも及ぶ経済的弱者を救う最も基本的・根源的な政策であり、政治課題なのである。 ●2012年、日本経団連の米倉弘昌会長は、「成長戦略の実行と財政再 建の断行を求める」と題する提言を発表した。これによると消費税率の19%引き上げ、法人税率の25%引き下げ、さらに優遇税制である「研究 開発促進税制の拡充」とTPPへの加入参加が盛り込まれている。しかし財源として社会保障費の年2000億円ペース削減を要求しているのだから、権益のため社会弱者を犠牲にすることは明らかだろう。(上掲書) しかし、経済界と癒着する連合幹部は自民党を訪れて10%への着実な増税を訴えている。そして庶民の首を絞めようとする連合に頼り切る野党は、庶民の苦しみよりも連合や経済界の思惑を優先しようとしているのだ。経済的弱者から税を毟り取っておきながら経済的弱者により厚く配分されないのであれば、それは悪質な詐欺でありペテンである。庶民であり、経済的弱者である生活者・有権者が支持すべき政策と政党は、明らかだろう。消費税は、廃止以外にないのだ。 >消費増税の着実実施を=連合が自民に要請2019年05月31日18時22分 https://www.jiji.com/jc/article?k=2019053100928&g=pol 自民党の岸田文雄政調会長は31日、党本部で連合の相原康伸事務局長と面会した。相原氏は、今年10月に予定される消費税増税の着実な実施と軽減税率制度の「廃止」などを盛り込んだ要請書を手渡した。岸田氏は要請内容には言及しなかったものの、「経済・社会の活性化はオールジャパンでしっかりと考えていかなければいけない」と強調した。 消費税率10%への引き上げに関し、連合が社会保障の持続可能性を重視する立場から賛成するのに対し、立憲民主党や国民民主党は延期を求めている。連合と両党の立場の違いが、夏の参院選での支援態勢に影響する可能性もありそうだ。 ・・・ _
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