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インドネシアで爆弾テロ、13人死亡 キリスト教会3か所で連続発生
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/11413.php
2018年5月13日(日)19時25分 大塚智彦(PanAsiaNews) ニューズウィーク
爆発による炎に包まれたアルジュナ通りのペンテコスタル教会 Antara Foto Agency-REUTERS
<イスラム教の断食月を控えて、世界最大のイスラム教国インドネシアでは自爆テロが発生、緊張が続く──>
インドネシアのジャワ島東部にある第2の都市スラバヤ市内にあるキリスト教の協会3か所で5月13日午前、爆弾が爆発する事件が相次ぎ、これまでに13人が死亡、約40人が負傷した。爆発は自爆テロによるもので国家警察はテロ事件として捜査を始めた。
世界最多のイスラム教徒を擁するインドネシアでは5月16日前後からイスラム教徒の重要な行事である「プアサ(断食)」が始まる。また6月末にはスラバヤのある東ジャワ州で州知事選挙を含む地方統一首長選挙、さらに8月には来年に控えた大統領選挙の正副候補者届け出の締め切り、と宗教上、政治上の重要日程を控え、全土で警戒を強めているところだった。
■バイクの自爆犯が教会敷地に侵入
13日午前7時(日本時間同日午前9時)過ぎ、スラバヤ市内にあるカトリックのサンタマリア教会の入り口付近で大きな爆発が発生した。現場の状況からバイクに乗った自爆犯による爆弾テロとみられている。
同教会では日曜日の恒例のミサが始まる前の信者が三々五々集まってくる時間帯で、巻き込まれた関係者ら4人が死亡し多数が負傷してスラバヤ市内の病院に搬送され手当てを受けているが、重傷者も多く犠牲者の数は今後増える可能性もあるという。サンタマリア教会では警戒に当たっていた警察官2人も負傷して病院に搬送された。
さらにディポネゴロ通りのプロテスタント教会、アルジュナ通りのペンテコスタル教会でも相次いで爆弾テロが発生。地元警察の発表ではプロテスタント教会で3人が死亡、ペンテコスタル教会で2人が死亡したほか、さらに4人の死亡が確認され、同日の同時多発爆弾テロでの死者は午後5時(日本時間午後7時)の時点で13人に達したという。地元警察はスラバヤ市警本部にメディアセンターを開設して報道陣の対応に当たっている。
同日夕方にはジョコ・ウィドド大統領、ティト・カルナフィアン国家警察長官らが現場となった教会と負傷者が入信している病院を訪問した。
これまでの捜査では自爆テロ犯は3か所とも女性犯人とみられ、カトリック教会とぺんてコスタル教会で不発の爆弾が3個発見され、爆発物処理班が処理したという。
さらにもう一か所のスラバヤ市内の教会でも自爆テロが行われようとしたが、警戒中の警備員によって爆破は阻止されたとの情報もある。
なお日本大使館によると、これまでのところ今回の連続爆弾爆破テロ事件に巻き込まれて死傷した日本人はいない模様だという。
インドネシアの主要民放テレビは午前8時過ぎから通常の日曜日の番組を中断して、スラバヤの連続爆破事件を現場からの中継を交えて伝え続けている。
民放テレビが伝えたサンタマリア教会近くの監視カメラの映像によると、午前7時過ぎに大きな荷物を後部に乗せたようにみえる1台のバイクが通りから左折して教会の敷地内入った直後に爆発が発生、教会入り口と通りの周辺は煙に包まれ、その中を走る人が映っていた。
また新たに公開された教会内部からの監視カメラの映像では、通りから教会内部に入った直後にバイクが爆発。当時周辺には多くの人がおり、警備員とみられる男性が教会内に停止せずに侵入しようとするバイクを止めようとする様子が映っている。バイクはその直後に爆発(その瞬間の映像はカットされている)し、周辺が爆発の煙でほとんど視界がない状況が映し出されている。
■相次ぐ爆弾テロ、直前にはテロ収監者暴動
インドネシアでは2016年1月に首都ジャカルタの中心部、サリナデパート前で自爆テロが発生、実行犯5人を含む8人が死亡する事件が起きている。その後も同年7月に中部ジャワのソロ市警敷地内で自爆テロ犯が死亡、2017年2月には西ジャワ州バンドンで自爆テロ、5月にはジャカルタ市内のカンプン・ムラユのバスターミナルで爆弾テロが起きて実行犯2人を含む5人が死亡するなど、爆弾テロが続いている。
5月8日夜にはジャカルタ南部の国家警察機動隊本部内の拘置施設でテロ関連犯罪の収監者約150人が暴動を起こし、警察官やテロ容疑者が死亡する事件も起きている。事件は10日朝に収監者全員が投降し、全員をより監視体制が強い中部ジャワの別の刑務所に移送して解決した。
この暴動に関して中東のイスラムテロ組織「イラク・レンバントのイスラム国(ISIL)」が犯行声明を出し、暴動者が奪取したとする武器の写真などをIS関連のネットにアップしたことから中東のテロ組織に感化された収監者による犯行との見方が強まっている。
今回のスラバヤでの連続爆弾テロに関してはこれまでのところ犯行声明などは出されていないが、国家情報庁(BIN)ではISに感化されたインドネシアのテロ組織「ジェマ・アンシャルット・ダウラ(JAD)」が関与しているとみている。
BINによるとジャカルタの機動隊本部の暴動に関連してJADメンバーが当初はジャカルタで爆弾テロを実行しようとしたが、警備が厳重なため標的をスラバヤの教会に変更して今回のテロとなったという。
さらに13日午前にはジャワ島中部のチアンジュールで国家警察対テロ特殊部隊がテロ容疑者4人と銃撃戦になり、容疑者4人を射殺する事件があったが、この4人もJADの関係者とされ、新たなテロを計画中だったとしている。
■社会的緊張が高まり厳戒態勢の中で発生
インドネシアでは毎年、イスラム教の断食月前後には社会的不安を高めようとする不穏分子や中東のテロ組織「イスラム国(IS)」に感化されたインドネシアのイスラム系テロ組織メンバーによる爆弾テロ、キリスト教会など宗教施設への攻撃、外国資本のホテルなどへのテロが増加する傾向がある。
2018年から2019年にかけてインドネシアは選挙という重要な政治日程が続くことから、政治勢力による対立が原因のヘイトスピーチや誹謗中傷が暴力行為に発展するケースも目立ち始めており、日本大使館ではその都度在留邦人に「注意」を喚起して警戒を呼びかけている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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