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シリア侵略に失敗した西側諸国の軍隊が艦船を地中海へ集めている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201809270000/
2018.09.28 櫻井ジャーナル
アメリカ主導軍が艦船を地中海へ集めている。ロシアの電子情報支援機IL20が撃墜される直前にミサイルを発射していたフランス海軍のフリゲート艦オーベルニュのほか、第2常設北大西洋条約機構海洋グループ(オランダ軍の駆逐艦デ・ロイテル、ギリシャ軍のフリゲート艦エリ、カナダ軍のフリゲート艦ビル・ド・ケベック、アメリカ軍の4駆逐艦カミー、ロス、ウィンストン・S・チャーチル、バルケリー)、アメリカ第6艦隊の揚陸指揮艦マウント・ホイットニーと3隻以上の原子力潜水艦、空母ハリー・S・トルーマンを中心とし、巡洋艦ノルマンディーを含む艦船、ドイツ軍のフリゲート艦アウクスブルクなどがこの海域へ現れたと伝えられている。ロシア軍はIL20が撃墜された後にシリア沖で軍事演習を実施した模様だ。
アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、トルコ、カタールなどがジハード傭兵を使って2011年3月に始めたシリア侵略は失敗に終わった。2015年9月にロシア軍がシリア政府の要請で介入、その傭兵軍を敗走させたからだ。
ユーフラテスの北側でアメリカ軍はクルド勢力を抱き込み、イギリス軍やフランス軍と20カ所以上で軍事基地を建設して居座る姿勢を見せているが、南側ではトルコと接するイドリブをアメリカの影響下にあるアル・カイダ系のタハリール・アル・シャーム(アル・ヌスラ)が支配、アル・タンフはアメリカが不法占領し、同国とイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練してきた。アメリカ軍はそのアル・タンフで今月(2018年9月)上旬に軍事演習を実施している。
イドリブではシリア政府軍とロシア軍が奪還する作戦を始める姿勢を見せ、対抗してアメリカ、イギリス、フランスは直接的な軍事介入を行うと脅していた。米英仏の3カ国は軍事介入を正当化するために化学兵器を使った偽旗作戦を実施する準備を進めているとロシア軍は警告していた。
化学兵器の使用をアメリカ政府が言い始めたのは2018年8月。当時のアメリカ大統領はバラク・オバマだが、この大統領は生物化学兵器の使用をシリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインだとした。それ以来、化学兵器は侵略の口実として使われてきたが、いずれも後にアメリカの主張は嘘だと言うことが判明している。
イドリブでの制圧作戦をシリア政府軍とロシア軍が本格化させた場合、アメリカ主導軍と軍事衝突に発展する可能性もあったのだが、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とロシアのウラジミル・プーチン大統領は政府軍とジハード傭兵軍との間に15から20キロメートルの幅で非武装地域を設置することで合意している。IL20が撃墜されたのはその数時間後だ。その後、イドリブを攻撃するために終結していたシリア政府軍はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)に対する掃討作戦を実行するために南部へ移動したと言われている。
ロシアとトルコの合意によってアメリカなどが計画した化学兵器を口実とした軍事侵攻は難しくなった。IL20をフランス軍が撃墜したとなればNATO軍とロシア軍の衝突という事態もありえたが、シリア軍のS200がイスラエル軍機を間違って撃ち落としたとロシア国防省は説明、シリア軍へS300を2週間以内に引き渡し、シリアの防空部隊司令部に自動化されたコントロール・システムを装備させ、航空機の衛星ナビゲーション、搭載されたレーダー、通信システムをECM(電子対抗手段)でジャミングすると宣言した。ロシア軍は事実上、シリア上空を飛行禁止にしたと考えられている。
シリア侵略のためにオバマ政権が立てた最初の作戦は破綻した。ドナルド・トランプ政権はシリアから手を引く姿勢も見せたのだが、イスラエルやサウジアラビアはアメリカ政府に軍事的なエスカレーションを要求、おそらくイギリスやフランスもアメリカ軍にさらなる軍事力の行使を求めただろう。そして、アメリカ主導軍は艦船を地中海へ集めているわけだ。
イランの石油輸出を止めるというアメリカ政府の目論見も失敗した可能性が高く、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランスといった国々の圧力で新たな戦争が勃発しても不思議ではない。
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