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国家統制を強める安倍内閣下の学校教育
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2018年10月21日 植草一秀の『知られざる真実』
拙著『「国富」喪失』(詩想社) https://amzn.to/2y6hpOC あとがきに 「私たちの命と未来を支える根源的なものを三つあげるとすれば、「水」、「種子」、「教育」ということになるだろう。」 と書いた。 「水」、「種子」についてはこれまでのブログ記事、メルマガ記事に記述してきた。 10月15日に開催したオールジャパン学習会 「私たちの命の源が危ない−水・種子・食の安全を守ろう!−」 https://bit.ly/2pXrr0V でも重要な問題提起がなされた。 これまで詳しく記述できなかった「教育」の問題について考える。 日本国憲法は第26条に義務教育についての定めを置いている。 第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。 第1項に「教育を受ける権利」が定められ、第2項に保護者に対して、子女に「普通教育を受けさせる義務」を定めている。 ここから「義務教育」という概念が生まれている。 「義務教育」は、「子女に普通教育を受けさせる義務」であって、「子女が学校に行く義務」ではない。 この点をまずはしっかり確認しておく必要がある。 そうなると、「普通教育」の意味が重要になる。 この点に関して、安倍内閣は2006年に教育基本法を改定した。 改正ではなく、改悪である。 最大の論点になったのは、法律に「愛国心」が書き込まれてことだ。 第2条(教育の目標)に以下の条文が置かれた。 五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。 日本国憲法は、基本的人権として以下の権利を保障している。 第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。 第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 そして、第13条には次の条文が置かれている。 第13条 すべて国民は、個人として尊重される。 これらの条文を踏まえれば、教育の現場において、 「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」 ことを強制することは許されないと考えるべきである。 日本の学校教育の現場では、 「覚えること」、「従うこと」が強要される。 上位の者の命令に従順に従い、「覚えろ」と命令されたことを素直に「覚える」子供が優等生とされる。 しかし、教育が目指すべきことは、これではない。 「考えること」、「発言すること」を尊重するべきなのだ。 「覚えろ」、「従え」ではなく、「考える」、「発言する」能力を育むことが、本当の教育である。 学校は国家統制の末端組織と化し、上意下達の命令系統に従わない児童、生徒は問題児とされる。 しかも、学校は子供をいじめの被害から守らない。 教師までがいじめに加担する事例が後を絶たない。 このような学校に子女を安心して送り出すことのできない保護者は数多い。 学校教育法は第17条で、子女を学校教育法第1条で定められた「学校」に就学させる義務を定めているが、この規定自体が憲法に反するものである。 憲法が規定しているのは「普通教育を受けさせる義務」であり、「普通教育」を受けさせることができる場は、学校教育法第1条で定められた学校だけに限定されないからだ。 日本は「児童の権利に関する条約」を批准している。 この条約が何よりも重視していることは、「児童の最善の利益」を考慮することである。 教育機会確保法が定められたが、従来の学校教育法第1条に定めた学校を基軸にする考え方の枠にとどまるものである。 2019年には教育機会確保法が見直されることになっている。 学校以外の場において行う多様で適切な学習活動を全面的かつ積極的に位置づけることが求められる。 |
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