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片山さつき氏に疑惑次々 「公選法に抵触か」と指摘も https://www.asahi.com/articles/ASLCM46TLLCMUTIL00R.html 2018年11月20日05時18分 朝日新聞 後段文字起こし 片山さつき氏のカレンダー(関係者提供) 片山さつき氏の看板=2018年11月15日、さいたま市 広告がなくなり、真っ白になった看板=2018年11月18日、さいたま市、宮野拓也撮影 10月の内閣改造で、唯一の女性大臣として初入閣した片山さつき・地方創生相に様々な疑惑が浮上している。安倍晋三首相から「2人分、3人分の発信力」を期待されたが、国会では野党の追及を受ける姿が目立つ。大臣としての資質を疑問視する声も上がっている。 看板、許可受けず設置 11月7日の参院予算委員会で取り上げられたのは、さいたま市内に設置された片山氏の看板だ。JR浦和駅近くの幹線道路に面した場所にあり、片山氏の写真や著書のタイトルとともに、「さいたま生まれ・育ちの唯一の参議院議員(全国比例区)!」などの文言が掲げられていた。 片山氏の説明では、2015年12月に出版された片山氏の著書の宣伝のため、片山氏の関係会社などが16年1月に設置したという。16年7月の参院選中も設置されていたことなどから、「公職選挙法が定める看板規制の違反ではないか」と指摘された片山氏は「私の書籍の宣伝広告であり、政治活動のためではない」と答弁した。 ただ、この看板は、さいたま市が条例で定める屋外広告物の設置許可を受けていなかった。市によると、広告主や設置者などが市の許可を受ける必要があったが、届け出がなかったという。市から連絡を受けた地権者が、屋外広告物の対象とならないよう広告をなくす意向を15日に示し、看板は真っ白になった。 これについて片山氏は「業者に広告費用を払っているだけなので、条例に関する話はうちに来ない」と説明。19日、「届け出は設置施工業者が行うものと認識している」とのコメントを出し、自身の責任を否定した。 片山氏の著書を紹介する看板は浜松市内にも2カ所あり、このうちJR浜松駅南口の看板も、市が屋外広告物条例で定めた許可の申請をしていないことが市への取材でわかった。市は19日、施工業者に申請するよう指導した。市内の片山氏の後援会連絡所は取材に「出版に関わった方たちが設置したもので、片山事務所は関与していない。近く業者が看板の撤去などをすると聞いている」と答えた。 カレンダーを無償配布 9日の衆院内閣委では、片山氏が2012年に作ったカレンダーについて「金銭的な価値があるカレンダーを有権者に無償で配っており、公職選挙法に抵触するのではないか」との質問が出た。 公選法では、議員らが選挙区(比例区選出の参院議員の場合は全国)の有権者らに、金銭や物品などの財産上の利益を与えることを禁じている。カレンダーは縦約60センチ、横約30センチ。片山氏の写真2枚やこれまでに提出した法案などが列記され、一番下に暦がある。 滋賀県行政書士会の事務局長は朝日新聞の取材に「2013年1月に、カレンダー約200部が事務所に送られてきた。金銭は支払っていない」と説明する。片山氏が代表を務める政党支部の12年の政治資金収支報告書には、宣伝事業費の項目に「カレンダー印刷費」として計約310万円が計上されている。この点について野党議員は「カレンダーとして支出している。そうでなければ報告書が間違っているということになる」と指摘した。 片山氏は「カレンダー的な形状に見えるかもしれないが、室内用ポスターであり部内資料」「講演会やパーティーなど対価を取った場所で配るために作った」などと述べ、問題はないとの見解を示している。 政治資金 ずさんな管理 記載漏れ3回訂正 大臣就任後に最初に浮上したのは、10月18日発売の週刊文春が報じた国税庁への口利き疑惑だった。税務調査を受けた企業経営者が2015年、片山氏側に国税庁への働きかけを依頼し、見返りとして片山氏の私設秘書の税理士に100万円を支払った、というものだ。 片山氏は4日後の同月22日、「まったくの虚偽だ」として発行元の文芸春秋を相手取り、1100万円の損害賠償を求めて提訴。その後は訴訟を理由に詳しい説明に応じない場面もあった。野党議員からは「訴えられているなら不用意なことを言えないこともあるが、訴えているのだから正当性をどんどん主張すればいい。訴訟中だからしゃべれないというのは説明逃れではないか」との指摘も出た。 政治資金のずさんな管理も明らかになった。片山氏が代表を務める政治団体で、政治資金収支報告書に記載されていない収入や支出があることが報道で相次いで発覚。片山氏の事務所は3回にわたり、計450万円の収入と計90万3千円の支出の記載漏れを訂正した。 川上和久・国際医療福祉大教授(政治心理学)の話 政治資金収支報告書を何度も訂正したり、責任者が辞めていてわからないといった趣旨の答弁をしたりしている。事務所を管理する能力が不足しており、大臣の資質についての意識も備わっていない。官邸側もある程度の問題が出ることは覚悟し、それでも支持率が大きく下がることはないと判断していたのではないか。自民党内の派閥の力関係で大臣が決まっていて、適材適所とは言えない。
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