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社員を犠牲に蓄財 ゴーンと大企業トップ“強欲”の共通項
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243060
2018/12/05 日刊ゲンダイ 文字起こし
アベノミクスとは大企業への所得移転なのである(C)共同通信社
いくら手にすれば満足だったのか。
カルロス・ゴーン容疑者(64)が「金融商品取引法違反」で逮捕されてから2週間。その強欲ぶりが、次々に報じられている。毎年、約10億円もの役員報酬を懐に入れながら、さらに別途「有価証券報告書」に記載しない形で10億円のカネを受け取るスキームを作っていた。記載分だけでも、この9年間の報酬は87億円である。不記載分は95億円だった。
そのうえ、仏ルノーからも年9億5000万円、三菱自動車からも年2億2700万円の役員報酬を受け取っていた。
逮捕された本人は、東京地検の取り調べに「自分は20億円くらいもらっていいと思っていた」と、答えているそうだ。どうやら、経営危機に陥っていた日産を「V字回復」させた自分は、巨額の報酬を受け取るのは当然だと思っているらしい。
しかし、日産社員は「冗談じゃない」という気持ちだろう。日産の「V字回復」も、ゴーンの巨額報酬も、すべて日産社員の犠牲の上に成り立っていたからだ。
ゴーンが日産のCOOに就任したのは1999年。真っ先に手をつけたのが、「日産リバイバルプラン」と称したリストラだった。国内5工場を閉鎖し、2万1000人を削減した。さらに、その10年後の2009年にも2万人を削減している。「V字回復」は社員を切り捨て、人件費を圧縮した結果だ。しかし、社員の雇用を守らなくてもいいなら、どんな経営者だって簡単に黒字化を実現できるのではないか。
さすがに、リストラされた社員は「自分は会社のコストでしかなかったのか」「人生を狂わされた」と怒りをあらわにしている。
信じられないのは、ゴーンが報酬隠しをしていた時期は、人員削減をしていた時期と重なることだ。社員を路頭に迷わせておきながら、よくも平然と巨額の報酬を受け取れたものだ。いったい、一緒に働く社員をどう思っていたのか。
■役員報酬は31%も増加している
大手メディアは、ゴーンの強欲ぶりを特別なことのように報じているが、社員を犠牲にしてでも自分だけは高額報酬を受け取るという経営者は、はたしてゴーンだけなのか。
いまや、大企業の経営者の多くは、ゴーンと五十歩百歩なのではないか。なにしろ、この数年、サラリーマンの給与はほとんど増えていないのに、経営陣の報酬だけハネ上がっている。
東京商工リサーチが2018年3月期決算の上場企業を調べた結果によると、年間1億円以上の報酬を受け取っている役員は、240社、538人もいたという。前年より17社、72人増え、過去最高を更新した。
上場企業の2017年度の役員報酬合計は、2010年度と比べ31%も増加している。給与が3割もアップしたサラリーマンは、ほとんどいないのではないか。
法人企業統計を見ても、この1年間、企業の売り上げが6%増だったのに対し、従業員の給与は4%アップにとどまり、役員報酬だけ19%もアップしている。経営者が自分の報酬アップを最優先していることは明らかだ。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「かつて経営者は、従業員の生活を第一に考えたものですが、この20年で様変わりしています。経営者のマインドが変化した理由は、会社を誰のモノと考えるかが変わったからだと思います。もともと日本は、会社は<社員、経営者、株主>3者のモノという考え方でした。ところが、バブル崩壊後、新自由主義がまん延し、会社は株主のモノになってしまった。経営者も株主を儲けさせる者が評価されるようになった。企業業績を上げ、株価を上昇させれば、高額な役員報酬を受け取ることも許されるようになった。手っ取り早く業績を上げる方法が、人件費の圧縮です。社員を犠牲にする経営者が目立つのは、そのためです」
ゴーンも、大企業の経営者も、社員のことなど屁とも思っていないのではないか。
強欲資本主義政治だ(C)日刊ゲンダイ
安価な労働力で成り立つ企業の空前の好決算 |
この5年間続けたアベノミクスは、いったい何だったのか。
安倍首相は二言目には、「株価が上がった」「企業業績は過去最高だ」と、アベノミクスの成果を誇っているが、結局、大企業経営者の報酬を増やしただけなのではないか。
大企業の収益は過去最高を更新し続け、株価も2倍になっている。しかし、これだけ企業業績が好調なのに、安倍内閣の発足後、労働者の実質賃金は5%も減少しているのだ。
しかも、雇用も不安定化している。失業率が改善し、雇用者数は5510万人から5880万人に370万人増加したが、増加した内訳は、正規雇用が26%、非正規雇用が73%。要するに、人件費の安い労働者ばかり増えているのである。
まさに、安価な労働力によって企業業績が好転している構図である。
「実は、この5年間、日本のGDPはほとんど増えていません。経済のパイは大きくなっていない。それでも大企業が空前の好決算を更新しているのは、安価な労働力が次々に生まれ、労働コストを圧縮できているからです。やはり、アベノミクスが大きい。安倍内閣は大企業の要請に応えて、次々に労働規制を撤廃している。『働き方改革』と称して、高度プロフェッショナル制度の導入など、労働者を安く酷使できるようにしている。アベノミクスの3本目の矢である『成長戦略』はとどのつまり、労働コストの圧縮だったのではないか。そう考えれば、すべてつじつまが合います」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
なんのことはない、安倍首相が自慢する「大企業の好業績」は、労働者の低賃金によって成り立っているだけの話だ。アベノミクスの本質は、庶民から大企業への所得移転ということだ。
■だからトリクルダウンは起きない
これでは、いくら大企業が儲かり、富裕層が豊かになっても、トリクルダウンは永遠に起きない。労働者の賃金が上昇したら、大企業の業績はたちまち悪化してしまうからだ。
恐らく安倍は、最初からトリクルダウンが起きると考えてもいなかったし、起こすつもりもなかったに違いない。実際、総裁選の時「安倍政権の政策はトリクルダウンだと言われましたが、私は一度もそんなことは言ったことはありません」と口にしている。
最悪なのは、ただでさえ労働者の賃金が低下しているのに、安倍内閣は外国人労働者を大量に入れようとしていることだ。日本人より安く雇える外国人労働者が労働市場に参入してきたら価格競争が起き、さらに日本人の賃金が下がっていくのは目に見えている。
「労働者を安く使ううま味を覚えた経営者は、さらに強欲になり、もっともっと低賃金の労働者を求めはじめている。そのひとつが、外国人労働者の大量受け入れです。アベノミクスも、安価の労働力に支えられている。それだけに、この先、高プロ制度の拡大や、金銭解雇の拡大など、労働コストを圧縮する制度を次々に導入しようとするはず。しかし、大企業経営者の強欲にはキリがない。ストップをかけないと大変なことになります」(五十嵐仁氏=前出)
いつまで国民は、ペテン首相の強欲資本主義政治を許しておくつもりなのか。このままでは、庶民は永遠に強欲経営者に搾取されるだけだ。
社員を犠牲に蓄財 ゴーンと大企業トップ“強欲”の共通項https://t.co/MLxbUbqpOF
— 藤原直哉 (@naoyafujiwara) 2018年12月5日
アベノミクスは庶民から大企業への所得移転か
— 熊筆(消費税は5%) (@kumapen3776) 2018年12月5日
全くその通り
【五十歩百歩だ】社員を屁とも思わない大企業とゴーンの強欲 アベノミクスとは庶民から大企業への所得移転なのである 非正規が増え、実質賃金が下がり、大企業の決算だけがウハウハの中、働かせ改悪、移民法でさらに労働者からの収奪加速(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/r4oeZXXmIc
— KK (@Trapelus) 2018年12月5日
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