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徴用工判決に思う(値千金の町田貢元駐韓公使の警告)
http://kenpo9.com/archives/4380
2018-11-01 天木直人のブログ
徴用工判決について、その後も、日本は国をあげて韓国批判が止まらない。 政府もメディアも与党も野党も、日韓関係の前提が崩れた、基盤が損なわれたと大騒ぎをしている。 しかし、日韓関係が崩壊して困るのは日本のほうだ。 日韓国交正常交渉と日韓請求権交渉こそ、国民に真実を知らせずに行われた一大交渉であり、その合意は政治的妥協の密約だったのだ。 その交渉の闇が明らかにされた時、抵抗力が弱いのは日本国民のほうだ。 大騒ぎになるだろう。 その事を知っている者はいまではほとんどいない。 私の知識は、彼らが残した記録を通じての知識でしかない。 そう思っていたら、きょう11月1日の朝日新聞に町田貢元駐韓公使(83歳)の言葉を見つけた。 彼は韓国語を研修した韓国専門の外交官だ。 金鐘泌韓国中央情報部(KCIA)部長と大平正芳外相との会談をはじめ、当時の交渉に通訳として立ち会った人物だ。 日韓関係に関する仕事ぶりは、外務省の中でも高く評価され、退官後はソウルに在住している。 その町田氏が次のように語っている。 請求権合意は、日本が朝鮮半島を統治した時代の行為への賠償として、双方の立場の大きな隔たりから始まって、難交渉の末、政治決着されたものだと。 日本は30年もの間朝鮮半島を統治したから色々な問題があったと。 全部議論したらいつまでたっても国交正常化出来なかったから、お互いが事情を理解した上での政治判断だったと。 過去の取り決めであっても、現在の判断で覆して構わないという韓国の国情の背後にあるのは、「民族を抹殺して統治した日本への遠慮はいらない」という感情が根底にあると。 そして町田氏は次のように締めくくっている。 「ここまで来たら、お互いに公開の場で議論しつくす以外、関係改善の道はないだろう」と。 公開で議論することほど日本人にとって苦手な事はない。 ましてや今の日本人は、歴史に暗く、それゆえに右翼的で、相手を一方的に批判する者が増えつつある。 このままでは日韓関係の早急な改善は望めないと町田氏は危惧しているのだ。 日本有数の韓国専門家で元外交官の町田氏のこの言葉は、値千金の警告である。 その事を理解して読んだ読者はどれほどいただろう(了) 「日韓、徴用工の問題も意識」協定結んだ53年前の事情 https://www.asahi.com/articles/ASLB05SZ5LB0UHBI038.html https://news.headlines.auone.jp/stories/domestic/politics/11918523?genreid=4&subgenreid=113&articleid=11918523&cpid=10130000 10/31 19:35 朝日新聞デジタル 町田貢・元駐韓公使 元徴用工の損害賠償請求を認めた30日の韓国大法院(最高裁)判決は、日韓が徴用工問題を解決したと認めた1965年の請求権協定を大きく揺るがした。韓国はなぜ53年前の合意を覆したのか。請求権協定が結ばれる過程に立ち会ったソウル在住の町田貢元駐韓公使(83)に話を聞いた。 町田さんは1962年11月、日本の外務省を訪れた韓国中央情報部(KCIA)の金鍾泌(キムジョンピル)部長が、大平正芳外相と大臣室で会談していたことを覚えている。韓国は、日本が朝鮮半島を統治した時代の行為への賠償として10億ドル以上を要求したが、会談で合意された内容は「無償供与3億ドル、有償援助2億ドル、民間借款1億ドル以上」とされた。町田さんによれば、日本の当時の外貨準備高は20億ドルにも満たなかったという。 町田さんは「日韓は当然、徴用工の問題も意識していた」とし、「30年以上(朝鮮半島を)統治したから色々な問題があった。全部議論したら、いつまで経っても国交正常化できない。お互いが事情を理解したうえでの政治決断だった」と語った。当時、日韓が把握していた紛争案件で、双方が未解決だと認識していたのは竹島の領有権問題だけだったという。 韓国は日本の資金を使い、高速道路や製鋼所、地下鉄などを次々に建設した。町田さんは「韓国の人々には金額への不満はあったが、請求権協定のおかげで社会が発展した事実はよく理解している」と話す。 町田さんは韓国の大法院判決が53年前の合意を覆したことについて、「日本の努力不足もないわけではないが、大きな要素とは思わない。過去の取り決めも、現在の判断で覆して構わないという韓国の国情が大きい」と指摘する。 韓国は5年間の大統領任期が終わるたびに、政策が大きく変わる。「政権交代は、前政権の業績の否定から始まる」。町田さんによれば、外交分野では遠慮があるものの、日本はその例外にあたる。「民族を抹殺して統治した日本への遠慮は要らないという感情が根底にある」と話す。 町田さんは日韓関係が崩壊の危機にあると危惧し、「ここまで来たら、お互いに公開の場で議論し尽くす以外、関係改善の道はないだろう」と語った。
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