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ロシアの「世界最強」地対空ミサイルを中国が入手
アメリカの仮想敵勢力が築くミサイルのカーテン
2019.2.28(木) 北村 淳
S-400ミサイル発射装置(写真:ロシア国防省)
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ロシアの貨物船「ニキフォル・ベジチェフ(NIKIFOR BEGICHEV)」がレニングラード近郊のUst-Luga港を2017年12月30日(現地時間)に出港し、中国に向かった。その後、2018年1月19日の報道によると、ニキフォル・ベジチェフは2018年1月3日(現地時間)にイングリッシュ海峡で大時化(おおしけ)に遭遇し、積載していたS-400地対空ミサイルシステムの一部がダメージを受けた模様である。
しかし、ダメージを受けたとされるS-400システムの詳細に関しては明らかにされることはなかった。
ロシアの貨物船「ニキフォル・ベジチェフ(NIKIFOR BEGICHEV)」
このほど、アブダビで開催されている「国際兵器展示会(IDEX-2019)」に出席したロシアの国策会社、ロステック(Ростех:英語表記ではRostec、正式名称は「先進技術工業製品の開発生産輸出促進のための国営企業ロステック」)のCEO、セルゲイ・チェメゾフ氏が西側報道関係者に2018年の事故の顛末を語った。これによって、1年ぶりに詳細情報が判明した。
チェメゾフ氏が語ったところによると、事故によって積み荷の40N6対空ミサイル全てがダメージを受けてしまったため、ロシアに返送して全て廃棄したとのことである。
それらのミサイルは再度ロシアで製造されて、2020年中には全て中国に届けられることになっている。また、すでに西側でも確認されているように、事故に遭遇した貨物船以外の貨物船で送られたS-400地対空ミサイルシステムは、無事中国に送り届けられている。
世界最強のS-400地対空ミサイルシステム
S-400地対空ミサイルシステムは、地上から遠距離上空の航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイル、そして無人機などを打ち落とすための様々な装置から構成される最先端兵器である。
システムは長距離警戒探知用レーダー、指揮管制装置、射撃管制用レーダー、ミサイル発射装置が基本的構成で、このほかにミサイル運搬装填装置や電源装置なども付随する。いずれも大型車両に搭載されている。
S-400が装備するレーダーシステムは超高性能であり、探知した目標を同時に80個攻撃することが可能とされている。現在のところ、世界最強の地対空ミサイルシステムである。
対空ミサイルは、S-400の構成要素であるミサイル発射装置(地上移動起倒型ミサイル発射装置:TEL)に装填される。発射することが可能な対空ミサイルは下記の通り。これらの中から用途に応じて適合するミサイルを選択することになる。
・9M96E(最大射程距離:40km)
・9M96E2(最大射程距離:120km)
・48N6E(最大射程距離:150km)
・48N6E2(最大射程距離:195〜250km)
・40N6(最大射程距離:400km)
9M96E型から48N6E2型までは、現在ロシアをはじめいくつかの国々で用いられているS-300地対空システム用に開発され改良されているミサイルだ。40N6型は、S-400システムのために開発された新鋭ミサイルで、中距離弾道ミサイルを撃破する能力を備えている。それらに加えて、40N6よりさらに強力な最大射程距離500kmのミサイルも開発中といわれている。
S-400の部隊編成
S-400ミサイル射撃部隊の基本単位は「S-400中隊」(S-400 battery)と呼ばれる。最も基本的な編成の場合発射装置(TEL)は4両だが、射撃制御レーダー車両を追加することにより最大12両のTELを編成に加えることができる。1両のTELには4本の発射筒が装備されているため、1個S-400中隊が一度の攻撃で連射できるミサイル総数は16発から48発ということになる。
S-400中隊が2個で「S-400大隊」を形成し、2個のS-400大隊が「S-400連隊」となる。ロシアが中国はじめ外国にS-400システムを輸出する際の基本単位は1個S-400連隊となっているため、少なくとも最小編成2連射分の128発の対空ミサイル本体(48N6E、48N6E2、40N6)も輸出されることになる。
S-400でアメリカの接近を阻止するロシアと中国
中国とロシアは、トランプ政権によってアメリカ国防戦略における筆頭仮想敵勢力と指定された。そのため、ロシア軍はシリアや東ヨーロッパ国境地域にいくつものS-400システムを配備して、シリアから東ヨーロッパを経て北極海に至るS-400対空ミサイルバリアによる“ミサイルのカーテン”を構築し、アメリカが率いるNATO軍に対峙している。
太平洋側でも、ロシア太平洋艦隊司令部が位置するウラジオストク周辺にS-400連隊を配備して、日本海方面から接近を企てるアメリカ航空戦力に対する警戒態勢を強化した。
いまだS-400に匹敵する長距離防空システムを開発するに至っていない中国も、6個連隊分のS-400地対空ミサイルシステムを購入した模様である。
そのS-400システムを南シナ海の西沙諸島永興島と南沙諸島の人工島のそれぞれ1セットずつ配備すると、南シナ海上空の広範囲がS-400射程圏内に入り、アメリカはますます手出しできなくなる。また、台湾対岸にS-400を1セットセットすることにより、台湾の上空全域がS-400の射程圏内に入るため、台湾への軍事的プレッシャーは一層強化されることになる。
中国が配備するS-400の射程圏
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S-400がロシアや中国の日本海沿岸域から東シナ海沿岸域にかけて配備されることが日本にとって対岸の火事でないことは論を待たない。
とはいっても、「アメリカから超高額兵器を購入すれば国防は安泰」との姿勢に終始している光景は平和ボケ以外の何物でもない。日本の頼みの綱であるアメリカ軍が、ロシアや中国に接近できない状況に陥った時に日本の危機と気づいても、その時は最早手遅れである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55608
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