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ダーイッシュを使った米国の圧力にフィリピン政府が屈した可能性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201805290001/
2018.05.30 櫻井ジャーナル
イスラエルのアメリカ大使館がテルアビブからエルサレム(クドス)へ移されたのは5月14日のこと。その際に記念式典が催され、アル・ジャジーラ紙は出席した30カ国あまりをリストアップした。ただ、そのうちの何カ国は出席していないと抗議しているので正確と言えないのだろうが、フィリピンは抗議していないようなので、実際に出席した可能性が高い。
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は大統領に就任した2016年6月からアメリカの属国から脱する意思を見せ、中国と友好的な関係を結ぼうと積極的に動いたいた。そのフィリピンが現在、南シナ海におけるアメリカの手先として注目されはじめている。
ドゥテルテによると、2016年9月の段階でフィリピンの情報機関からアメリカが彼を殺したがっているという報告を受けたという。フィリピンの軍、治安機関、情報機関などはアメリカの影響下にあり、ドゥテルテの話が事実なら、アメリカ政府からの恫喝だろう。
そして昨年5月23日にフィリピン南部にあるミンダナオ島のマラウィ市をマウテ・グループやアブ・サヤフ、つまりダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)系の武装集団が制圧した。この地域は以前からダーイッシュが活発に動いていて、市内には500名程度の戦闘員がいると見られていたが、アメリカ軍は活動を容認してきた。マラウィ市の事態を受け、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領はミンダナオ島に戒厳令をしく。
武装集団のマラウィ市制圧を口実にして特殊部隊を派遣した。アメリカ大使館はフィリピン政府から要請に基づき、アドバイするんだと説明しているのだが、ドゥテルテ大統領はアメリカ側に支援を頼んでいないとしている。
この出来事の少し前、2月下旬から約1カ月にわたってサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドゥルアジズ・アル・サウド国王は1000名以上の人間を引き連れてマレーシア、インドネシア、ブルネイ、日本、中国、モルディブを歴訪、その時から東/東南アジアでワッハーブ派の武装集団が攻撃を始めるのではないかと懸念する声があがっていた。それが現実になったわけだ。
インドネシアでは普通のイスラム教徒をワッハーブ派へ改宗させる工作が数十年にわたって続けられ、2016年1月14日には首都のジャカルタで何回かの爆破と銃撃戦があり、攻撃グループの5名を含む7名が死亡している。その実行グループもダーイッシュを名乗っていた。インドネシアから約700名がシリアへ入り、ダーイッシュに加わったと言われている。フィリピンやインドネシアを中心に東南アジア全域をアメリカは「リビア化」するつもりかもしれない。
南シナ海ではアメリカ軍の動きが活発化しているが、昨年の終わりからアメリカ軍はフィリピン軍と合同軍事演習を実施している。当初、ドゥテルテ大統領はこうした演習を拒否していたが、圧力に屈した可能性がある。朝鮮半島ではロシアや中国と連携している韓国が和平の方向へ持って行きつつあるが、その分、アメリカは東南アジアで軍事的な緊張を高めようとしそうだ。
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