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(L'Indo-Pacifique, théâtre de lutte d'influence entre les États-Unis et la Chine: RFI)
http://www.rfi.fr/asie-pacifique/20190611-indo-pacifique-lutte-influence-etats-unis-chine-australie-inde-japon
米国|中国|ドナルド・トランプ|習近平
インド太平洋、米中の影響力を掛けた闘いの舞台
記者 ティルタンカール・チャンダ
発表 2019年6月11日・更新 2019年6月11日21:57
2017年、米大統領アジア歴訪の際のドナルド・トランプ米大統領と習近平・中国主席。
REUTERS/Damir Sagolj/File Photo
インド太平洋は追い風に乗っている。この語句はこれまでのアジア太平洋を言い換えたもので、最も広義の概念においては東アフリカの沿岸部から南北アメリカ大陸の西海岸に及ぶ安全保障上の連続した空間を意味する。この地域は米国が長年支配していたが、台頭する中国の野心により往年の均衡が破られるのが見える。
インド太平洋という概念は近年、アジアの地政学的変化を扱う会議では避けて通れないテーマになっている。2019年もこの例外でない。アジアの安全保障専門家・高官が出席して毎年開かれる大規模会合・シャングリラ対話では、今年(5月31日〜6月2日)は米中貿易摩擦の激化を背景に、自国の「インド太平洋」戦略の詳細を説明に来た米国が会議を支配した。
「インド太平洋地域は、わが国の優先的な戦略上の舞台だ」と、米国のパトリック・シャナハン国防長官代行は強く主張した。新たなペンタゴンの主はこのフォーラムを利用して、「どの国もインド太平洋を支配できない」ようにするために、アジアに新たな安全保障の秩序を確立するというトランプ政権の野心をはっきりと表明した。「どの国も」とは?中国のことだ。
パリからパペーテへ
毎年開かれるアジア安全保障フォーラムにおいてインド太平洋という概念を守り、その価値を高める。このフォーラムは5月31日から6月2日までシャングリラ・ホテル(シンガポール)で、地域諸国の防衛相が出席して開催された。
©ROSLAN RAHMAN/AFP
シャングリラ・フォーラム終了直後の6月4日、フランス国防省の付属シンクタンク・軍事学校戦略研究所(IRSEM)がパリで国際会議を開き、フランスと外国の研究者が集まった。出席者たちは「インド太平洋地域の新たな戦略的問題」についての自分たちの研究と考察を発表した。
このテーマは、太平洋人間科学院の後援で今回はフランス領ポリネシアのパペーテで開催される討論会「インド太平洋と一帯一路:新たなグローバル戦略」の際に、アジア太平洋の地政学研究者たちによる議論の中心になる。
この地域に対するフランスの研究者・政治学者たちの関心の高まりは、この地域におけるプレゼンスの強化というパリの戦略と無関係でない。シンガポールのシャングリラ・フォーラムにおいてはフロランス・パルリ国防相がこれを強調した。これに先立ち2017年、マクロン大統領が豪州訪問の際にインド太平洋の基本原則に関する重要演説を行い、このテーマについて自身の考えを述べている。
海についての概念
「インド太平洋」という語句の流行を理解するためには、先ず地政学的現実の観点からそれがどの範囲に及ぶかを問うべきだろう。「インド太平洋とは、かつてのアジア太平洋にインドを加えたものだ。インドは台頭しつつある大国で中国に対峙している」と、CNRS[国立科学研究センター]名誉上級研究員で南アジアの地政学専門家ジャン−リュック・ラシーン氏は説明する。
「しかし、『インド太平洋』という複合語の『インド』がインドの国ではなくインド洋を指すことを最初から明確にしておかないと、読者を誤らせるだろう」と、研究者は付け加える。実際、この語句は海についての1つの概念から形成されている。この海は、インド洋と南太平洋の海域、そして、オセアニアと東南アジアを取り巻く水域、特に安全保障上の連続体を形成する南シナ海を範囲とする。
インド洋と太平洋の相互依存関係という概念の父は本を正せば安倍晋三・日本首相で、2007年に彼がインド国会の演説でこれを表明したのが始まりだ。日本首相は、17世紀のムガールのある皇子が2つの海洋の「ダイナミックな結合」について著述した、『2つの海の出会い』[La confluence des deux mers; ムガール帝国皇太子ダーラー・シーコーの著作のようです。正式な邦題は分かりません:投稿者]という書物に着想を得たことを示しつつ演説を終えた。
ヒラリー・クリントン、安倍晋三、トランプ政権
この言葉が戦略についての辞書に正式な加えられるためには、今後10年待つ必要がある。その間、経済の活力・経済成長・技術革新の主要な焦点と国際社会から認識されている、この地域の安全保障上の脆弱性に注意を払わねばならない。
この地域は全体として天然資源が豊かであり、また、世界貿易のための枢要な寄港地となっており、インド・日本・豪州・米国など地域の多くのプレーヤーが数々の利益を持つ。特に南シナ海に軍事インフラを置く中国に対して自国の利益を守るために、この主要民主主義4カ国は、クアッドまたは「4カ国戦略対話」の名で知られる安全保障フォーラムの下に結束した。法の支配と航行の自由に基づく秩序を守ることがこのフォーラムの目的だ。
「残念ながら、クアッドは実際には離陸しなかった。それは恐らく外交において参加各国が互いに選択を共有していないためだ」と、ジャン−リュック・ラシーン氏は主張する。「それでもやはり、戦略的地政学においてインド洋と極東はいまや単一の総合体だと考える政界人や軍高官たちにより、インド太平洋の概念は一般化した」と、その研究者は続ける。
インド太平洋に言及したのは、ヒラリー・クリントン氏が2010年。彼女はバラク・オバマ氏の国務長官として、「インド太平洋という池」の海上交通路が世界貿易にとってどれだけ重要かを主張した。また、2017年にも安倍晋三政権が「自由で開かれたインド太平洋」の確立を呼びかけた。オーストラリアが2013年版防衛白書においてこの語句を始めてテーマにしている。それでも、米国国家安全保障戦略2017年版においてこの地域を優先地域に昇格させたことにより、これを基本原則に変えたのはトランプ大統領の功績だ。
優先行動圏域
この新たな基本原則により、インド太平洋地域は米国の外交政策における「優先圏域」とされ、今年のシャングリラ・フォーラムではパトリック・シャナハン米国防長官がこの説明に来た。彼の演説は、この地域における中国の拡大主義政策と、アフリカと欧州における同国の影響力の強化を目的とした「一帯一路」計画を強く非難したことにより、メディアのトップ記事になった。米国側はこの計画を、「死の罠」("death traps")に擬えた「債務の罠」(英語で"debt traps")という造語で表現した。
シャナハン氏は演説の中で、アジアで起こった変化を考慮した証拠として、2018年5月から米国太平洋軍(USPACOM)を米国インド太平洋軍という呼称に変更したと述べた。ウォッチャーたちによると、太平洋とインド洋の結びつきの強まりを考慮に入れたこの呼称の変更は単に象徴的なものでない。その活動範囲は米国の太平洋西海岸から西洋の辺縁部にまで拡大する。米国太平洋軍前司令官ハリー・ハリス大将が用いた見事な比喩を引用すると、「ハリウッドからボリウッドまで」。要するに、ペンタゴンの主によると、この戦略的監視区域では、軍人370,000人・航空機2,000機・艦艇と潜水艦合わせて200隻が米国と同盟国の利益を守る。
まさにこの対立的な米国流のアプローチが、アジア太平洋における同国のパートナーたちを不安がらせている。マライズ・ペイン豪外相はインド洋の平和と自由交通が同国にとってどれだけ重要かを主張しつつ、「対立が米中関係の決定的な要素になることを望む国は私たちの間では1つもない」と、ニューデリーで毎年開催される地政学会議・レイジーナ対話で明言している。
喉元のナイフ
米国人たちが支持するこの対立的なアプローチについて、「東南アジア諸国もまたあまり快く思っていない」と、IFRI[フランス国際関係研究所]アジアセンターの研究者であるセリーヌ・パジョン氏は説明する。「これらの国々は中国に強く依存しているため、大国中国との間に力関係を持ち込むことは難しい。さらに、これらの国々の一部は米国と軍事同盟を結んでいる。」「米国が中国かを選ぶために喉元にナイフを突き付けられることを彼らは望まない。それは分かる」と、研究者は付け加える。
安倍晋三氏の日本、ドナルド・トランプ氏の米国、ナレンドラ・モディ氏のインドがインド太平洋枢軸の主要な推進者だが、だからといって、インドと日本がパートナー・米国の激しい反中感情を共有しているわけではない。
©SAUL LOEB/AFP
相手を名指しこそしないが、米国にとってこれは正しく「封じ込め」戦略だ。しかし、地域の国々はこれを望まない。昨年11月、「『アジア版NATO』設立のために米国が行使する圧力は新たな冷戦への道を開く恐れがある」と、シンガポール大学の研究者Long Xiangchun氏は中国『環球時報』紙で警告した。
以下は逸話だが、今年のシャングリラ対話では、米国のパトリック・シャナハン氏が壇上で講演を行う時に噂が走った。話者は当初、敵国・中国に対して厳しい言葉を出すと考えられたが、その後に意見を変え、スピーチでは軟化させたというのだ。これは、いま揺籃期にあるインド太平洋という基本原則は、そこに「自由で開かれた」空間を創出することについて地域諸国が抱く心配よりも先ず、米中の対立関係により明確化されることの十分な証拠だ。
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