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米大統領の軍をシリアから撤退させるという決定と矛盾する米軍の動き
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2019.01.20 櫻井ジャーナル
イラク西部、シリア、ヨルダン、サウジアラビアに接するアル・アンバールでアメリカ軍の動きが活発化している。すでにアル・アンバールにアメリカ軍は基地を2カ所に建設しているが、新たな軍事基地を建設するための場所を探していると伝えられている。アメリカ軍の基地からシリア国境までダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の部隊が安全に移動できるようなルートを建設するという。 1月10日にイギリス兵5名がデリゾールで殺され、16日にはアメリカ人4名(うち2名は兵士)がマンビジュで死亡、それを利用してシリアからアメリカ軍を撤退させるというドナルド・トランプ大統領の決定を翻そうという動きもある。これまでアメリカを含む侵略勢力はアル・カイダ系グループやダーイッシュといったタグをつけた戦闘集団の存在を口実にして軍事侵略してきたが、その手法はまだ使われているようだ。 イラクでの報道によると、同国の治安を担っているハシド・アル・シャービ(人民動員軍)の現地司令官は、アメリカ軍がシリアとの国境周辺を偵察して入手した情報、あるいはハシド・アル・シャービから入手した情報をシリア東部にいるダーイッシュへ渡しているという。 この司令官はシリアからアメリカ軍が撤退しているとする話も否定する。アメリカ軍はシリア東部に建設した軍事基地を増強するために物資を運び込み、イラク西部、シリアとの国境近くをアメリカ軍の軍事的な拠点にしつつあるようだ。 シリアとリビアへの侵略戦争をバラク・オバマ政権が始めたのは2011年春のこと。その年の10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が破壊された時点でアメリカ/NATO軍とアル・カイダ系のLIFGとの連携が広く知られるようになる。 オバマ大統領は穏健派を支援していると宣伝したが、アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)が2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告書には、サラフィ主義者やムスリム同胞団がシリアの反政府軍の主力で、戦闘集団としてアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘)の名前を挙げている。さらに、東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告されていた。その警告はダーイッシュという形で2014年に出現する。現在、アメリカ軍が軍事基地を新設、ダーイッシュをてこ入れしているのはその地域だ。 トランプ米大統領が2000名のアメリカ軍を撤退させる命令書にジェームズ・マティス国防長官は署名したものの、2019年2月一杯で辞任すると表明した。マイク・ポンペオ国務長官、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官、シリア特使のジェームズ・ジェフリーはシリア東北部の永続的な占領を目指して大統領の決定を無効化しようと政府の内部で活動している。 アメリカにはシリアの永続的な占領を望む人びとが少なくない。超党派の議員や有力メディアが軍隊の撤退に反対を表明しているのだ。その中にアメリカ中央軍も含まれている可能性が高い。 |
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