2018年11月19日(月) 外国人労働者への人権侵害放置のまま 受け入れ拡大は許されない 入管法改定案は廃案に 笠井政策委員長が主張 日本共産党の笠井亮政策委員長は18日、NHK「日曜討論」に出演し、外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法改定案など内政・外交の諸問題をめぐり各党の政策責任者と議論しました。笠井氏は入管法改定案について、すでに国内で働く外国人労働者に対する深刻な人権侵害の実態把握も人権保障もないことなどを指摘し、野党で共同して廃案に追い込むと表明しました。 (詳報) 入管法改定案は、受け入れを拡大する外国人労働者として、多くを現在国内で働く「技能実習生」からの移行を想定しています。しかし「技能実習生」をめぐっては、最低賃金以下の労働、賃金不払いの長時間労働、暴力による強制労働など人権侵害が各地で発生し、耐えかねて実習生が失踪するケースが多発。6野党・会派は審議の前提として、失踪した実習生からの「聴取票」の公開を求め、法務省は16日にやっと集計結果だけを報告しました。 安倍晋三首相や山下貴司法相は当初、調査・捜査への影響を理由に公開を拒否。しかも、16日の報告で、失踪理由のデータや法相の答弁に、失踪理由の多くが低賃金や人権侵害によるものではないと印象付ける虚偽があったことが判明しました。 討論で笠井氏は「政府がうそを平気で言っていた」と批判。「聴取票」が、2009年と16年の国会決議に基づくものだったことも指摘し、「首相も法相も『開示は困難』だと(国会と国民を)偽った」として、「聴取票」原票の開示を求めました。 さらに、受け入れ拡大の具体的な施策について「法案は政府に白紙委任だらけだ」と話し、「安価な労働力として使い捨て、人扱いしないのでは共生もなく、日本の国際的地位も落ちるだけだ。来年4月施行の結論ありきというのは論外で、野党で一致して廃案を強く求めていく」と述べました。 討論では、日ロ領土問題、徴用工問題もテーマとなり、笠井氏は、歴史的経過も踏まえた公正で道理ある解決の必要性を主張しました。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-19/2018111901_02_1.html 2018年11月19日(月) NHK日曜討論 笠井政策委員長の発言 18日のNHK「日曜討論」では、日ロ領土問題や元徴用工をめぐる韓国最高裁の判決、臨時国会で審議中の外国人労働者受け入れ拡大のための出入国管理法改定案をめぐり、日本共産党の笠井亮政策委員長ら与野党の政策責任者が議論しました。 領土問題 2島返還で平和条約を結ぶことは絶対にやってはならない 安倍晋三首相が「日ソ共同宣言(1956年)を基礎に平和条約締結交渉を加速させる」とロシアのプーチン大統領と合意した問題で、自民党の田村憲久政務調査会長代理は「4島(歯舞群島、色丹、国後、択捉各島)を全て取り戻す日本の方針と大きく変わるものではない」と主張。平和条約締結後に歯舞群島、色丹島を日本に引き渡すと明記する同宣言を基礎としたことについて「話し合いの糸口であり、一定の進展だ」と評価しました。 笠井氏は「2島返還で平和条約を結ぶことは絶対にやってはならない」と述べ、平和条約を締結すれば「国境線が画定となり、それ以上の領土交渉の道が閉ざされてしまう。ロシア側への全面屈服となる」と強調。プーチン氏が2島の引き渡し後の主権は交渉対象との認識を示していることもあげて、「領土放棄の交渉が加速した危険すらある。両首脳の発言が食い違っている。安倍首相は何をやったのかはっきりさせるべきだ」と述べました。他の野党も疑問を呈し、首相に説明を求める考えを示しました。 笠井氏は、日ロ領土問題が前進しなかったのは「国後、択捉は千島にあらず。だから返還せよ」という日本政府の主張が「歴史的事実からも国際的にも通用しないことにあり、これを正面から認め抜本的な再検討を行うべきだ」と指摘。「根本は、(連合国が)『領土不拡大』という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を破り、『ヤルタ協定』で『千島列島の引き渡し』を決め、それに拘束されてサンフランシスコ平和条約で日本が『千島列島の放棄』を宣言したことだ。戦後処理の不公正をただし、全千島の返還を求める交渉を行ってこそ解決の道が開かれる」と主張しました。 元徴用工判決 首相は被害者の名誉回復、公正な解決図るべきだ 韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に韓国人の元徴用工4人が求めた損害賠償の支払いを命じた判決と日韓両政府の対応をめぐって、田村氏や公明党の石田祝稔政務調査会長らが「韓国政府に責任がある」(田村氏)、「国際司法裁判所(ICJ)をはじめ第三者による仲裁もありうる」(石田氏)と発言。「1965年の日韓請求権協定により解決済み」だとの日本政府の主張を繰り返しました。 笠井氏は、同協定について「被害者個人の請求権は消滅していないと、日本と韓国両政府、最高裁が一致して認めている」と強調。河野太郎外相も「個人の請求権は消滅していない」(14日、衆院外務委)との認識を示したと紹介し、「侵略戦争と植民地支配のもとで多くの人々を奴隷のように働かせて人命をも奪った人権問題だ。日韓双方は一致点を重視して冷静で真剣な話し合いをし、安倍首相は被害者の名誉と尊厳の回復、公正な解決を図るために努力すべきだ」と指摘しました。 田村氏は、個人の請求権が消滅していないことを認めたうえで「本来韓国政府がこれに関して何らかの対応をしてもらわないと困る」と、あくまで問題解決の努力に後ろ向きの姿勢を示しました。 入管法改定案 野党で一致して廃案に追い込んでいく 出入国管理法改定案をめぐり、田村氏は新しい受け入れ枠としての「特定技能1号」について「基本的には今までの技能実習生が労働者として働いてもらう制度だと理解していただいて結構だ」と述べました。 笠井氏は「外国人の受け入れ見込み数をみると技能実習生からの横滑りが多い。実習生は1日16時間も働き、時給300円など人権侵害がまん延する実態を明らかにせずに受け入れ拡大したら大変な事態になる」と指摘し、現在の技能実習生に対する人権侵害を放置したままの受け入れ拡大に警鐘を鳴らしました。 法務省が16日に公表した失踪外国人技能実習生への「聴取票」のデータと、安倍首相や山下貴司法相の国会答弁に重大な偽りがあったことが発覚した問題について、野党は「失踪者のデータが虚偽、修正されていたとはとんでもない」(立憲民主党・長妻昭政務調査会長)、「立ち止まるべきだ」(国民民主党・泉健太政務調査会長)と批判しました。笠井氏は「政府は今度もうそを平気で言っていた。ねつ造データでの答弁は重大だ」と指摘し、安倍首相らが「聴取票」の公開を拒否してきた姿勢を批判しました。 法務省が公表した「聴取票」では、これまで山下氏らが失踪動機を「より高い賃金を求めて」と説明していた箇所が、本来は「低賃金」「契約賃金以下」「最低賃金以下」というチェックを一括したものだったことなどが判明しています。 笠井氏は「2870人の原票公開が必要だ」としたうえで、「外国人労働者の権利を守ることが日本の労働者の権利を守ることにもつながる」と指摘。同法案について、野党で一致して廃案に追い込んでいくと表明しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-19/2018111904_03_0.html
[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理
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