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「定期テスト廃止」で成績が伸びる理由
公立中学が挑む教育改革(12)千代田区立麹町中学校・工藤勇一校長
2018/10/30
多田慎介 (ライター)
お知らせ:本連載をまとめた書籍『「目的思考」で学びが変わる—千代田区立麹町中学校長・工藤勇一の挑戦』(多田慎介 著)は全国の書店にて好評発売中です。
校長・工藤勇一氏の任期5年目となる2018年度も、千代田区立麹町中学校では次々と大きな改革が実行されている。その目玉の一つが「定期テストの廃止」だ。公立の中学でなぜ、定期テストが廃止されることになったのか。そして、校長が下したその決断に現場の教員は何を思い、どう動いたか。リアルタイムで進む「前代未聞の改革」の今を追った。
千代田区立麹町中学校校長・工藤勇一氏(撮影:稲田礼子)
中学時代や高校時代を思い返せば、筆者にとって定期テストとはあらかじめ定められた苦行の期間を指すような言葉だった。中間テストに期末テスト。それらはただの試験としてではなく、「テスト期間」という、日頃よりも一層真剣に勉強に取り組まなければならない数日間とともに訪れた。周囲の大人たちの目を意識すると、その期間に遊び呆けるのはさすがにバツが悪かった。何とかギリギリのラインで生き延びるための一夜漬けという方法を知ったのもテスト期間があったからこそだ。
その定期テストが廃止された。
とは言っても、現在麹町中学校へ通う生徒たちが楽をできるようになったわけではない。従来の中間テストと期末テストが廃止される代わりに、年3回だった「実力テスト」は5回に増えた。さらに、授業の進捗度合いに応じて教科ごとの「単元テスト」が高い頻度で課されるようになった。
工藤氏は一連の改革を「生徒が自分の頭で考え、学ぶ習慣を身に付けるためのもの」と語る。新しい体制のもとで、生徒はどのように変わりつつあるのか。
その仕組みは「大人の都合」になっていないか
2017年度に麹町中学校へ赴任した主幹教諭の関根奈美江氏は、定期テスト廃止の方針を聞かされた当初は他の教諭とともに驚いた。しかし同時に「ありかな」とも思ったという。
「現状のテストは、教員が生徒を評価しやすくするための仕組みになっていないか?」
工藤校長がそんな問題提起をするのを以前から聞き、同じような疑問を抱くようになっていたからだ。本来、テストは生徒が「自分の中に学力が定着しているか」を確かめるためにあるもの。しかし定期テストという仕組みには「大人の都合」が多分に含まれていると感じていたという。
定期テストを廃止した効果について語る主幹教諭の関根奈美江氏(撮影:編集部)
「中間テストや期末テストだけで成績評価を固められれば教員にとっては楽だし、生徒にも結果を伝えやすいんです。それは互いにとって良い材料ではあるけど、やり方を『定期』にする必然性はありませんよね。生徒の学力の定着というそもそもの目的を考えれば、別にいつやっても構わないはずです」
従来の定期テストでは、教員が事前に出題範囲を明示していた。学園もののテレビドラマなどでお決まりのように使われる、授業で教員が「ここ、期末に出るからな」と言っている場面がまさにそれだ。出題範囲を明示しておけば問題を作りやすいし、評価もしやすい。
「でも今はそれをしていません。生徒たちに自律して、自分で学習の習慣を身につけてもらいたいからです。テスト前だけ、一気に集中して良い点を取るためだけに勉強するのではなく、自分で計画を立てて学んでほしいと思っています」
関根氏が受け持つ理科の場合、3年生では5単元の学びの範囲がある。それぞれが終わるたびに単元テストを実施するが、これだけでは範囲が広いので「小テスト」も設けた。1つの単元の中で3回程度、約10分の小テストを実施する。日々の授業で学んだ内容が自分の中に定着しているかどうか、生徒が実感を持って確認できるようにするためだ。
ちなみにこの単元テストは、生徒自身の意志で「再挑戦」もできる。納得のいく点数が取れなければ、自己申告して再度受け直すことができるのだ。2回目で点数が上がれば、それが成績に反映される。そのため当初はほとんどの生徒が再テストを志願した。
「それが、1学期が終わる頃には『自分で納得できる点数だったから無理に再テストを受ける必要はない』と話す生徒も出てきました。そもそも再テストを受けるかどうかは本人の選択次第。『せねばならない』ものではないので、自分で納得できる結果だったのであれば教員は何も言いません。その考え方が生徒の間にも浸透してきたのだと思います。
『周りが受けるから自分も受けなきゃ』という同調圧力のようなものもなくなってきました。生徒は徐々に自分で考え、自分で選択するようになってきています」
年5回の実力テストも同じ目的に向かって設計されている。その名の通り、自分の学力がどれだけ定着しているかを見るものなので、出題範囲は示さない。また、実力テストの結果は成績評価にも算定されない。生徒にとっては、完全に純粋な、自分のためだけのテストなのだ。
「実力テストの結果について、教員はほとんど何も言いません。生徒にとっては誰のせいにもできないテストです。だからこそ、結果を見て『やばい』と思う子はもっと勉強するようになるし、そこそこ良い成績を取っていても満足がいかない子は『もっと頑張ろう』と思うんです」
出口が見えれば不安は解消されていく
前例のない取り組みは試行錯誤の連続だった。
「『小テストをやるよ』という予告はしているし、日々の復習をしていれば恐れることはありません。でも、生徒たちはテストという名前が付くとどうしても身構えてしまうものです。『うわ、テストだ』となってしまう。特に3年生は高校受験を目前に控えていることもあって、新しいテストの形に必要以上に敏感になっていたのでしょう」
動き出したばかりの1学期はまだまだ不安定だったと関根氏は振り返る。生徒にとっては、やり方が変わったことでどう成績に反映されるのかが見えず、不安な気持ちもあったのかもしれない。また、各教科の単元テストのタイミングが重なり、毎日のように試験日が続くこともあった。学校行事と日程が重なるという現実的な問題も見えてきた。やってみて、初めて分かることもある。その後は同じ学年を受け持つ教員が教科間で時期を調整しているという。
新しい取り組みに対しては、保護者からも不安の声が寄せられていた。むしろ生徒よりも保護者のほうが不安だったのかもしれない。
「『定期テストなしで、どんな形で成績が付くの?』という質問がたくさん寄せられました」
そのため、学校だよりでの発信や、保護者会、面談などの場での説明に心を砕いたという。保護者が不安になると、当然子どもも不安になる。
しかしこの状況は、1学期の終わりに通知表が手渡されると一変した。蓋を開けてみれば、昨年より成績が上がった生徒が多かったからだ。
「今まではテスト範囲が広くて勉強しきれなかった子も、単元テストでは範囲が狭まり、集中して勉強できるようになったというケースが多いんです。生徒も、良い結果が出たことで『思ったよりも大変じゃなかった』と思ってくれているのではないでしょうか」
出口の見えないトンネルを走り続けるのは怖いものだ。自分がやっていることがどこにつながっているか見えないと、どうしても不安になってしまう。しかし一定の成果が出れば、つまりトンネルの出口が見えるようになれば、その不安は一気に解消されていくと関根氏は笑顔で話す。
「保護者からは『次の単元テストはいつですか?』『出題範囲は?』といった問い合わせも多く寄せられましたが、そこには一切答えませんでした。生徒たちが自ら知るからこそ意味があるんです」
「やらされ勉強」からの脱却
(撮影:編集部)
「そもそも、勉強とは自分から自発的に取り組むものであって、定期テストだから勉強するというのは本末転倒です。瞬発力も大事だけど、勉強はそれだけではない。日常的にテストという目標が身近にあることでモチベーションが継続し、すきま時間をうまく使う習慣も身に付いていくんです」
もうすぐ小テストだから、分からないところを確認しよう。次の時間は単元テストだから、休み時間に少しでも確認しよう。そんな風に「小さくあがく」ことも大切なのだと関根氏は説く。
このやり方では生徒たちへの負荷が高まってしまうのではないか? と懸念する向きもあるかもしれない。ただそれは、従来のやり方にも言えることだ。定期テスト前に中学生が徹夜するのが望ましいことかと問われれば、否定せざるを得ないだろう。
テストの形が変わってから、関根氏のもとへは以前にも増して生徒が質問に訪れるようになったという。
「特に3年生はよく質問に来ますね。小テストや単元テストが近くなると本当に多いです。1回あたりのテスト範囲が狭いことで、『自分の分からないところが分かりやすく』なったのでしょう。教員としても、生徒の理解度を以前よりもつかめるようになりました」
関根氏が担当する理科の場合は、言葉を覚える暗記の部分は成績が非常に伸びているという。一方、思考力や技能を問う領域では、ペーパーテスト以外の実験や観察を以前よりも厳しく見るようになった。きちんと考察ができているか、ちゃんと自分の意図が伝えられているか。教員として、こうした評価にも力をより振り向けられるようになったのだ。
この方法の真価が見えるのは2年後になると関根氏は言う。今の1年生が卒業していくときに、学習法として定着しているかどうか。それが楽しみなのだと。
「その頃には大学入試制度も大きく変わっています。やらされ勉強ではなく、いかに自分で決めて勉強をするかが今以上に問われる時代になっているはず。自身で課題を見つけ、必要なときに勉強をする。必要がないところは手を抜いてもいい。それを自分で考え、判断し、行動できる力は、大人になっていくに連れてますます重要になっていくのではないでしょうか」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14365
着任4カ月で200の課題を洗い出した改革者の横顔
公立中学が挑む教育改革(5)千代田区立麹町中学校・工藤勇一校長
2018/03/05
多田慎介 (ライター)
お知らせ:本連載をまとめた書籍『「目的思考」で学びが変わる—千代田区立麹町中学校長・工藤勇一の挑戦』(多田慎介 著)は全国の書店にて好評発売中です。
新宿区教育委員会で、行政を巻き込んでの一大改革を推し進めていった工藤勇一氏。その次なる舞台が千代田区立麹町中学校だった。2014(平成26)年に校長に就任するやいなや、矢継ぎ早に学校改革のための施策を実行していく。「公立の名門校」としてブランドを確立していた麹町中学校だが、工藤氏の目には無数の課題が映っていた。そのとき、職員室では何が起きていたのか。
千代田区立麹町中学校校長・工藤勇一氏
着任4カ月で200の課題を洗い出し、事業計画を立てる
東京に生まれ育った人なら、「番町・麹町・日比谷・東大」というフレーズを聞いたことがあるかもしれない。千代田区立番町小学校、千代田区立麹町中学校、そして東京都立日比谷高校を経由して東京大学へと至る、「国公立エリートコース」を指す言葉だ。
2017年に創立70年を迎えた麹町中学校が公立名門校と認識されるようになって久しい。かつてはありとあらゆる方法で越境入学を試みる保護者が急増し、最盛期には1700人を超える生徒数を誇ったという。現在では区の規定が厳しくなり、「両親が共働きで、いずれかの職場が学区域内にある」という条件を満たさなければ越境入学はできない。ほぼ地元の生徒たちで構成されている全校生徒約400人弱の学校だ。
2014年4月に校長となった工藤氏は、即座にこの学校の課題を洗い出した。大きなものから小さなものまで、6月までに160近い課題が見つかった。7月、夏休みに入るとすぐに全教職員を集め、全体研修を行った。
「この学校の課題だと思うことを書いてほしい。不満でも構わない」
教員に個別に考えてもらい、グループワークなどを経て約40の課題を集約。そこに工藤氏が見つけた160の課題を加えて、解決すべき事柄は200を超えた。優先順位をつけ、事業計画を作る。ここまで就任から4カ月。改革を急いだのは、行政に関わってきた経験値があったからだ。
「区の予算要求は概ね毎年11月頃には形になります。校長として教育委員会と折衝し、必要な予算を認めてもらうためには、夏頃までに準備を終えておく必要があるのです」
生徒とともに過ごす時間以外は、なるべく削減したい
特別な予算を必要としない改善にはすぐに着手した。その一つが「教職員の会議」だ。教職員は毎朝、職員室で朝の打ち合わせをする。着任当初の工藤氏は延々と続く全体打ち合わせの光景を目の当たりにして、辟易していた。その打ち合わせには明確なアジェンダ(議題)がなく、ただの報告会になっており、早く終わらせるための工夫もなかった。
そこで工藤氏は職員室内にある副校長席の後ろにホワイトボードを置き、会議のルールを定めた。
・赤字で書いたものは生徒に伝えなければいけないこと
・青字で書いたものは教員の間で共有しなければいけないこと
・ホワイトボードに書いてあることについて打ち合わせで話す必要はない
・これらは各自が責任を持って確認する
・その他、口頭で伝えたいことがあれば見出しと担当者名を書いておく
会議時間短縮のために活用されているホワイトボード
「このルールを徹底したら、それまでは5分も10分もかかっていた朝の打ち合わせを1分程度に短縮できました。今朝などは10秒で終わりましたよ。教員の始業時間は8時ですが、生徒は8時15分から登校します。この間に『10分のロス』があると、早く教室に行って子どもたちの様子を見てあげることもできない。教員は生徒とともに過ごす時間を何よりも大切にするべきなので、他の時間はなるべく削減したいと考えています」
改善の効果は月2回の定例職員会議にもおよんだ。定例会議のスケジュールは「14:30〜15:30」。しかし現実は、毎回予定終了時間をオーバー。「始まりも終わりも押す」のが当たり前だったという。現在の職員会議は月1回、30分程度。「全体に周知しなければいけないこと以外は会議で話さない」というルールを徹底し、教職員が使うグループウェア「校務支援システム」の掲示板などを活用して、会議に頼らない円滑な情報共有を進めている。
「横割り」組織の論理を壊し、「全員担任制」という新たな挑戦へ
麹町中学校で副校長を務める宮森巖(みやもり・いわお)氏は、着任9年目のベテラン。理科教諭として赴任し、校務管理や若手教員への指導にあたる主任教諭・主幹教諭を経て、先代校長の時代に副校長となった。工藤氏の改革による変化を最もよく知る人物の一人だ。
「以前は、『雑務はすべて副校長がやるもの』というおかしな雰囲気がありましたね。職員室の電話が鳴っても、教職員は誰も出ないんです。私がすぐに出られないときは何コールも響いていました」
千代田区立麹町中学校副校長・宮森巖氏
現在では、職員室の電話が鳴れば、誰かが必ず3コール以内に対応する。これは工藤氏の着任後に始まったビジネスマナー研修の成果だ。「電話は3コール以内に出る」「『麹町中学校の◯◯です』ときちんと名乗って対応する」。一般企業の新人研修のようだが、麹町中学校では50代のベテラン教員であれ新卒の事務職員であれ、新たに赴任した人は必ずこのカリキュラムを受けることになっている。
トップが改革者となったことで、教員同士の関係性にも変化が生じた。
「これは他の学校にも見られることかもしれませんが、かつての麹町中学校の教員は学年ごとのセクションに分かれて、学年主任を中心に強固なチームを作っていました。これ自体は悪いことではないのですが、行き過ぎると全体の連携を阻害することにもつながります。教員同士にも情があるので、『まずは担任を盛り立てよう』とか『学年主任の顔を立てよう』とか、組織の論理で動いてしまうこともある。しかし本来は、学年主任や担任の立場にこだわらず、一人ひとりの生徒にとって最も教育効果を発揮できる教員を前面に出していくべきです。工藤校長は、そんな『当たり前のこと』を実践させました」
以前は、生徒に何か問題が起きても、別の学年の教員が関わることはほとんどなかった。しかし現在では違う学年の教員もどんどん首を突っ込む。縦割りならぬ「横割り」組織の論理を、工藤氏が良い意味で壊したからだ。その生徒の問題と向き合うために、誰が最も適任なのかをフラットに考えて対応させる。宮森氏は「工藤校長が来てから、教員間のコミュニケーションは格段に濃くなった」と感じているという。
教員の意識が着実に変わっていく様子を受けて、工藤氏はさらに大きな改革を準備している。2018年度から、麹町中学校では従来の常識であった「固定担任制」を廃止し、「全員担任制」を採用することが決定したのだ。生徒と教員との信頼関係を一層深め、生徒一人ひとりにより質の高い指導・支援を行っていくことがねらいだ。
これによって、朝の会や道徳、総合的な学習の時間などを含め、従来は固定の担任教諭が担っていたすべての業務に、状況に応じてもっとも適切と考えられる教員が適宜配置されることとなる。生徒は「今、最も頼りたい先生に相談する」というアクションをシンプルに実行することが可能。面談などは生徒や保護者の希望を優先して決定していくという。
こうした取り組みも、既存の組織運営にとらわれることなく、「生徒と保護者にとって最も質の高い教育体制を実現する」という目的を最優先して手段を考える工藤氏ならでは。この春からスタートする新たな試みを、本連載でも追いかけていきたいと考えている。
優秀な教員の「採用・育成」にも力を入れる
組織が大きく変わったのは、工藤氏の考えに賛同し、志を同じくする教員が増えているからに他ならない。東京都教育委員会が実施する「公立小中学校教員公募」の制度を利用して、目指す学校像を実現するための「リクルーティング」にも力を入れている。非常勤職員を除くと麹町中学校の正規の教員数は約25名程度だが、4年間でその4分の3が入れ替わった。
「工藤校長も私も優秀な教員を常に探しています。公募制度で集まるのを待っているだけでなく、教員が集まる研究会などにも頻繁に顔を出して、『これは』と思う教員には積極的に声をかけています」
コミュニケーションの能力と技術に長け、「君のことを本気で考えているんだよ」という思いを生徒に心から伝えられる誠意がある人。その上で、教科における専門性が高ければ何より。そんなターゲットを設定して、校長とともに宮森氏は日々、優秀な人材の発掘に努めているのだという。
採用活動だけでなく、人材育成にも余念がない。
「私が学年主任を務めていた頃は、何か問題が起きても校長や副校長に相談することはほとんどありませんでした。いつも自分が『最後の砦』だったんです。しかし現在の麹町中学校では、教員が『こんな方法でやりたいんですが、どう思いますか?』と直接校長にアドバイスを求める場面が頻繁に見られます。工藤校長の指導技術がずば抜けていること、そしてその背中を積極的に見せていることが大きいのではないかと思っています」
生徒に何かしらの問題が生じて、保護者との間でトラブルを抱えてしまうこともある。そんなときに工藤氏は「保護者と語り合えるんだから、トラブルはチャンスだよ」と教員に語るのだという。日頃はなかなかじっくり話す時間を持てない保護者が、わざわざ学校へ足を運んでくれる。保護者との信頼関係を強化するためには、またとない機会というわけだ。
問題を解決するだけではなく、以前にも増して強固な信頼関係を築き、生徒のためにより良い環境を作る。そのためには校長自身が保護者と向かい合い、徹底的に会話する。「まずやってみせる」という姿勢もまた、工藤氏の特徴だという。
子どもが第一、次に保護者、そして教員。この優先順位を明確にして、問題解決にあたる教員へは「子どもたちのためになっているかを第一に考えろ」と言い続ける。そんな校長の存在が、一人ひとりの教員の行動を大きく変えたのだった。
◇◆◇ 書籍発売のお知らせ ◇◆◇
「目的思考」で学びが変わる
千代田区立麹町中学校長・工藤勇一の挑戦
多田慎介 著(ウェッジ)
2019年2月16日発売
第1回:「話を聞きなさい」なんて指導は本当は間違っている
第2回:対立は悪じゃない、無理に仲良くしなくたっていい
第3回:先生たちとはもう、校則の話をするのはやめよう
第4回:教育委員会の都合は最後に考えよう
第5回:着任4カ月で200の課題を洗い出した改革者の横顔
第6回:“常識破り”のトップが慣例重視の現場に与えた衝撃
第7回:親の言うことばかり聞く子どもには危機感を持ったほうがいい
第8回:保護者も学校を変えられる。麹町中の「もうひとつの改革」
第9回:社会に出たら、何もかも指示されるなんてことはない
第10回:人の心なんて教育できるものではない(木村泰子氏×工藤勇一氏)
第11回:「組織の中で我慢しなさい」という教育はもういらない(青野慶久氏×工藤勇一氏)
第12回:「定期テスト廃止」で成績が伸びる理由
第13回:麹町中学はなぜ、「固定担任制」を廃止したのか
第14回:修学旅行を変えたら、大人顔負けの「企画とプレゼン」が生まれた
第15回:「頑張る」じゃないんだよ。できるかできないか、はっきり言ってよ
第16回:誰かと自分を比べる必要なんてない(澤円氏×工藤勇一氏)
多田慎介(ライター)
1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイト入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職を経験。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12128
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