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12月 04, 2018 日々雑感(My impressions daily)
<政府は来年度、東京23区から地方に移住して起業した人と中小企業に就職した人を対象に、転居費用などとして最大300万円を補助する制度を始める。Uターン就職などを後押しすることで、地方の人手不足の解消を促す狙いがある。2018年版の地方創生総合戦略を年末に改定し、盛り込む方向だ。
対象となるのは、東京23区に住むか通勤する人で、東京圏(東京都と神奈川、埼玉、千葉の3県)以外の地域や、東京圏内の離島や過疎地に移住する人だ。23区に5年以上住んでいることなどの条件も加える方針だ。
補助金の額は移住先や家族の有無などによって異なる。会社を設立するなど、起業すれば最大300万円、地方自治体が指定する中小企業に就職すれば最大100万円を支給する。財源は国と自治体で半額ずつ負担し、転居費や住宅費などに充ててもらう。政府の来年度予算案の概算要求段階で約85億円の関連経費を計上した。地方分は都道府県と市町村が負担し、割合は今後調整する>(以上「読売新聞」より引用)
東京都23区から起業家を追い出そうというのだろうか、政府は23区居住者が区外へ移住して起業する場合300万円を補助するという。Uターン就職などを促進するのが狙いだという。
しかし、これがまともな「政策」と呼べるのだろうか。僅か300万円程度の補助金で起業できる「会社」とは何だろうか。まさかテレビなどで人気の地方の古民家を改造して開業する蕎麦屋や喫茶店などを想定しているのではないだろうか。そけらは「年金受給者」が暮らしの片手間に行うほどの収益しかもたらしていないのが現実だ。
なぜ企業がタンマリと溜め込んでいる内部留保を吐き出させようとしないのだろうか。海外へ生産部門などを移転させた企業にUターン投資減税を行えば、政府は補助金などを支出する必要はないし、東京23区居住者に対する差別的な施策を実施する必要はない。
地方がモノの見事に衰退したのは地方の工場が海外移転(主として中国へ最盛期は6万社が移転した)からに他ならない。何も東京へ人口が集中したのは東京が棲み良いからではない。地方に仕事がないからだ。
企業のUターン投資減税を行えば企業は海外から工場が元あった地域へUターンするだろう。海外移転させた工場は既に耐用年数の大半を過ぎているだろうし、持ち出した生産設備も老朽化しているころだ。
だからパナソニックなどがUターンしている。その流れをすべての企業に広めなくては日本の未来はあり得ない。空洞化した企業の実態を放置すれば必ず地方は米国のラストベルト地域と同じになる。
だからといって外国人労働移民も必要ない。地方に人がいないのは仕事がないからだ。企業が地方へUターン投資して新規工場を建設すると従業員募集を行えば少なからず大都市部からUターンを決意する地方出身者がいる。
地方出身者たちが故郷を完全に見捨てているわけではない。彼らは常に故郷の年老いた両親や生まれ育った家屋や先祖の墓などが気になっている。自分のルーツを断ち切って平気な日本国民が何人いるというのだろうか。
政治家の多くが世襲で東京生まれの東京育ちだから地方のことは良く解らないのだろう。安倍晋三氏も選挙の時だけ下関選挙区へ来て「故郷の皆様」とやっているが、彼と同級生も幼馴染も誰一人としていない。ただ歌舞伎の襲名披露のような「興行」と選挙と地元有権者たちが勘違いしているだけだ。
安倍氏が地方で生まれ育って暮らしていれば、地方の視点から見た日本の病理が良く解るはずだ。しかし、彼は完全な都会人でしかない。彼に地方の活性化は出来ない。それは大部分の世襲政治家たちも同様だろう。
日本の政治は「住民票」のある地域からの立候補しか許さない地方議員と「居住」を立候補の要件としない国会議員とを差別している。地方の市町村長や都道府県知事も「居住」を要件としていない。つまり天下り立候補を可能にしている特殊な選挙制度だ。
日本の民主主義は特別職公務員は住民の代表という民主主義の根底を蔑ろにしている。だから平気で地方切り捨ての政治を国は行う。彼らはそこに暮らしてないからだ。
零細な300万円程度の補助金に釣られる起業家とはどんなものか、容易に想像がつくだろう。しかも東京23区に暮らし区外へ移転する者だけが対象とは地方活性化策が聞いて呆れる。
なぜ大企業が溜め込んでいる内部留保を活用としないのだろうか。なぜ大量に海外移転した企業の生産工場を日本へ呼び戻そうとしないのだろうか。安定した継続的な雇用の場がなければ人はそこで棲めない。未来につながる地方の活性化とは安易な地方暮らしブームの人たちが蕎麦屋をやれば良いという程度の考えでは何も拓けない、ということが官邸に巣食う政治家たちには解らないのだろう。それらの多くの人たちは既に人生を終え、子育てを終え、終活期に入ろうとする人たちだ。残り少ない人生の最後の灯りをともしているに過ぎない。
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