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文大統領が突然、日韓関係改善に積極的になった理由。アメリカの圧力と経済失速/BUSINESS INSIDER JAPAN・msnニュース
李敦熙
2019/10/29 04:45
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e6%96%87%e5%a4%a7%e7%b5%b1%e9%a0%98%e3%81%8c%e7%aa%81%e7%84%b6%e3%80%81%e6%97%a5%e9%9f%93%e9%96%a2%e4%bf%82%e6%94%b9%e5%96%84%e3%81%ab%e7%a9%8d%e6%a5%b5%e7%9a%84%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%90%86%e7%94%b1%e3%80%82%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%81%ae%e5%9c%a7%e5%8a%9b%e3%81%a8%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%a4%b1%e9%80%9f/ar-AAJuKsG?ocid=iehp#page=2
© Getty Images / Alex Wong10月に入り、文在寅大統領はこれまでの強行姿勢から一転、日韓関係の改善に積極的になった。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の日本に対する姿勢に変化が見られる。10月24日には李洛淵(イ・ナギョン)首相が安倍首相と会談。文大統領の対日姿勢は軟化したのか。
文大統領は10月18日、就任後初めて各国の大使らを青瓦台(大統領府)に招いてレセプションを開催した。
日本の在韓大使である長嶺安政氏も出席。文大統領は長嶺大使夫妻とは他国の参加者より長い、約2分20秒の間会話を交わした。大統領夫人である金正淑氏も長嶺大使夫人の手を10秒間握りながら親しく挨拶を交わした。
翌日、韓国の各朝刊は一斉に、文大統領と長嶺大使が挨拶を交わす写真を1面に掲載。朝鮮日報は「文大統領が笑顔を浮かべ長嶺大使と握手をしている」というキャプションを付けた。中央日報は、「文大統領が日本の高官とこのような笑顔を浮かべながら明るい表情で挨拶を交わす姿は久しぶり」と評価した。
「私の意思を必ず伝えてほしい」
10月23日首相夫妻主催による晩餐会で挨拶をする安倍首相。この翌日、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相と会談し、文大統領からの親書を受け取った。© Getty Images / Du Xiaoyi/Pool10月23日首相夫妻主催による晩餐会で挨拶をする安倍首相。この翌日、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相と会談し、文大統領からの親書を受け取った。
徴用工・輸出規制・軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の3大懸案で凍り付いた日韓関係に最近、新しい動きが見られる。わずか1カ月前までは、両国首脳だけでなく、高官、国会議員などが相手国に向かって暴言まで放っていた関係とは明らかに雰囲気は変わっている。
こうした中、韓国の李首相が一連の即位の式典に参加するために10月22日から訪日した。24日には、安倍首相と会談し、文大統領の親書を手渡した。
親書で文大統領は、「日本が新しい令和時代を迎えたことについて祝い、これを契機に韓日関係も未来志向的な方向に転換できることを願う」としながら、「近い時期に会って相互の関心事について議論することを希望する」という意思を伝えたと発表された。
文大統領は訪日前の李首相と青瓦台で会い、「今回の訪日が韓日関係改善の転換点になることを希望する」という意思を明らかにした上で、「安倍首相に私の意思を必ず伝えてほしい」と付け加えたという。
文大統領の即位の礼の参加を打診
即位正殿の儀には各国首脳や王室などが参列。韓国からは李首相が参加した。© Getty Images/Kazuhiro Nogi/Pool 即位正殿の儀には各国首脳や王室などが参列。韓国からは李首相が参加した。
即位の礼に伴う訪日に先立ち、実は、李首相は秘密裏に10月初旬にも訪日している。これは早急に日本との関係改善を望む文大統領の強い意向だとされる。李首相はその際、安倍首相の側近らと接触、日韓首脳が早い時期に会って懸案問題を決着させ、両国関係を未来志向的なものにしたいという意思を伝えたという。
この時に李首相は、一つの提案を日本側にしている。
韓国政府関係者はこう証言する。
「文大統領自らが即位式典に参加し、それを契機に2018年9月以来の韓日首脳会談を開く問題を日本側と深く論議したが、日本側の反応が消極的で実現できなかった」
日本側が提示した前提条件のハードルが高く、韓国側がクリアできないことから、日本側が首脳会談を断ったという。
GSOMIA問題の解決迫るアメリカ
文政権が態度を一変させた背景には、トランプ大統領など米政権の圧力があると言われる。© Getty Images / Alex Wong 文政権が態度を一変させた背景には、トランプ大統領など米政権の圧力があると言われる。
10月初めごろから、文大統領はさかんに日韓関係の速やかな改善のために、日本側に秋波を送っている。反日大統領として知られる文大統領の豹変は何を意味するのか。
理由は2つある。
ひとつめは両国関係の改善を求めるアメリカの強い圧力があることだ。
文大統領は9月22日から5日間、ニューヨークを訪問した。表面的な理由は、国連総会での演説だったが、本当の理由はトランプ大統領との首脳会談のためだった。当初、米朝実務者会談が予定されていたので、文大統領はトランプ大統領を説得し、なんとしても対北朝鮮への経済制裁を解除させ、南北関係改善の契機にしたいという思惑があった。
しかし、米側の実務者は韓国側に、「米韓首脳会談ではGSOMIA問題も必ず論議しなければならない。この問題に対して、トランプ大統領は強い不満を抱く可能性も排除できない」と言ってきた。GSOMIA問題が解決されないと、米韓関係全般に悪影響が出る可能性まで警告したという。
米韓会談後に一転して修復に
11月22日に期限が切れるGSOMIA。北朝鮮のミサイル対策のためにも、日米両国は破棄を再考するよう求めている。© South Korean Defense Ministry/Getty Images11月22日に期限が切れるGSOMIA。北朝鮮のミサイル対策のためにも、日米両国は破棄を再考するよう求めている。
これを受け、韓国側は急遽、徐栫iソ・フン)国家情報院長を訪米させ、米韓首脳会談の議題の事前調整作業に入った。この場で徐院長は、「韓日関係改善のために、韓国側は積極的に努力するので、今回の韓米首脳会談の議題にGSOMIAは入れないでほしい」と懇願したという。
徐院長はもし今回、アメリカ側がGSOMIA問題など日韓関係に一切言及しなかったら、韓国は米韓首脳会談後、日本との関係改善に積極的に取り組むと約束した。
結局、米韓首脳会談では事前調整の通り、GSOMIA問題は一切論議されず、トランプ大統領も記者会見で日韓関係への言及を避けた。アメリカの態度によっては、維持してきた韓国の強い「対日自尊心」に傷がつくかもしれない瞬間だった。
その後、韓国政府はアメリカとの約束通り、日本との関係改善に積極的に乗り出している。徐院長は10月初めに密かに訪日し、北村滋・国家安全保障局長と会って、日韓首脳会談の開催や会談実現に向けたGSOMIA問題の解決など、早急な両国関係改善のための方策を提案した。
韓国のある外交筋は、日本との関係改善を急ぐ理由として、「韓国側が先に終了を宣言したGSOMIAを原状回復させろというアメリカの圧力が強い」と明かす。
法相スキャンダルで状況一変
文政権は法相周辺のスキャンダルによって支持率が急落。2020年春に予定されている総選挙の戦略変更を余儀なくされている。© Getty Images / Chung Sung-Jun 文政権は法相周辺のスキャンダルによって支持率が急落。2020年春に予定されている総選挙の戦略変更を余儀なくされている。
文大統領が日韓関係修復を急ぐもう一つの理由は、文大統領と与党「共に民主党」の政治的で戦略的な計算の結果である。
韓国では2020年4月に総選挙(国会議員選挙)が予定されている。与党の民主党は、総選挙で過半数以上の議席を獲得しなければ、文政権の後半を安定的に運営できないという危機感を抱いている。
当初は総選挙必勝のために戦略的に「反日」の構図を持ち出した。つまり、民主党支持者は「反日」で、第一野党の自由韓国党の支持者は「親日」だという二分法的ポピュリズム論理で国民を二つに分断したのだ。
文政権と民主党は常に日本を攻撃、゙國(チョ・グク)法相の事件が起きる前まではこの戦略は相当に効いた。
しかし、8月に始まった「゙國事件」がまるで津波のようにすべての大きな課題を飲み込んでしまった。
「経済が厳しい」と大統領
経済の低迷という深刻な課題を抱える文政権。今後、日本に対してどう出てくるのだろうか。© Getty Images 経済の低迷という深刻な課題を抱える文政権。今後、日本に対してどう出てくるのだろうか。
韓国経済は悪化の一途をたどっている。失業率は増え自営業者や企業の経営も悪化。経済成長率は2.0%の水準まで落ちた。グローバル金融危機後の2009年(0.7%)以来の最低成長率だ。
10月17日、文在寅大統領は緊急閣僚会議を主宰し、「経済が厳しい」と告白する状況にまで至った。
経済の低迷により、文大統領の支持率も就任後最低の39%(10月中旬、韓国ギャラップ調査)まで急落。文大統領への「不支持」の理由としては、「経済問題」をあげる回答が最も多かった。
経済問題が文大統領の緊急課題として浮上したと言える。来春の総選挙の最大の争点は、日韓関係でも南北関係でもなく、経済問題になる可能性が高い。「反日」か「親日」かという問題ではなく、国民はもう「生計の問題」しか関心がない。
青瓦台と民主党も、総選挙の戦略を経済問題に修正している。そして経済回復のためにも日本との早急な関係改善が急務と判断をしたと見られる。
朴槿恵(パク・クネ)大統領のスキャンダルによって、国民の「キャンドル・デモ」で誕生した文大統領。11月9日は任期5年の折り返し地点になる。
支持率下落で苦しむ文大統領が、果たして日本との関係改善を通じてこの危機を乗り切れるかを韓国国民は今、見守っている。
李敦熙:1988年、ソウル五輪大会組織委員会の記者に。その後、読売新聞ソウル支局、朝日新聞ソウル支局の記者を経て、現在、時事インサイド編集局長。
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