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ブレーキ役の環境省が…ゲノム編集作物を野放しにする理由 外資の餌食 日本の台所が危ない https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241351 2018/11/10 日刊ゲンダイ 見た目は区別できないが(ゲノム編集されたイネ)/(C)共同通信社 ゲノム編集作物をめぐる規制議論も、米国の意向が優先されて日本の食の安全がおろそかにされる典型例だ。 ゲノム編集とは特定の遺伝子に狙いをつけて効率よく改変する技術。約20年前に開発され、2012年に簡便な手法が確立、研究の分野で広まってきた。 ゲノム編集は遺伝子組み換えのように「魚の遺伝子をトマトに」など異種の遺伝子を組み込むことも技術的には可能だが、食品の品種改良では、遺伝子の一部を壊すことで新たな特性を持たせる使われ方が主流だ。 例えば、国内で開発されているケースとして、筋肉の増量を抑える遺伝子を壊すと、筋肉ムキムキのマダイができるという。 異種の遺伝子組み入れは自然界では起こり得ないが、遺伝子が壊れることはある。このためゲノム編集作物をどう規制するかが各国の課題。自然界でも起こり得るのだから問題ないのではないかという意見があるのだ。 「異種の遺伝子を組み込まなくても、遺伝子の切り取りにより予期せぬ現象が起きる報告が学会などで相次いでいます。欧州はじめ世界は、ゲノム編集についても遺伝子組み換え並みの規制をする方向です。そんな中、米国がゲノム編集作物を規制対象外と決めると、すぐさま日本は歩調を合わせる方向に動いたのです」(東大大学院・鈴木宣弘教授=農政) 今年3月に米国農務省がゲノム編集作物に規制をかけない声明を出すと、5月に環境省は「ゲノム編集技術等検討会」を設置。8月に開催したたった2回の検討会で、遺伝子を壊すゲノム編集を規制対象外とする意見書をまとめたのだ。事業者に情報提供を求めるとしているが、事実上の野放しである。 「ゲノム編集自体は可能性を秘めた技術です。例えば、先端医療などでこれまでできなかった治療に道を開くことができるかもしれない。しかし、日常的に人が口にする食の分野にゲノム編集のような未知の技術を持ち込む場合、野放しはあり得ない。よく分からないからこそ、疑わしきは安全サイドに立つのが、国民の命を守る政府の責任なのに、日本政府は完全に米国の言いなりになっています」(鈴木宣弘教授) ゲノム編集の規制は今後、厚労省や消費者庁でも議論されるが、“結論ありき”はミエミエだ。環境省は「情報を集めて必要があれば対応する」(外来生物対策室)と回答。消費者を実験台にする気か――。生態系をゆがめかねない動きにブレーキをかけるべき環境省が野放しをリードするとは、世も末だ。 =つづく (取材=本紙・生田修平、高月太樹)
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