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2023年6月29日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/259236
新エネルギー車の普及が著しい中国で、中国メーカーがプラグインハイブリッド車(PHV)を積極投入している。これまでは電気自動車(EV)に注目が集まっていたが、EVの航続距離への不安が根強いことに加え、補助金の打ち切りで割高感が強まったEVからの回帰の流れが生まれ始めている。(石井宏樹)
中国の新エネルギー車 中国政府はEV、燃料電池車(FCV)、PHVをほかの車と区分。補助金や規制を通じて生産・販売両面で優遇している。2022年の中国の新エネ車の販売台数は前年比93%増の688万台。全体の販売台数の4分の1を初めて超えた。
◆新たなSUVを続々…吉利がPHVで攻勢
中国浙江省杭州市に本社を置く吉利グループは昨年11月のPHVの中型スポーツタイプ多目的車(SUV)に続き、今年5月にも新たな中型SUVを発売。今年中にさらにもう1車種を発売する予定で攻勢をかけている。
吉利の広報担当者は「EVは高価なため、消費者は完全な電動化に懐疑的だ。エンジンと組み合わせることで電池を小さくでき、航続距離の不安も取り除ける」と利点を強調する。
吉利はEV専業の米テスラや、自ら電池を製造するBYDと比べ、電池のコスト競争で不利だ。広報担当者は「私たちには長年、PHVをつくった経験があり、モーターやエンジンを内製できる」と説明。新たなハイブリッド技術を開発し、エンジン製造のノウハウを新エネ車の強みに変えようとしている。
初期のPHVは充電速度や航続距離で不十分な点が多かったが、「今では100キロをモーターのみで走れるPHVもある。新しい技術を好む中国の消費者を満足させられる」という。
◆うまみも需要も薄れたEV、急伸するPHV
PHV躍進は数字上でも明らかだ。中国の業界団体によると、今年1〜4月の新エネ車販売台数は前年同期比36%増の184万台。内訳を見ると、EVは125万台で全体の7割を占めるが、伸び率は19%にとどまった。一方、PHVは58万台と台数ではEVに及ばないが、増加率は94%とほぼ倍増した。
昨年末で新エネ車への補助金が打ち切られたため、消費者にとって高価な電池を大量に搭載するEVは価格上の強みが薄まった。テスラなどEV大手が値下げ攻勢をかけたことで収益が悪化し、メーカーにとってもうまみは減りつつある。
EVはこれまで政府から環境対応を求められるタクシー会社やネット予約タクシーの運転手らが顧客として買い支えてきた。しかし、タクシー需要が飽和状態になり、EVの販売増加の余地が小さくなっている。一方、ガソリンも使えるPHVは航続距離の不安が少なく、通勤や旅行などで一般消費者の根強い支持を集めている。
◆政府の規制も追い風、激化する競争
政府は2021年、自動車メーカーへの新エネ車規制を改定。PHVに有利な内容となり、メーカーにとって開発のメリットが増した。関係者は「EV一辺倒では脱落する会社も出かねないと政府が危機感を持っている」と推測する。
こうした背景の中、吉利のほか、BYDや長城汽車が5月に相次いでPHV中型SUVを発表。価格帯も似通っており、熾烈しれつなシェア競争が展開されている。
新車の発表ラッシュに沸いた5月、長城汽車は突如、BYDを当局に告発したと発表し、市場の注目を集めた。長城側は「BYDのPHVは気体状の汚染物質の排出に関して国の基準を満たしていない」と主張した。BYDはすぐさま声明で「長城側の調査方法が不当だ」と批判。PHVの成長のパイを奪い合う激しい競争が予想外の場外戦に発展している。
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