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辺野古基地建設強行は「地方自治の破壊」。謝花喜一郎・沖縄県副知事、怒りの訴え
https://hbol.jp/178089
2018.11.06 横田一 ハーバー・ビジネス・オンライン
真っ赤な目で、声を震わせながら訴えた謝花副知事 野党合同ヒアリングで翁長前知事との最後の会話を紹介する謝花副知事 10月17日に防衛省沖縄防衛局は、国民の権利利益を守る行政不服審査法(制度)を乱用、私人に成りすまして翁長前知事が指示した埋立承認撤回の効力を失わせる行政不服審査と執行停止を求めた。すると、公明党の石井啓一国交大臣は約2週間後の10月30日、辺野古基地建設の工事再開が可能となる執行停止を決定したのだ。 たまたま上京していた玉城知事は緊急会見で「強い憤りを感じる」「自作自演」と憤激した。それと同じ日、翁長雄志前知事を支えた謝花喜一郎副知事も、野党合同ヒアリングで目を真っ赤にしながら声を震わせながら訴えていたのだ。 「翁長知事が本当に命がけでやったものを、このようにいとも簡単に(執行停止を決めた国交省の審査決定文書の)数ページで決定がなされることに、沖縄県民は本当に怒っております」 こう謝花副知事が切り出すと、野党合同ヒアリングの場は県民葬と同じような厳粛な雰囲気に包まれていった。翁長前知事を側近として支えてきた謝花副知事は、亡くなる4日前の会話を紹介した。 「8月4日、私は翁長知事に呼ばれて病室でお会いしました。『本当は(埋立承認撤回を)僕がやりたかったけれども、もしもの場合は君に頼む』とおっしゃられ、私は『そんなことはないです。ぜひ、知事頑張ってください』と言ったら、点滴を続けながら『そうだな』と言って笑っていた。その4日後に亡くなってしまったのです。それをわれわれ執行部は慎重の上に慎重を期して、間違いがないように慎重に考えて、『こういう違法なことは放置できない』という観点で8月31日、(埋立承認)撤回を行いました」 沖縄県が埋立承認撤回をした理由の一つが、「軟弱地盤であること」。この日の野党ヒアリングでも謝花副知事は、配布資料を見開きながらハンマーを使った軟弱地盤の調査方法を説明したうえで、新基地建設予定地が「マヨネーズ」にも例えられるほどの軟らかさであることを紹介。このまま莫大な税金を使って埋立をしても“欠陥基地”にしかならない可能性が高いことを明らかにしたのだ。 埋立工事を進める防衛省も、このことを問題視して地盤調査を始めていたが、その結論が出る前に防衛省が法的措置(不服審査請求)をする見切り発車をしてしまった。 「国が今回のような方法をとるなら、地方自治は絶対にありえない」 野党合同ヒアリングで謝花副知事の話を聞く国会議員 謝花副知事は政府のやり方を、「地方自治の破壊だ」とも訴えた。この批判は、全国知事会をはじめ自治体トップや地方議員や各地の住民にも広がる可能性がある。 「沖縄県だけでなく他の自治体がやった場合、また国は同じようにするのでしょうか。国が、国の政策と異なることを地方自治体が行処分を行った場合に、国が今回のように事業者としての省庁が関係省庁に申立を行って行政不服審査法を使うのであれば、地方自治というのは絶対にありえないと思います。 これは(沖縄県)一県の問題ではなくて、やはり全国の自治体にも起こりうることだということをぜひ、皆さんにもご理解をいただいて、何とか沖縄県の思いに寄り添って対応していただければと思います」 玉城知事は執行停止を受けた30日の緊急会見で「11月中の訪米もありうる」と早期訪米に意欲を示したが、謝花副知事も同じ立場だ。県知事選投開票日の9月30日、当確が出た後に謝花副知事に軟弱地盤問題について聞くと、「翁長前知事から指示された埋め立て承認撤回の根拠の一つになっています」と強調したうえで、こう答えた。 「使う側のアメリカにとっても、軟弱地盤問題は重要な問題だと思います。個人的見解ですが、知事訪米が実現した場合、アメリカで訴える重要ポイントの一つになるのではないか」 ちなみに軟弱地盤強化の地盤改良には知事承認が必要だが、玉城知事は「認めない」と繰り返し強調した。その結果、「アメリカ(米軍)にもソッポを向かれかねない“欠陥新基地”にしかならない。日米で代替案を模索すべきだ」「日本国民にとっても税金をドブに捨てる愚行」という声が日米両国から広がってもおかしくない。 民意も法律も無視して美しい辺野古の海を破壊する安倍政権の国土破壊ぶりは、アメリカにも知れ渡ることになりそうだ。 翁長前知事の弔い合戦の第二幕が始まった。謝花副知事は玉城知事ともに、早期訪米でアメリカ世論に訴える一方、国内では野党連携によって安倍自公政権を国会審議や重要選挙で追い込む両面作戦で、野古新基地建設阻止を実現しようとしているのだ。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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