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支持率30%減 菅政権コロナ失政のパノラマ/JBプレス・msnニュース
伊東 乾
2021/02/02 06:00
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e6%94%af%e6%8c%81%e7%8e%8730-%e6%b8%9b-%e8%8f%85%e6%94%bf%e6%a8%a9%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e5%a4%b1%e6%94%bf%e3%81%ae%e3%83%91%e3%83%8e%e3%83%a9%e3%83%9e/ar-BB1dibBI
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは世界を大きく変える可能性がある© JBpress 提供新型コロナウイルス感染症のパンデミックは世界を大きく変える可能性がある
2020年9月の発足時は64%の高支持率を記録した「菅義偉政権」、いまや支持率は30%下落して30%台前半、つまり「2人に1人の支持者」を失ったことになります。
これではとてもではないが、選挙の顔なども務められるわけがない。
支持率暴落の理由は「コロナ失政」とされますが、政治側からの解説は、政局ゴシップ的な話ばかり。コロナ失政の実態と乖離した話ばかりを目にします。
そこで、失政の現実に注目してみましょう。
例えば、新型コロナウイルス感染症による国内の死者数が1月28日、最大記録を更新しました。
これはつまり、こういうことになる。
東京だけで、ほとんど毎時1人はコロナで亡くなっている――。
113人という数を24時間で割ると毎時4.7人ですから、この国ではだいたい12分に1人が、この病気で死んでいる。
それが過不足ない現実です。
ところが、世の中には困った人もいて「コロナ脳」とか何とか、何に目がくらむとそういうことになるのか分かりませんが、この疾病を軽視するようなデマゴギーを記す者もあるようです。
日本には憲法の保障する表現の自由があるとはいえ、こうした有害無益なデマを流布することは法律の穴と呼ばざるを得ないように思います。
「新規感染者数が減っている」というデータは確かにプラスの情報です。しかし、すでに十分な数の患者が出ている。
本稿を書いている1月27〜28日は、暦の上では「大寒」(1月20日)と「立春」(2月3日)の真ん中にあたり、東京でも雪がちらほら、要するに1年で一番寒さが厳しい時期に当たっている。
そうした厳しいシーズンに遅れて病気の被害の数字が出てくることなどを考え合わせると、2020〜21年「冬のコロナ被害」の最大の山は、これから2月初旬にかけてやって来ると覚悟しておくのが安全と思います。
私は毎年、日本学術振興会の行う科研費のオリジナルな成果を中学高校生に教える「ひらめき☆ときめきサイエンス」という枠で「東京大学白熱音楽教室」を実施しており、日本全国から多数の応募があります。
今年については 1月31日に実施するこの教室は「全面遠隔」で行うこととし、遠隔だからこそ可能なコンテンツの充実などを図っています。これについてはまた別途、ご紹介したいと思います。
これを主催して痛感するのは「遠隔教育を決定するのは通信速度」だということです。
東京大学構内ではギガビットで繋げ、ほぼ何の支障もなく、特にタイムラグが極少で、テンポがゆっくりならネットで合奏すら可能な場合があります。
しかし、市井のネットは細くて重くて、いまだおよそリアルタイム教育に使えるものではありません。
2011年前後、ひとまず「ユーチューブがつながりゃPRできるでしょ」というネット選挙念頭の情報インフラで止まってしまった日本のIT政策の弱点をまざまざと見せつけられます。
これは「菅失政」に始まったことではなく、東日本大震災後、政権に復帰した自民党政権9年の科学技術音痴という慢性病の症状でもあります。
しかし、2020年の1年間という時間があれば、いや9月以降の3か月間だけでも情報インフラストラクチャーに特化した対策が取られていたら、はるかにまともな結果が得られていたのは間違いありません。
グローバルAI倫理コンソーシアムの観点から明言しておきます。中央で見る限り、日本はコロナ対策のネットワークやAI倫理に見るべき政策を一つとして打てていると思われません。
遠隔教育の困難も理系音痴失政が招いた典型的な被害ですが、以下では大寒から立春にかけての「コロナ被害」・・・もっと露骨に書くなら、コロナ死者数を増やさないために、「国民皆保険」と「医療崩壊」をめぐる菅政権の失政リスクを検討してみましょう。
真の医療崩壊とは?
日本で発生しているコロナ禍、ならびにコロナ周辺の惨禍は、極めて「日本的」な原因に基づく、多くが人災、制度が作り出す問題です。
あまり本質的ではないことが、患者の生命という本質的なものに直結してしまうという悪循環を作り出しています。
例えば「医療崩壊」。
声高に叫ばれていますし、実際、医療現場は大変なことになっている。
医師・看護師は激務なのに、報酬などはむしろカットされる場合があり、危険を避けるべく離職者も増え、その離職を非難する文脈も見られ、ひどく混乱しています。
しかし、日本でいま発生している「医療崩壊」は、新型コロナウイルス感染症が「感染症2類相当」と法的に定められ、患者を受け入れることができる病院が公的医療機関など一部の病院に限定されたことが、大きな要因であることにまず注目する必要があります。
残りのベッド数が少ない式の報道が目立ちますが、一部の病院に負担が集中し、当該の病床数の逼迫に対して、拡大対策が取られている。
「医療崩壊」という恐ろし気な言葉だけが先行して、本当の意味で医療が崩壊するとは何なのか、定義を含め、日本国内ではまともな議論の共有、いやそれどころか、基本概念すら共有確定していないのが、残念な現状と言わねばなりません。
欧州や米国の大学が集まって作った私たち「グローバルAI倫理コンソーシアム」で2020年春の時点に検討した「医療崩壊」の指針は、「医療経営の利便で数値をいじっていけない」という倫理基準を設けています。
個別医療機関の経営は、当事者にとっては大変な問題ですが、グローバルに疫学統計を取ろうとすると、そんな手心が混ざったデータは、信頼できるビッグデータとは全くならない。
典型的な「アルゴリズミック・バイアス」、つまり偏ったデータのためにAIが正しい推論ができなくなるという、機械学習倫理の致命的な状況に直結してしまうからです。
「医療経済学」のデータは「医療経済」を回すうえでは重要で、厚生労働省がそれを大切に考える理由も背景もあると思います。
しかし、疫学つまりグローバルにみた人類全体の、この未曾有の疾病との闘いに打ち勝つための力としては、可能な限り正しく客観的に取られた「疫学統計」のビッグデータを用いる必要がある。
そしてそこで最も重視すべきは「致死率」であるという結論が、早々に下されています。
その時点で発生している「死者数」の上昇が、確認された「感染者数」に対してどのように変化するかを追うと、春のイタリアやスペイン、そして米国では「感染者数は減っているのに、死者数が増加する」という致死率の逆回転が発生している。
その時、ドイツでは発生していませんでした。
こうした個別の医療機関の経営と無関係な、マクロなビッグデータから人類共通の課題を抽出し、克服していくことが、真の意味での倫理であり、AI倫理もまたその例外ではありません。
菅政権がコロナ対策で第一に打つべきだった手は、国内の医療キャパシティの現実に合わせた、適切な法改正でした。
私立の病院や医療施設の病床をコロナの埒外の置いたまま、公立病院ばかりにしわを寄せ、そこでローカルな医療崩壊が現出、その危機的な報道を広告代理店が派手に喧伝するといった田舎芝居ではなく、国内の医療リソースを合理的客観的に配分するAI活用、それが可能な柔軟な法制度の再検討と果断な政策決定がなされるべきだった。
しかし、そういうものは何もなかった。
GOTOやら五輪やらと同じで、利権を含む既存の流れがあり、そこで下手におかしな断言を宰相自ら早々に口にしてしまい、その先、二進も三進もいかなくなるという、大根役者ぶりを発揮しただけであったように思うのは、私だけでしょうか?
「国民皆保険」と「医療崩壊」
この観点でもう一つ強調しておかねばならないのは「保険制度」です。
日本は「国民皆保険」の制度が徹底している。英国と並んで最も高度な福祉が完成した、成熟した社会という一面を持っている。
そのことの意味や価値を、社会は再認識する必要があるでしょう。
1月13日、菅義偉首相は記者会見のなかで、どうやらウッカリの失言だったようですが、「国民皆保険・・・を続けていくなかで、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要はあると思」うと発言。
直ちにマスコミなどが「首相が国民皆保険制度の見直しに言及」と反応し、官房長官などが火消しに奔走する羽目に陥り、宰相の器が問われたのは記憶に新しいところでしょう。
周知の通り、米国は世界最悪のコロナ被害国です。
その大きな原因が、2017年以降の4年間、史上稀に見る特殊な状態にあった共和党政権が様々な珍政策を弄したなかで、「オバマケア」の撤廃を大きく掲げたことにあります。
「オバマケア」は、国民皆保険に近いものと思うと分かりやすいと思います。米国でバタバタとコロナで人が亡くなるのは、ヒスパニックや有色人種を中心に病気に罹っても必要なケアが受けられない人がいるからでしょう。
伝染病に罹患してまともな治療を受けられなければ、命に関わる事態になっても何の不思議もない。
日本では声高に「救える命が救えない」と報道され、テレビはそれで視聴率の上前を撥ねることばかり考えます。
しかし、世界で起きていることは、まともに治療すれば当然救える命が、米国で、アジアで、様々な途上国で、日々まともなケアを受けられないことによって犠牲になっている。
グローバルに覚醒した視点を持つ人は、この落差に自覚的である必要があります。
なぜ、悪夢のトランプ前政権は「国民皆保険」を嫌ったのか?
一言でいうのは難しいですが、大きな要因として、経営の観点から、浅く広く一様に平等な医療というのは儲からない。そして「大きな政府」の施策を切り捨てたい人たちがいる。
これは間違いないことで、日本にも決してない議論ではない。ここに注意しておく必要があります。
国民皆保険は、ある種の観点からは、経営上の「お荷物」にもなりかねない。
そういうレベルの議論も間違いなく存在するけれど、それをないがしろにしてしまったら、日本はもう完全にまともな福祉国家ではなくなってしまう。
多数の移民を受け入れつつ、そうした人々に保険が行き渡らないという米国や欧州で見られる現象を、「ゆりかごから墓場まで」と言われる島国の英国は回避してきた。
またブリテン島への中東難民の流入は「BREXIT」というアレルギー反応を呼び起こすのに十分でもあった。
さて、いま、英国以上に島国根性丸出しで、外から入ってくる人に露骨なヘイトや社会差別のある日本で、「もともといる日本人」の間に行き渡っている「国民皆保険」を見直して、国も医療も病院も経営合理化していきましょう、お金を持ってる人が医療上も優遇されるのは当然で、そうでないのはそれなりに・・・となったらどうなるか。
そういう水準の「国家」に地滑り転落してしまったら、もう日本は本当に終わりと思いますし、政治家だって明らかに票を失うそうした政策を標榜することは、普通はありません。
しかし、現状、普通でないことが起きて、皆びっくりしたというお粗末だったかと思いますが、国民皆保険のシステムは、我が国が最も大切に堅持していかねばならないものの一つです。
「国民皆・・・」という表現から、うすうす察せられるかと思いますが、この制度の背景には「国民皆兵」など、ナポレオンの人民軍とフランス法にさかのぼる様々な思想的源流があります。
そうした「源流探訪」はまた回を改めたいと思います。
しかし、こと「保険制度」に関して、日本が「皆保険」を確立できたのは、制度準備が1958年、スタートが61年、つまり池田内閣「所得倍増」と並行する高度成長期の戦後日本が獲得した、輝かしい福祉国家の金字塔であることを忘れるべきではないでしょう。
米国でも、ジョー・バイデン新政権はさっそく、コロナ対応の保険制度拡充「から」政策をスタートさせていくことに間違いなくなります。
はっきり書くなら、強化された「オバマケア」のバイデン+カマラ・ハリス両氏による徹底推進が、2020年代の10年間続くと覚悟しておいた方がいい。
これがパンデミック時代の「ニューディール」そのものと考えると、時代がすっきり読めるかと思います。
逆に約90年前の世界恐慌で、既得権益層が分断と略取を進めたのが、ナチスドイツによるファシズムならびにユダヤ人の迫害と金融を中心とするユダヤ人社会からの財の簒奪だった。
この点も記しておく意味があるかと思います。
コロナで社会がみなおかしくなっていますが、緩んだネジを締める確かな原則感が、菅政権の機関銃乱射型のコロナ政策群には全く感じられません。
中心に一本通った精神の柱、筋道の根本というべきものが全く見当たらず、各論の陰にローカルな利権の影もちらほら見える。
およそ経世済民の何たるかを心得たとは思われない、4流5流の政治に終始している。
国民医療の根幹にかかわる問題が、そろばん勘定で左右されてよい道理は一切ありません。
支持者の半数をすでに失い、このまま進めば早晩大半に愛想をつかされるであろう、菅政権コロナ失政の本質は、合理性を欠き、無原則で、計画的な遠望をもった深慮がおよそ存在しないことと言えるでしょう。
ではどうしたらよいのか?
合理的なデータに基づく必要がありますが、そのためのインフラ整備から、根起こしする必要があります。
あちこちのローカルな利権をすべていったん「滅却」して、疾病克服のための妥当な原理原則で心棒を通し、3か月、半年と計画性を持った施策を打ち続けていくこと。
野党ではないのですから、与党として、そのようなまつりごとのイニシアティブを執らねばなりません。
そうした観点からグローバルAI倫理コンソーシアムで継続している、そのような議論を具体的にご紹介したいと思います。
(以下、略)
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