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悪徳業者の草刈り場 森林を崩しメガソーラー造る本末転倒 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241172
2018/11/08 日刊ゲンダイ
福島県にある石炭ガス化複合発電(C)共同通信社 安全でクリーンなエネルギー生活を築くには、まず原発をやめ、次に石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やす火力発電を減らして、その分を太陽光や風力をはじめとした再生可能エネルギーに置き換えていく――とは多くの人が信じる常識だが、事はそう単純ではない。 先週発売の「週刊SPA!」(11月6日号)の特集「再生可能エネルギーの不都合な真実」では、私が居住する千葉県鴨川市のほとんど手付かずの森林を東京ドーム32個分も伐採し、尾根を削り谷を埋め、平らにして推定50万枚のパネルを敷き詰めるという、とてつもない「メガソーラー」計画が、住民の反対に遭っていることが大きく取り上げられた。 実は同様のことが静岡県伊東市や長野県茅野市など全国あちこちで起きていて、同誌が言うように再生可能エネが「今や悪徳業者の草刈り場に」なっている。 再生可能エネの普及を早めようと、1世帯当たり年間1万円の賦課金が電気代に上乗せされているが、その金が森林を破壊して再生不可能にしてしまうニセモノの事業に悪用されているのである。 太陽光発電そのものは確かに自然に優しいが、本来はエネルギーの自給自足、地産地消に役立つ等身大の技術として生まれてきたものである。それをメガ(大規模)にして、電力買い取り制度が存続している間に荒稼ぎしようというわけだが、砂漠や放置された工業団地用地など使われていない平地を活用するならまだしも、生きている森を崩して造るなど狂気の沙汰ともいえる本末転倒である。そこで環境省もメガソーラーを環境アセスの対象とする法改正に向け動きだした。 他方、石炭火力発電というと環境派の方々からは目の敵で、化石燃料の中でも極端に汚いのが石炭ということになっているが、日本が世界の先頭を切って実用化を進めている石炭ガス化複合発電というのは凄くて、ガスを燃焼させてガスタービンを回し、その燃焼で生ずる熱で蒸気を発生させて蒸気タービンを回すという一度で2回発電する(将来はこれにさらに燃料電池発電を組み合わせて3回)。 それによって発電効率を上げ、なおかつCO2などの回収技術を抱き合わせれば、まことにクリーンで効率の高い石炭発電が可能になる。太陽光は○、石炭は×という常識のウソに縛られていると、エネルギーの未来への道を見失う可能性がある。 高野孟 ジャーナリスト 1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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