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トランプ大統領はシリアに対するミサイル攻撃で中国を恫喝しようとして失敗
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201806170000/
2018.06.17 櫻井ジャーナル
シンガポールで朝鮮の金正恩労働党委員長との会談を行った6月12日、ドナルド・トランプ米大統領はFOXニュースのシーン・ハニティのインタビューを受けたが、その最後の部分で昨年(2017年)4月6日にシリアで実行した攻撃について語っている。
その攻撃とは地中海にいたアメリカ海軍の2駆逐艦、ポーターとロスが巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したもの。シリア政府軍が自国民に対して化学兵器を使ったという口実だったが、証拠はなく、それが事実でなかった可能性は極めて高い。
本ブログでは何度か書いたが、ジャーナリストのロバート・パリーによると、彼の情報源は4月6日にポンペオCIA長官は分析部門の評価に基づき、致死性の毒ガスが環境中に放出された事件にバシャール・アル・アサド大統領は責任がなさそうだとトランプ大統領に説明していたと語っていた。その情報を知った上でトランプ大統領はロシアとの核戦争を招きかねない攻撃を命令したという。6月25日には調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュもパリーと同じ話を記事にしている。
パリーは1980年代の前半、コントラが麻薬取引に手を出していることを明らかにした人物で、ハーシュはベトナム戦争でソンミ村での住民虐殺を明るみに出している。つまり、ふたりとも権力犯罪と立ち向かう気骨あるジャーナリストだ。
トランプ大統領は昨年4月6日の攻撃で発射されたミサイル全てが目標にヒットしたと主張しているのだが、被害が事実上、なかったことが判明している。しかも、ロシア国防省によると、目標に到達したのは23機だけ。いくつかは地上に落下しているが、残りは不明。海中に落下した可能性が高い。トランプ大統領の主張とは違い、アメリカのミサイルはロシアの防空システムを突破できていないと言える。
59機ものミサイルを発射した理由と思われる出来事が2013年9月3日にあった。地中海の中央から東へ向かって2機のミサイルが発射されたのだが、2機とも海中に落ち、その直後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表している。
その当時、西側の有力メディアがアメリカ/NATO軍によるシリアに対する攻撃は始まると言われていた。そこで、そのミサイルが第1撃だったと見る人が少なくない。ロシア軍がECM(電子対抗手段)でミサイルを落とし、出鼻をくじいたのではないかというのだ。その反省からアメリカ軍は発射するミサイルの数を大幅に増やしたのではないかということである。が、それでも約6割のミサイルが落とされた。
昨年4月の攻撃が中国や朝鮮の考え方に変化を与えた可能性はあるが、それはトランプ大統領の主張とは逆だろう。ミハイル・ゴルバチョフに見捨てられてから生き残りに必死だったであろう朝鮮は統一教会やイスラエルと手を組み、東アジアの軍事的な緊張を高めたいアメリカにとって好都合なこと、例えば核兵器の開発やミサイルの発射事件を行ってきた。こうしたことは中国やロシアから止めるよう説得されていたが、無視してきた。
ロシアの前身であるソ連に裏切られたという思い、アメリカ軍の強さに対する恐れが朝鮮を動かしてきたのだろうが、昨年4月の攻撃でロシアや中国への信頼が戻った可能性がある。しかも、韓国がロシアや中国と連携している。ロシアの防空システムがあれば、アメリカ軍をそれまでのように恐れる必要はないと考えても不思議ではない。
そして今年4月、アメリカ軍は再び偽情報を宣伝しながらシリアをミサイル攻撃した。アメリカ国防総省の発表によると、攻撃のターゲットはバルザー化学兵器研究開発センター(76機)、ヒム・シンシャー化学兵器貯蔵施設(22機)、ヒム・シンシャー化学兵器(7機)で、全て命中したとしている。が、攻撃目標と使用されたミサイルの数が不自然で、現地の様子とも符合しない。
それに対し、ロシア国防省の説明によると、この攻撃で米英仏の3カ国は103機の巡航ミサイルを発射、そのうち71機をシリア軍が撃墜したという。今年は短距離用の防空システム、パーンツィリ-S1が配備されていたが、これが効果的だったようだ。アメリカはリベンジを狙って返り討ちに遭った。
ロシア国防省は攻撃された場所としてダマスカス国際空港(4機。全て撃墜)、アル・ドゥマイル軍用空港(12機。全て撃墜)、バリー軍用空港(18機。全て撃墜)、サヤラト軍用空港(12機。全て撃墜)、メゼー軍用空港(9機。うち5機を撃墜)、ホムス軍用空港(16機。うち13機を撃墜)、バザーやジャラマニの地域(30機。うち7機を撃墜)を挙げている。
その直後、ジャイシュ・アル・イスラムは米英仏の攻撃に対する不満を表明した。米英仏の攻撃でシリア空軍を壊滅、その上でジャイシュ・アル・イスラムなど武装勢力がダマスカスを攻略する予定だったとする情報もある。
このジャイシュ・アル・イスラムはCIAの影響下にあり、同じアル・カイダ系のアル・ヌスラと連携、イギリスの特殊部隊SASやフランスの情報機関DGSEのメンバーが指揮していると報告されている
トランプ大統領は「脅せば屈する」という米英やイスラエルの戦術が機能したと強調しているのだが、機能しないことを世界の国々が目撃、朝鮮半島の問題も韓国、ロシア、中国が主導権を握っている。アメリカの作戦は裏目に出たと言えるだろう。
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