2018年12月19日(水) 主張 新防衛大綱・中期防 違憲の攻撃兵器導入許されぬ 安倍晋三内閣は、日本の軍事力の在り方や水準などを示す新たな「防衛計画の大綱」(新大綱)と、それに基づく今後5年間の軍拡計画である「中期防衛力整備計画」(中期防)を閣議決定しました。短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機であるF35B戦闘機を導入し、同機を搭載するため、現在2隻ある「いずも」型護衛艦を事実上の攻撃空母へ改修することを打ち出しました。長距離巡航ミサイルの整備などと併せ、他国への攻撃能力を本格的に獲得する道を開くもので、極めて重大です。 「世界中の海域から攻撃」 F35Bは、レーダーに探知されにくいステルス(隠密)性能を持つ米国製の最新鋭機です。米海兵隊が既に実戦配備し、精密誘導爆弾などによる対地攻撃を主な任務にしています。新大綱・中期防では将来的に42機を航空自衛隊に導入し、このうち2019年度〜23年度に18機を取得する計画です。 「いずも」型は、全長248メートルの海上自衛隊最大の艦船です。「ヘリコプター搭載護衛艦」と呼ばれていますが、艦首から艦尾までつながる飛行甲板を備えた事実上のヘリ空母です。19年度〜23年度に甲板などを改修し、F35Bを最大10機搭載できるようにします。 中期防では、F35Bの運用例として「航空攻撃への対処、警戒監視や訓練、災害対処等」を挙げていますが、結局、無限定です。F35Bの運用が可能になれば攻撃能力が飛躍的に強化されるのは間違いありません。 英国は昨年末、F35Bとヘリコプターの運用を前提に設計・建造した最新鋭空母クイーン・エリザベス(全長280メートル)を就役させました。今年9月にはF35Bの発着艦を開始し、ウィリアムソン英国防相は「これにより英国は世界中のいかなる海域からでも圧倒的な攻撃を行う能力を再び持つことになる」と述べています。 同月には、アラビア海に展開していた米海軍の強襲揚陸艦エセックス(全長253メートル)から米海兵隊のF35Bが発進し、アフガニスタンでの反政府勢力掃討作戦で空爆を実施しています。 新大綱・中期防は日米同盟の一層の強化をうたっています。安保法制=戦争法の下、改修された「いずも」型が海外の紛争で米海兵隊のF35Bを支援する拠点になる危険もあります。 新大綱・中期防が、日本領空や公海上空から他国の内陸部を攻撃できる長距離巡航ミサイル(スタンド・オフ・ミサイル)の整備を盛り込んでいるのも大問題です。 具体的には▽将来、F35Bと合わせ147機体制にするF35A戦闘機(空軍用)に搭載する対地・対艦ミサイル「JSM」(射程500キロ)▽F15戦闘機などに搭載する対地ミサイル「JASSM」(射程900キロ)―などです。 安倍政権の暴走とめよう 政府はこれまで「他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日、衆院内閣委員会、伊能繁次郎防衛庁長官)としてきました。「いずも」型の改修とF35Bの導入、長距離巡航ミサイルの整備などが憲法に違反するのは明白です。 「戦争する国」づくりに突き進む安倍政権の暴走をやめさせることが必要です。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-19/2018121901_05_1.html 2018年12月19日(水) 違憲の攻撃能力へ27兆円 空母化・F35明記 新「防衛大綱」・中期防 閣議決定 安倍政権は18日、日本の新たな軍事方針「防衛計画の大綱」(大綱)と、2019〜23年度の武器調達計画を示す「中期防衛力整備計画」(中期防)を閣議決定しました。5年間で過去最大の27兆4700億円を計上し、前中期防の24兆6700億円から2兆8千億円増額しました。安倍政権下で進む大軍拡路線をさらに加速させるものです。 装備面では、海上自衛隊「いずも」型護衛艦の改修と米国製のF35Bステルス戦闘機を念頭にSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)機の導入を明記。F35Bを「いずも」で運用することも記しており、憲法で禁じる「攻撃型空母」の保有につながります。
政府は大綱に基づき、F35を105機追加調達する見込み。すでに閣議決定しているA型の42機と合わせて将来的に計147機体制になります。追加取得の内訳はA型が63機、B型が42機です。 「いずも」甲板では10機のF35Bが同時運用可能とされており、当面は「いずも」型護衛艦2隻に対応する形で、2個飛行隊を編成する狙いです。次期中期防の期間では、F35Bを18機調達する計画です。 また、政府が従来、違憲の敵基地攻撃能力の一つとしていた長距離巡航ミサイル=スタンド・オフ・ミサイル(JSM、JASSM、LRASM)の導入も明記。F35Aへの搭載が想定されています。こうした違憲の兵器を大量導入することで、安保法制=戦争法の具体化を加速する狙いです。 大綱は安倍政権下では2回目の策定で、13年12月以来5年ぶり。中国の太平洋進出や宇宙・サイバー分野での活発化などをあげ、警戒感を前面に出しています。 大綱は、陸海空自衛隊を、宇宙・サイバー・電磁波という新たな領域と合わせて統合する方針で、新たな防衛力の基本構想として「多次元統合防衛力」を示しました。 装備調達について大綱は、米国製の武器を導入する「FMS(有償軍事援助)の合理化を推進する」と明記したものの、「米国の高性能の装備品の効率的な取得、日米共同研究・開発等を推進する」として、トランプ米政権の要求に応じて米国製武器の購入をさらに進める考えを示しました。 前大綱につづき重視する南西諸島への自衛隊増強では、部隊の態勢強化を盛り込んでおり、新たに「島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾部隊」を創設するとしています。名護市辺野古の米軍新基地を推進する方針も改めて示しました。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-19/2018121901_01_1.html 2018年12月19日(水) 新「防衛大綱」・中期防 閣議決定 危険な計画撤回を 小池書記局長が談話 日本共産党の小池晃書記局長は18日、国会内で記者会見し、新「防衛大綱」と新「中期防」について談話を発表するとともに、5年で27兆円を超える大軍拡計画で、空母や長距離巡航ミサイルを保有するなど「憲法を蹂躙(じゅうりん)し、専守防衛の建前も投げ捨て、海外で戦争する能力を持つことになる」と厳しく批判しました。 政府が「戦闘機を常時搭載しないから、攻撃型空母でない」としていることについても、「戦闘機を搭載する頻度とは関係ない。他国を攻撃する能力を持つことになる」と指摘。「世界の平和の流れに有害な逆流をもたらす。時代錯誤の危険な計画の撤回を求めていく」と語りました。(全文) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-19/2018121901_02_1.html 2018年12月19日(水) 新「防衛大綱」・中期防 小池書記局長が談話 日本共産党の小池晃書記局長は18日、同日閣議決定された新「防衛計画の大綱」と新「中期防衛力整備計画」について次の談話を発表しました。 一、安倍政権が18日、閣議決定した新「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」は、日米同盟をいっそう強化するとともに、「従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化する」ことを強調している。そのために、新たに「多次元統合防衛力の構築」を掲げ、5年間で、現「中期防」を2兆8000億円も上回る27兆4700億円の軍事費を投入する大軍拡計画など、自衛隊が海外に迅速かつ持続的に展開する能力を増強しようとしている。
とくに、「いずも」型護衛艦を短距離離陸・垂直着陸が可能なステルス戦闘機F35Bを搭載できるように改修する、事実上の空母化を明記し、敵基地攻撃能力の保有をめざして、相手の射程圏外から攻撃できる長距離巡航ミサイルを導入している。これらは、「攻撃的兵器を保有することは、自衛のための最小限度の範囲を超えることになるから、いかなる場合も許されない」としてきた憲法上の立場を蹂躙(じゅうりん)し、「専守防衛」をたてまえとしてきた自衛隊から、海外派兵の軍隊へ明確に変貌させて、「米国と肩を並べて戦争できる国」にしようとするものであり、絶対に許すわけにはいかない。 一、新「大綱」は、中国の軍拡や北朝鮮の軍事動向を「強い懸念」「重大かつ差し迫った脅威」として、これらに対抗するかたちで、最新鋭ステルス戦闘機、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」、オスプレイや無人偵察機、新型空中給油機などを増強しようとしている。さらに、「宇宙・サイバー・電磁波を含む全ての領域を横断的に連携させた新たな防衛力を構築する」などとして、宇宙領域専門部隊、サイバー部隊、電磁波作戦部隊などを新編しようとしている。 しかし、朝鮮半島の非核化と平和に向けた情勢の大激変のもとで、安倍政権の大軍拡、「戦争をする国」づくりは、その「根拠」を根底から失いつつあり、理屈が通らなくなっている。 しかも、導入する兵器の多くは、「対外有償軍事援助(FMS)」によるもので、トランプ大統領いいなりに米国製高額兵器を「爆買い」するものとして、厳しく批判しなければならない。 一、さらに、安保法制(戦争法)と新ガイドライン(日米防衛協力の指針)にもとづいて、共同計画の策定・更新、「核抑止」を含む「拡大抑止」協議の深化、米軍を支援する「後方支援」や米軍の「艦艇、航空機等の防護」などを「一層積極的に実施する」としている。そして、「機動・展開能力」や海外での米軍との共同訓練をいっそう強化しようとしている。日米軍事一体化を推し進めて、海外で米軍と共に戦う能力を強化しようとしているのである。 一、安倍政権の大軍拡と「戦争をする国」づくりは、世界史的な平和の流れに、有害な流れを持ち込むだけである。 日本共産党は、憲法の平和原則をいっそう乱暴に踏みにじり、軍拡と海外派兵を推し進め、「海外で戦争をする国」をつくろうとする時代錯誤の、この危険な戦略と計画にきびしく反対し、その撤回を強く求めるものである。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-19/2018121902_04_1.html
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