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時事芸人プチ鹿島 “信用のおけるゴシップ”を楽しむ余裕を 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/239797
2018/10/22 06:00 日刊ゲンダイ
プチ鹿島さん(C)日刊ゲンダイ
新聞読み比べを芸の域に昇華させ、テレビ・ラジオのレギュラーは週7本、雑誌やウェブなど連載コラムは月15本を誇る。本紙の猛読者で愛情を込め「ゲンダイ師匠」と呼ぶ時事芸人のプチ鹿島さん(48)が、おかしなニッポンの現状を独自の見立てで掘り下げる。
■「言葉を大事にする保守は消えた」
――弊紙も含め新聞を計12紙購読しているそうですね。
午前中2時間かけて一般紙とスポーツ紙を読みます。そこで基本のネタを確認し、夕刊紙がどう面白く切り口を変えてくるかなとワクワクして待つ。ゲンダイ師匠の情報はカロリーたっぷり。一般紙はカロリー高めのメインディッシュを楽しむ前の前菜なんです。
――励みになります。
購読紙の半分以上はデジタル版ですが、紙面ビューアーで読むようにしています。ネットだと記事が並列化し、つい読みたい記事だけを選んでしまう。それだと新聞の意味がない。実際に各紙を並べ、何を1面に持ってきたか、同じ1面でも右か下かで扱いが分かる。同じネタを扱っても見出しの表現や配置が全然違う。そこに論調や個性の違いがあるから、新聞は面白いのです。
――1日に12紙読むのは大変じゃないですか。
いやあ楽だし、楽しいですよ。学生時代は1紙だけで、朝のうちに一字一句読まなければってプレッシャーが面倒でやめました。今は各紙の見出しにサッと目を通し、興味ある社説やコラムをチェックして後でじっくり読む。池上彰さんも同じ読み方と知り、「これでいいんだな」と。独学でたどり着いたんです。
――一般紙を読み直したのは、週刊誌の「朝日ネタ」がきっかけとか。
文春・新潮は朝日新聞をおちょくるネタが多い。それが面白くて、どうせならネタにされる前の真っさらな朝日を読んだ方がいいなと。「これはツッコまれるぞ」と逆算し、週刊誌がかみつけば「やっぱり」とニヤニヤできる。そういう楽しみ方を覚えたんです。
――最近は保守論壇の朝日叩きが常軌を逸しています。「新潮45」の杉田水脈議員のLGBT差別寄稿も「日本を不幸にする『朝日新聞』」という特集のひとつでした。
自分の保守の定義は「言葉を大切にする人」。以前は保守系雑誌に西部邁さんや江藤淳さんら重鎮が寄稿し、言葉を尽くした見事な屁理屈芸に読んでいる側もニヤニヤできました。今は憎悪や嘲笑をぶつけているだけ。差別でメシを食っているとしか思えません。
――単なる殴り合いのようです。
しかも背後から殴っている感じ。ヘイトをぶつけても、朝日もどうってことない。相手にしなくていい言説ですから。読み手もつまらない。杉田さん擁護の小川榮太郎氏も同じ。自分の思想に合う人しか読まない媒体では、何を書いても「安全地帯」という感覚だったと思う。でも今の時代、あまりにヒドイと、すぐSNSで可視化される。ネトウヨ的なのに、なぜネットに弱いんだと声を大にして言いたい。まっとうな保守の論客不足は不幸なことです。
自民党総裁選は興行としては失敗(C)日刊ゲンダイ
論争から逃げるリーダーは世界で通用しない |
――保守派が変わってしまったのでしょうか。
今の自民党の真ん中にいる人たちって本当に保守でしょうか。安倍さん周辺が総がかりで杉田さんを一本釣りし、比例中国ブロックの実質1位に据え、首相のお膝元の山口県に事務所を構えさせる。もう秘蔵っ子じゃないですか。ああいう人たちが党のド真ん中にいて多数派であることに、ギョッとします。
――自民党内から「寛容な保守」が失われてしまったと。
昔は寛容で抜け目ない、良くも悪くも狡猾なオジサン集団でした。首相も国会でデンと構えたものですが、今の安倍さんは「毎日のように『人間のくず』と報じている」とゲンダイ師匠を指してキーッとなっちゃう。
――あの時点では一度も「くず」とは報じてなかったんですけど。
首相が批判するメディアと同じ土俵に降りてきちゃうなんて……。
――器が小さい。
百歩譲って器だけの問題ならいいんですが、総裁選で討論せず、沖縄県知事選は争点を隠し、締めつけだけはする。確実にルール違反です。昔の総裁選はエゴとエゴを本気でぶつけ、どう振る舞うかで政治家の器量が知れた。日常ではお目にかかれない豪傑オジサンを見るのが好きでした。僕にとって竹下派分裂もプロレスの長州軍団分裂も同じ。エゴのぶつけ合い。総裁選もデカイ興行と捉えており、今回も「楽しませてよ」と期待したら、チャンピオンがリングに上がろうとしない。
――興行としては大失敗でしたね。
以前の狡猾な自民党なら、石破元幹事長をもっと利用したはず。安倍さんを批判させ、ある程度“マウント”を取らせ、終われば閣僚にオファー。断られても今度は「石破さんも器が小さい」と批判が向かうじゃないですか。総裁選をガス抜きの場にしなければ、来年の参院選はもっと大変なのに、ツッコミを許さないのが安倍さんの弱点です。
――まったくです。
あえて言いますが、石破さん“くらい”と討論しないでどうするんですか。普段の討論から逃げているから、総裁選中にロシア訪問でプーチン大統領に北方領土棚上げというガチの勝負を挑まれると、手も足も出ない。大事な時にボロが出るんです。なぜ「愛国」を叫ぶ人たちは怒らないのか。アナタたちの愛国は、安倍政権の擁護だけなのかと。
―――自称・愛国者は「いつまでモリカケやってんだ」と政権擁護です。
外交などもっと大きな問題を議論しろと言いますけど、逆に“小さな”モリカケで詰められているリーダーが、トランプ大統領や金正恩委員長と対等に渡り合えるのか。小さな問題こそクリアに説明し、国民を納得させないと将来、国益を損なう大チョンボにつながりかねません。加計問題の「勇み足の虚偽説明」で押し切る論法は、世界に通用しませんよ。
■「グレーな情報がリテラシーを鍛える」
――芸人として安倍政権をちゃかすことに、苦労はありませんか。
一番メジャーな人をネタにするのは芸人の鉄則です。民主党政権時にも鳩山さんや菅直人さんをさんざんネタにしたんですが、安倍政権をちゃかすと「左翼だ」と叱られてしまう。そこは空気の違いを感じます。こちらからすれば同じ権力者に区別はないのに。
――最近はすぐ白か黒かを迫る風潮が蔓延していますしね。
私が子供の頃は「川口浩探検隊」など半信半疑のグレーな情報があふれていた。真贋を探る手だては自分で考えるしかない。ダマされたり、がっかりしながら、自然とリテラシーや疑う力が鍛えられたと思う。
――今はグレーな番組自体が許されません。
僕は読売、産経をアベスタジアムの一塁側(ホーム)に、朝日、毎日、東京を三塁側(ビジター)だと想定しています。スポーツと一緒で、いつも同じ席より、時には違う席から見る方が面白い。自分の意見と違うからと、「あんなこと書きやがって」と一方的に批判するのはもったいない。
――多様なモノの見方が大事だと。
そうです。「どうせ、ゲンダイでしょ?」とハナから相手にしない人ほど、決まって一度も読んだことがない。デスクの目が通った「信用のおけるゴシップ」を楽しめる余裕が欲しいですね。
――こそばゆいです。
いくらモリカケ問題でスクープを飛ばしても、朝日のような行儀の良い論調はもう響かない世の中なのだと思う。だから麻生財務相も平気で留任できる。最近は絶対に夕刊紙を買わないような意識高めの文化人が、SNSでゲンダイ師匠の記事をシェアして褒めている。オジサンが書いて、オジサンが読む「オヤジジャーナル」の枠を超えた面白い現象です。ただ、言論の場が狭まって極と極のぶつかり合いの状況で、ゲンダイ師匠もその極に利用されている恐れはあります。
――読み手も中間層が先細ってきていると。
センターの意見を担うべき「権威」ある一般紙が頑張らないと、トランプ的な極論が称賛される社会になるだけです。
(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)
▽ぷち・かしま 1970年長野県生まれ。時事ネタと独自の見立てを得意とする芸風で、雑誌・ウェブなどにコラムを多数寄稿。テレビ朝日系「サンデーステーション」、TBSラジオ「東京ポッド許可局」「荒川強啓デイ・キャッチ!」出演のほか、「芸人式新聞の読み方」(幻冬舎)などの著書がある。最新刊「芸人『幸福』論」(KKベストセラーズ)が絶賛発売中。
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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2018年10月21日
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— 市村 悦延 (@hellotomhanks) 2018年10月21日
プチ鹿島氏、良いこと言ってる。
— nohohonhonkan (@nohohon6098) 2018年10月21日
あえて言いますが、石破さん“くらい”と討論しないでどうするんですか。普段の討論から逃げているから、総裁選中にロシア訪問でプーチン大統領に北方領土棚上げというガチの勝負を挑まれると、手も足も出ない。大事な時にボロが出るんです。https://t.co/hhyG0v5AoI
日刊ゲンダイ|時事芸人プチ鹿島 “信用のおけるゴシップ”を楽しむ余裕を https://t.co/4RejwyBslO「今の自民党の真ん中にいる人たちって本当に保守でしょうか。安倍さん周辺が総がかりで杉田さんを一本釣りし、比例中国ブロックの実質1位に据え、首相のお膝元の山口県に事務所を構えさせる。」 pic.twitter.com/McThdx1KM6
— rima (@risa_mama117) 2018年10月22日
「自分の保守の定義は「言葉を大切にする人」。以前は保守系雑誌に西部邁さんや江藤淳さんら重鎮が寄稿し、言葉を尽くした見事な屁理屈芸に読んでいる側もニヤニヤできました。今は憎悪や嘲笑をぶつけているだけ。差別でメシを食っているとしか思えません。」 https://t.co/jItkm7VpSL
— 北野慶(虚構の太陽) (@keikitano) 2018年10月21日
注目の人直撃インタビュー
— KK (@Trapelus) 2018年10月18日
時事芸人 プチ鹿島
極と極がぶつかり合う時代こそ「信用のおけるゴシップ」を楽しむ余裕を
- 言葉を大事にする保守は消えた
- 論争から逃げるリーダーは世界で通用しない
- グレーな情報がリテラシーを鍛える
(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/XuKwOfBkJi
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