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古賀茂明「安倍総理が崩壊させた官僚機構を再生できるリーダーとは?」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181216-00000009-sasahi-pol
AERA dot. 12/17(月) 7:00配信
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者...
3選目の安倍首相は独裁者か…(C)朝日新聞社
2018年、平成30年もいよいよ残すところ2週間となった。この一年を表す漢字として「災」が選ばれたというニュースがあったが、これは政治の世界にも当てはまる。
とりわけ、最近目立っているのが、官僚が国民を騙す事件が多発していることだ。本来、国民のために働くはずの官僚たちが、安倍晋三総理の意向を忖度して、国民を欺くというのは国民にとっては、想定外の「災い」である。
さらにこの一年に限ってみると、官僚の国民を騙すやり方がかなり「悪質化」してきている。官僚機構の劣化は第二段階に入ったと見てよいのではないだろうか。
例えば、森友・加計事件の時の佐川宣寿元理財局長や柳瀬唯夫元総理秘書官の「虚偽答弁」のケースは、安倍総理の進退に関わる案件について、官僚たちが本意ではないが、やむにやまれず追い込まれて行った不正という性格が強い。これが官僚機構劣化の第一段階である。
これに比べて、働き方改革法案や外国人労働者受け入れ拡大法案などをめぐるデータ捏造を見ていると、むしろ、安倍政権から見れば、「なんでそんな馬鹿なことをしてくれたの?」と言いたくなるようなお粗末な不正である。これは、官僚の側が自ら「ワル知恵」を出して安倍政権に媚びる「忖度競争」の結果、「悪貨が良貨を駆逐する」現象が生じていることを示している。そして、その先には恐ろしい事態が待っている。
■官僚の劣化の第二段階が意味するのは歯止めなき「独裁政権」への道
官僚には能力の高い人が比較的多い。普通の官僚は良心も持ち合わせている。正義感もあるし、不正と闘う勇気もあるはずだ。
しかし、安倍総理が意図しているかどうかにかかわらず、政権と官僚の間のいい意味での緊張感、牽制関係が失われ、安倍政権が一方的に優位に立つ構造が成立してしまったことによって、ほとんどすべての官僚たちに良心を放棄させ、正義感を忘れさせ、政権の過ちを指摘する勇気も失わせてしまったように見える。安倍総理や閣僚たちの大きなスキャンダルが、結局はうやむやにされ、一時的に支持率に影響を与えても、時間が経つと回復する。今度こそ終わりだなと思った政権の危機もなぜか最後は何事もなかったかのように政権が乗り越えてしまう。最近では、スキャンダルが出ても、またか、という反応の方が強くなり、どうせ一時的な騒ぎで終わるだろうと多くの人たちが思ってしまう。いわば、スキャンダル不感症が蔓延しつつある。これが続くとどうなるのか。
スキャンダルのたびに、官僚たちは、安倍政権の強大さを繰り返し思い知らされてきた。その状況が6年間経過し、あと3年はその体制が続くかもしれない。そう考えると、安倍総理直轄案件とも言える目玉政策に関しては、その意向を忖度して不正まで行うしかないということになる。これが、官僚劣化の第一段階だ。これが続くと、さらに不正を正そうとすることは身を滅ぼすことになると考えて、周囲の官僚たちも見て見ぬふりをするようになる。一方で、総理が関心をもたない大部分の行政分野では、せっせと自分たちの利権拡大に励むという事態も同時に生じる。
さらに、現在は、もう一段階事態が悪化し、一部の官僚は、出世のために、総理の歓心を買おうと考え、求められてもいないのに、あるいは、どう見てもバレるとわかっているのに、無理をしてデータ捏造などに手を染めるようになる。もちろん、総理や官邸は、裁量労働制拡大に都合の良いデータが欲しかったであろう。あるいは、技能実習生の制度に大きな問題はないというデータを求めたかもしれない。しかし、その時に、「ないものはない」と全員が口をそろえて言えば、何の問題もなかったはずだ。それで安倍政権が倒れるわけでもない。国会では与党が圧倒的に優位に立っている。大きな問題さえ起こさなければ、どんなに反対が強くても法案は通る。現に、原子力損害賠償法、水道法、漁業法などの改正案は、世論の反対はかなり強かったにもかかわらず、ほとんど審議もせずに通ってしまった。もし、これらの法案に関してデータ捏造があり、それがバレていたら、法案は通らなかったかもしれないし、少なくとも審議はかなり紛糾していたであろう。そんな危ないことは、官邸から見てもやって欲しくないことなのだ。
にもかかわらず、ある官僚が、無理をしてデータを捏造する「名案」を思い付いて、それが誰も止められないまま国会に出て行く、ということが起きている。
なぜ、そういうことが起きるかと言えば、出世のためだ。そして、一部の官僚がそれを始めると、周りの官僚も心穏やかではなくなる。ライバルたちが、総理や官邸のご機嫌取りを積極的に行って歓心を買うのを見ていると、出世のためには、自分も同じように、いや、それ以上に「頑張る」ことが必要だと感じるのだ。官僚にとっては、いわば、「正当防衛」だから、罪悪感もほとんどない。かくして、官僚機構全体が「忖度競争」に陥ってしまう。「悪貨が良貨を駆逐する」現象が起きて、まともな官僚は「絶滅危惧種」となるのだ。
■リーダーシップと恐怖政治を履き違えた安倍総理
安倍総理にはリーダーシップがあるという人がいる。しかし、リーダーシップと恐怖政治というものは根本的に異なる。
リーダーシップには、前提として、その組織に共通する大きな「公的な」目標が必要だ。それに向けてリーダーの指揮管理の下で各メンバーが動いていく。政府という組織で言えば、「国民のため」というのが、共通の大目標だ。
一方、恐怖政治では、トップには目標があるかもしれないが、そのメンバーに共有されるような公的なものではない。その時々にトップ「個人」が欲することに合わせてメンバーが動く。したがって、大きな目標との関係で、具体的な行動が正しいのかどうかを判断する基準が見出せないのだ。国民のために働くという大目標が共有されていれば、それに反する行為については、何らかの歯止めがかかる。ところが、目標はその時々の安倍総理の胸のうち、ということであれば、とにかく安倍総理の気持ちを忖度して動くしかない。こういう特色を持つ組織としては、暴力団を思い浮かべる人も多いだろう。
憲法改正でも、集団的自衛権の行使容認でも、働き方改革でも安倍氏がイエスと言えば善、ノーと言えば悪ということになってしまうのだ。森友事件で、公文書改ざんという前代未聞の不祥事に、自殺者まで出しながら、とどまることができずに財務省が最後まで突き進んでいったのは、安倍総理は、止めろとは言わない、むしろ突き進めと考えている、そう官僚たちが判断したからである。正義とか国民のためという判断基準ではなく、安倍総理がすべてという構図。つまり、この不祥事は、安倍政権に特有の不祥事だったのだ。
■官僚機構を再生させるには権力者の交代しかない
独裁政権の一番怖いところは、「権力者の命令によって」許されないことが実行されるということではない。「権力者が命令しなくても」、その組織全体が権力者の意向を忖度して、あらゆる分野で悪政を実行するようになることである。今の安倍政権は、そういう意味で、独裁政権に近づいていると言っても良い。このままの状況が続けば、この国の行政は停滞ではなく後退し、腐敗はその極に達するであろう。
では、それを避けるためにはどうすればよいのか。もはや、安倍総理が、官僚に向かって、「襟を正そう」「正しいと思ったことは何でも進言するように」などと訓示しても、全く意味がない。なぜなら、訓示する人が平気で嘘をつくことは官僚が最もよくわかっているからだ。そんな言葉を真に受けて総理の指示に反する意見など言おうものなら何をされるかわからないと思ってしまうだろう。
そうした意識に取り憑かれた官僚たちに、正義と公正という理念が通用する世界に戻ったのだということを示すには、「全てがリセットされた」ことを明確な形で示すことが必要だ。そのためには、正義と公正を実現する気概を持っているとみんなが信じられる新たなリーダーを選び直すことしか道はない、という段階になってしまった。私は、真剣にそう思う。
■安倍総理は、谷垣禎一氏に学べ
行政のトップに立つ人物に求められる資質の一つとして、配下の人間に迷いが生じたときでも、「この人に従っていれば、正しい方向へ向かえるはずだ」という信頼や安心感を与えられることが挙げられる。これこそが今、日本のリーダーに一番求められているものだと言っても良いのではないか。
しかし、これはなかなか難しい問題だ。何らかの制度を設ければ、そういう総理が誕生するというわけではない。政治家を選挙で選んでいる以上、裏で何を考えているかわからなくても、当選した人が政治家になり、総理大臣になる。
その点、私の心に鮮烈な印象を残したのが、谷垣禎一前自民党総裁だ。
それは、私が「産業再生機構」設立の法律を作り、その後機構に執行役員として出向していた立ち上げ期まで(02年〜03年)のことだった。産業再生機構は、不良債権問題処理の最終段階で、ダイエーやカネボウなどの大企業の再生案件を手掛けるために作られた政府出資の特別な株式会社だ。私は、経産省から出向して、内閣府に作られた再生機構設立準備室の参事官(総括担当)に就いた。その時の担当大臣が谷垣禎一氏だ。
傾いた企業の再生となるとどうしても、大きな外科的手術が必要となる。地域の雇用に与える影響、様々な取引先との関係、さらに、債権放棄させられる銀行との利害関係も複雑だ。当然のことながら、地元の国会議員はじめ、利権の大好きな政治家がハイエナのごとく集まってくる。経産省なども天下り先の維持を含めた利権の維持拡大に大きな関心を持つ。それをどうやって排除するのかが大きな課題だった。それは、政治家の圧力を受けませんと法律に書いたからといって無くなるわけではない。再生機構のトップ以下職員が体を張って政治家のおかしな要求をはねのけることができるかどうかということが最後の砦になる。それを少しでも担保できないかと思案した結果、私は、再生機構に執行役員として出向した後、政治家からの問い合わせがあった場合はすべて記録して、それを再生機構のお目付け役である中立的な有識者・専門家からなる産業再生委員会に報告するという制度を作った。ただ、そんなことをいくらやっても、大きな風穴があくリスクが残っていた。それが、再生機構担当大臣による個別案件への介入だ。
設立準備期間を含めて初代の再生機構担当大臣になった谷垣氏がどんな政治家か、当初、私はよく知らなかったのだが、何回か大臣室に通ううちに、こんなに立派な政治家には会ったことがないなと思うようになった。とにかく、こちらの言うことはよく聞いてくれる。だからと言って官僚の言いなりになるのではない。自分の考えもしっかり持っているが押し付けることなく、自然と政治家と官僚という立場の違いを忘れて議論ができる。そういう大臣だった。その谷垣氏が再生機構立ち上げの時、再生機構幹部にこう言った。
「いろんな案件について、ああしろこうしろとは自分は言いません。政治家や役所の介入を排除するには、私自身がそうするべきだと思います。進捗状況によっては、僕に対しても言えない時もあるでしょう。それを無理して報告してもらわなくてもいいです。なにしろ、政治的な圧力で案件が歪められたというような疑いをもたれちゃまずいですからね。私は皆さんを信用しているので、言える段階になって教えてくれればいいです」
谷垣氏は、自分は一切圧力をかけないし、影響力を行使しないという立場を明確にしたのだ。しかし、そうは言っても、実際には、ああだこうだと言ってくる大臣はいるのだが、谷垣氏は、最後まで自らはその言葉を守り、外に対しては再生機構の独立性を守ってくれた。
もちろん、再生機構に集まった多くの民間からの専門家たちも、そういう大臣の下で働くのだから、とにかく世の中から少しでも後ろ指をさされることのないように細心の注意を払おうという姿勢を一層強めた。上から下まで、国民のためという目標を共有し、正義と公正という価値観が組織全体に貫かれるようになったのだ。
さらに印象的だったのは、副大臣を務めていた根本匠氏(現厚生労働大臣)のエピソードだ。根本氏は福島出身だが、ちょうど地元にある郡山のデパートが再生案件として上がってきたことがあった。
ある日、再生機構担当副大臣の地元のデパートがいきなり再生案件だとして世の中に出る。その直前に、再生機構を担当している地元選出の副大臣が知らなかったとなったら、メンツは丸つぶれ。そんな心配をしながらも、我々事務方は、根本氏に何も知らせないまま再生の準備を進めて行った。やがて、大臣と副大臣の前で、案件の最終段階の報告をする日が来た。会議の中で、「続いて郡山のデパートの案件ですが」と、私が話し始めた時のことだ。
根本氏としては、複雑な思いがあったに違いない。地元の商工会議所の幹部など有力な後援者との関係もある。「なぜ早く教えてくれなかったのか」と言われたとき、「いや、実は、何も知らなかったんですよ」では、あまりにも格好が悪い。
しかし、彼が言った言葉は、それとは真逆の方向を向いたものだった。
「あれっ、僕の地元のデパートの話ですか。いやあ、驚いたな。あっ、でも、地元の話だから、僕が聞いたらまずいですね」
根本氏はそう言って谷垣大臣の方を見たのだ。これは官僚の視点からすると、ありえない行動だった。普通の政治家なら、自分の地元の案件だと知ったら、目がらんらんと輝き、できれば、自分が関与して、地元に手柄を持ち帰ろうとするのが当たり前の行動だからだ。
その時、私は思った。これは、もちろん根本氏の人柄によるところもあるが、おそらく、谷垣氏の日頃の姿勢、態度が直属の部下である根本氏にも非常に強い影響を与えたのだと。
「李下に冠を正さず」ということをこれほどまでに徹底できる組織というのは非常に珍しい。トップの姿勢や態度が、いかに組織全体に広がっていくかといういい見本だろう。
日本の行政機構のトップに、官僚たちが、その後ろ姿を見て、自分たちも見習って襟を正し、自らの利益や保身を忘れて、国民のために働こうと思える人が就くことが、今ほど求められている時はないだろう。
その意味で、今の安倍総理は、官僚機構にとって、まったく真逆の存在になっているのではないだろうか。
やはり、日本のために一日も早く総理大臣を交代させること。それが来年の日本の最大の課題なのだと思う。
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— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) 2018年12月17日
素晴らしい論考。ぜひご一読を。
谷垣さんは今や絶滅危惧種となった自民党の良心。安倍政権を見ているとトップの器がいかに重要かがよく分かる。
— 坊主 (@hidekeikei) 2018年12月17日
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— 大沼安史 (@BOOgandhi) 2018年12月17日
ある官僚が、無理をしてデータを捏造する「名案」を思い付いて、それが誰も止められないまま国会に出て行く、ということが起きている。
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— 学 (@Jqq3yp1EkXWidZD) 2018年12月17日
リーダーの資質により
官僚のあり方も変わってくる
という、よく書けた記事だと思う
古賀茂明「安倍総理が崩壊させた官僚機構を再生できるリーダーとは?」 やはり、日本のために一日も早く総理大臣を交代させること。それが来年の日本の最大の課題なのだと思う。 https://t.co/3pBzVP393d @dot_asahi_pubから
— Koji (@kwave526) 2018年12月17日
モリカケアベにはこんな事できない。
— 陣内和宏 (@JinKazLT) 2018年12月17日
>「あっ、でも、地元の話だから、僕が聞いたらまずいですね」
(中略)
「李下に冠を正さず」ということをこれほどまでに徹底できる組織というのは非常に珍しい。
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独裁政権の一番怖いところは、「権力者が命令しなくても」、その組織全体が権力者の意向を忖度して、あらゆる分野で悪政を実行するようになることである。
— ちょこ太郎 (@nowhere3_3) 2018年12月17日
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国の官僚機構は末期になっています。組織が回復する前に、この国は瓦解するでしょう。
— airtech33 (@goldlioncatch) 2018年12月18日
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