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2023年2月9日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/230100?rct=politics
2012年末に旧民主党が下野して10年余。民主党政権のブレーンの1人で、09年の政権交代の立役者とも言われた元日本医師会長の原中勝征氏(82)が本紙のインタビューに応じ、今の野党に苦言を呈した。現役の医師として地元茨城県で臨床の現場に立つ原中氏は、岸田政権の新型コロナ対応にも注文を付けた。(聞き手・保坂千裕)
−旧民主党の流れをくむ立憲民主党など野党の現状をどう見る。
「内閣支持率が下がっているにもかかわらず、野党(の支持率)も上がらない。昔の社会党と同じで、良いことを並べて政権批判するばかりで、何をすれば国民が幸せになるのかという答えを出していない。今、一番不幸なのは国民だ」
「(民主党政権を率いた)鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏は非常に許容力がある人たちだった。最近の野党の代表は偉くなった気持ちになるのか、自分の意思を通す人ばかり。こんな人たちに国を任せるわけにはいかないと思ってしまう」
−政府のコロナ対応に言いたいことは。
「外国製ワクチンを数兆円分も契約したが、どう考えてもおかしい。技術やお金がなかったからというが、決してそうではない。日本は、新型コロナと同じ『RNAウイルス』のインフルエンザのワクチンを全て自国で賄ってきた。技術があるのだから研究を続け、絶やさないようにするのが政府の責任。国内でワクチンをつくらなかったことは絶対に間違いだ」
−高齢者の負担軽減が持論。介護保険料引き上げの議論が始まったが。
「為政者に国民を大切にする気持ちがあるかという基本的な問題だ。若いときからずっと一生懸命に働いてきて現役引退した時に、お金がなければ生活ができない。お年寄りに対する感謝の気持ちに即した制度はあって当然で、国はそれなりの補助を出すべきだ。年齢別の人口比は変化しているので、(世代間の公平性確保のため)3年ごとの見直しは必要だ」
−原発にも慎重な立場だが、政府は新増設や運転期間延長にかじを切った。
「安全性に疑問が残る古い原発を使ってよいと軽々しく言うのは間違いだ。ミサイルで攻撃を受けたらどうなるか。福島県浪江町出身なので、原発事故で一人も住民が残れないのがどんなに惨めなことか知っている。次世代の安心な原発をつくるというが、本当にできるのか。電力不足や電気代高騰を、原発推進の逃げ道に使ってはいけない」
はらなか・かつゆき 1940年、福島県浪江町生まれ。日本大医学部卒。東京大医学部助教授などを経て、2004〜10年に茨城県医師会長、10〜12年に第18代日本医師会長を務めた。茨城県筑西市の医療法人杏仁会大圃おおはた病院理事長。近著に「国民を幸せにする政治 医療現場からの訴え」(講談社エディトリアル)
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