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2023年3月29日 21時07分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/240945
国が2013〜15年に生活保護基準を引き下げたのは生存権を保障する憲法25条に違反するなどとして、埼玉県内の受給者25人がさいたま市などによる減額処分の取り消しを求めた訴訟で、さいたま地裁は29日、受給者23人に対する処分を取り消した。2人は手続きの誤りで却下。憲法判断は示さなかった。(飯塚大輝)
◆デフレ調整は「適法」
29都道府県で同様の訴訟が起こされ、判決は17件目。取り消しは大阪、熊本地裁などに続き、8件目となった。
厚生労働省はデフレによる物価下落などを勘案し、13年8月からの3年間に生活扶助の基準額を平均6.5%引き下げ、計約670億円を削減した。基準額変更の要因となった物価下落への対応(デフレ調整)と、基準額と消費実態の乖離かいりの解消(ゆがみ調整)の適法性が争点になった。
倉沢守春裁判長は判決理由で、ゆがみ調整については、専門家部会の報告に基づく増減額を同省が独自に2分の1にしたことを「合理的な根拠を欠き、ゆがみ調整や激変緩和措置の趣旨と矛盾する」と指摘し、厚労相の裁量権の範囲の逸脱、乱用に当たるとした。
一方、ほかの地裁の取り消し判決で違法とされたデフレ調整については、国の主張を認めて適法とした。
【関連記事】生活保護費の減額は「違法」 横浜地裁が処分取り消し 東京などに続き4例目
◆デフレ調整は「統計不正。認めないのは不当」原告側
判決後、原告や弁護団はさいたま市内で集会を開き、約150人の支援者らに勝訴を報告。喜びに沸く一方、問題の核心として訴えてきた計算方法の不正が一部認められず、不満の声も上がった。
原告の一人、佐藤晃一さん(56)=同市見沼区=は、亡くなった原告仲間の遺影を掲げながら「諦めないでよかった。天国の仲間も喜んでいる」と声を震わせた。8年以上の裁判で原告9人が亡くなった。自身もがんを患っている。「高齢で病気のある原告も多い。国は裁判を長引かせず、政治判断で解決してほしい」と求めた。
小林哲彦弁護士は「勝訴だが、問題のある判決だ」と説明。判決では、厚生労働省が独自に考案した計算方式による「デフレ調整」の違法性が認められなかった。物価下落率が実際より大きくなる恣意的な方法で、保護基準の大幅な引き下げにつながったと主張したが、判決は厚労相の裁量権内で合法と判断した。小林弁護士は「統計不正だと思っている。認められなかったのは不当だ」と不満をあらわにした。
生活保護制度に詳しく、行政経験もある高千穂大学の大山典宏教授(社会保障論)は、一連の生活保護引き下げ訴訟について「生活保護基準は、憲法が保障する最低限度の生活の根幹に関わるだけでなく、ほかの社会保障のしくみにも影響し、関係のない人はいないほど大事な指標。これだけ影響が大きい制度の訴訟で、行政側の敗訴が続くのは異例だ」と指摘した上で、政治判断による早期決着を促す。
「行政側の保護基準変更の手続きは合理的な根拠に欠けていたように思う。控訴せず救済するべきだが、変更によって生活保護を利用できなくなった人もいるとみられ、救済の対象は膨大だ」
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