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アメリカが警戒するロシアの宇宙兵器、衛星攻撃技術でアメリカを凌ぐ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/post-10788.php
2018年8月15日(水)17時00分 デービッド・ブレナン ニューズウィーク
ロシアの対衛星攻撃の技術はアメリカに数年先んじていると見られる(画像はソユーズロケットの打ち上げ、17年11月) REUTERS
<対衛星レーザーなど積極的に宇宙兵器の開発を進めるロシアに、出遅れ気味のアメリカは不安を隠せない>
ロシアの最新の宇宙兵器開発に、アメリカが公の場で懸念を表明した。
宇宙空間に配備する様々な軍事技術をロシアは開発しているが、そのなかには衛星を追跡し、攻撃する能力を備えた対衛星レーザー兵器や監視衛星がある。
ロイター通信によれば、イレエム・ポブレテ米国務次官補(軍縮担当)は14日、ジュネーブで開催されている国連軍縮会議で、アメリカがロシアの兵器開発を「懸念している」ことを明かした。今回の会議では、宇宙空間での軍拡競争防止がテーマの一つになっている。
今年3月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、6種の宇宙兵器を新たに開発すると発表した。アメリカにとって、ロシアのこの行為は、宇宙空間での軍縮に関して「ロシアの言動が一致していない」ことを示しているとポブレテは主張した。
ロシアの新兵器の一つは、軍用トラックに搭載できる移動式レーザーシステム。その正確な能力は機密扱いだが、敵のミサイルや衛星の破壊に使われる可能性があると推測されている。
戦争が起きた場合、敵国の通信や情報収集のネットワークを停止させるために、ロシアは衛星攻撃技術の開発に力を入れている。
■ロシア・中国が数年先を行く
ポブレテの主張によれば、「宇宙空間に配備された装置を観察する」という名目でロシアが最近打ち上げた監視衛星は、以前に配備された衛星とは別物だ。この衛星の動きは「異常」で、最近のロシアの悪質な行動パターンから見て、極めて「気がかり」だと、ポブレテは述べた。
08年にロシアと中国が提案している宇宙兵器の軍縮条約案ではこうした兵器は禁止されないだろう。ロシアの外交官アレクサンドル・デイネコは、アメリカが条約案の変更を提案していないことから考えて、ポブレテの懸念には根拠がないと切り捨てた。
「ロシアに対する深刻な懸念を表明しているアメリカこそ、ロシアの条約案をまっさきに支持するべきだ。アメリカは、自国民の安全保障上の利益を100%満たす条約を作るために積極的に活動するべきなのに、そうした建設的な姿勢を見せていない」と、デイネコは言う。
中国の傅聡(フー・ツォン)軍縮大使も、同様に宇宙兵器の軍縮問題について交渉を前進させることを求めた。中国もまた、対衛星兵器の開発に熱心に取り組んでいる。この分野における中国とロシアの技術は、アメリカより数年先行していると見られ、アメリカの関係者はそこに不安を感じている。
とはいえ、ドナルド・トランプ大統領が提案した「宇宙軍」構想のおかげで、アメリカでも宇宙兵器への関心が新たに盛り上がるかもしれない。マイク・ペンス副大統領は9日、宇宙軍の創設に関する計画の概要を発表したが、「時間と金の無駄遣い」と反対する意見も聞かれる。
(翻訳:栗原紀子)
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