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米政府がベネズエラへの軍事侵攻の姿勢を見せる中、露軍が到着(1/2)
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2019.03.26 櫻井ジャーナル
ロシア軍のバシリー・トンコシュクロフ上級大将率いる99名の兵員を乗せたAn-124輸送機が3月23日にベネズエラへ到着、35トンの物資を運んで来たと伝えられている。防衛問題を協議するためだとされているが、それに合わせる形でニコラス・マドゥロ政権はロシアの防空システムS-300の運用を開始したという。 その直前、3月19日にはドナルド・トランプ政権でベネズエラの政権転覆を指揮しているエリオット・エイブラムズがイタリアの首都ローマでロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣と2時間にわたって会談し、ベネズエラ情勢を巡って激しいやりとりがあったようだ。アメリカ側は何らかの譲歩を期待したのかもしれないが、ロシア側の姿勢は各国の主権を尊重しろということで一環している。 ロシア安全保障会議のニコライ・パトルシェフによると、アメリカ政府は特殊部隊をコロンビアやプエルト・リコへ派遣して軍事侵攻の準備をしているようだが、ベネズエラ軍がS-300を起動させたということは、軍事侵攻を許さないというロシアの意思表示だと見られている。 コロンビアと同じようにベネズエラと接しているブラジルがアメリカの軍事作戦に協力する可能性はあるが、そのブラジルで今年(2019年)1月から大統領を務めているジャイ・ボウソナルが3月19日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談している。ローマでの会談と無関係ということはないだろう。 ブラジルでは3月21日にミシェル・テメル前大統領が汚職容疑で逮捕された。この人物が大統領を務めたのは2016年8月から18年12月にかけてだが、副大統領の時代には捜査対象になっていた。それにもかかわらずアメリカのバラク・オバマ政権はジルマ・ルセフを排除してテメルを大統領に据えたのだ。 理由は簡単。テメルはアメリカ支配層へ機密情報を流していた人物だったのである。その事実は2006年1月11日にサンパウロ駐在のクリストファー・J・マクマレン米総領事が書いた電子メールの中に出てくる。 インターネット・マガジンのインターセプトが公表した映像によると、新自由主義に基づく政策、つまり私有化や規制緩和によって富をアメリカやブラジルの富裕層や巨大資本へ集中させようという計画を進めなかったルセフをアメリカ支配層は懲罰するとテメルは語っていた。失脚させられたルセフはアメリカの電子情報機関NSAに監視されていたことが知られている。 この報道によってテメルとアメリカ支配層との関係は否定できなくなってしまった。そして選ばれたのが下院議員だったボウソナル。軍事政権時代に拷問を行っていたカルロス・アルベルト・ブリリャンテ・ウストラを公然と褒め称えていたことで知られている。反民主主義的な人物だが、民主主義体制を破壊してきたアメリカ支配層の選択としては順当なところなのだろう。 エイブラムズはマドゥロ大統領を排除する切っ掛けを作ろうと画策してきた。例えば、自分たちが大統領に任命したフアン・グアイドを2月下旬に不法出国させた。2月22日にはコロンビアへ入り、マイク・ペンス米副大統領と会談してからラテン・アメリカ諸国を歴訪する。 グアイドは2007年にジョージ・ワシントン大学へ留学した新自由主義の信奉者。その2年前、2005年にアメリカ支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。その頃にアメリカ支配層はベネズエラを再属国化するために「2007年世代」を創設、2009年には挑発的な反政府運動を行った。(つづく) |
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