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「アーミテージらが日米共同部隊設置などを要求 属国に突きつける政策指南書
社会2018年10月6日
アーミテージ元米国務副長官、ジョセフ・ナイ元米国防次官補らが主導するシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が3日、「21世紀における日米同盟の再構築」と題する提言を発表した。この通称「アーミテージ・ナイレポート」は、日米政府が米国の対日要求をまとめていた「年次改革要望書」(鳩山内閣時代に廃止)を引き継ぐもので、あくまで民間グループの提言でありながら、日本政府や霞ヶ関の官僚たちにとっての政策立案のバイブルとされている。2000年、07年、12年に続き、今回は6年ぶり4回目となる。
提言では、表題に「かつてなく重要」との大見出しを付けている。トランプ大統領が掲げる「米国第一主義」によって深まる同盟国間の亀裂や、これまでの米国がとってきた基本路線から外れた保護主義を推進していること、また「海外での米軍プレゼンスの意義に疑問を呈し」つつ「独裁国家」(北朝鮮など)とも無原則に接近することにより、「日米関係にも亀裂が表面化しつつある」と危機感を示している。
そのうえで「日米同盟の重要性はかつてなく増している」と強調し、日本が従来通り米国に忠実であり続けることを要求している。これまでのように同盟国として米国の国際戦略を支えるだけでなく、「地域秩序を守る真に対等なパートナー」の役割を求め、「仮にトランプ政権が、その共通目標に短期的に背を向けたとしても前進させなければならない」とし、米政府の動向や国際社会のいかなる変化にも左右されることなく戦後レジームに則った日米関係の深化を求めている。
安全保障分野では「中国と北朝鮮の脅威が増大している」ことを掲げ、「すでに日本政府は、米軍の日本への安全保障費の約75%を支払うことを示唆している。今年だけでコスト分担のために17億j、米軍関連の整備のために20億j、地域支援のための24億jを支出しており、この同盟への貢献は見過ごされるべきでない。だが将来の中期防衛計画と防衛計画ガイドラインでは、日本の防衛支出をさらに増加させることが重要だ」とし、日本の防衛支出を国内総生産(GDP)比1%台に引き上げることを要求。より大量の米国製兵器を買い、駐留経費の負担を増額せよという米軍産複合体の要求を露骨に代弁した。
さらに、米軍と自衛隊の一体化を進める日米統合部隊の創設、自衛隊基地と在日米軍基地を日米が共同使用できるよう基準を緩和することを要求している。もはや基地を区別するほどの余裕はなく、基地の共有化により「戦闘効果、政治的持続可能性、資源効率を最大化させる」「最終的には、在日米軍はすべて日本国旗の立つ基地から操作する必要がある。偶発的事態においても、民間の港湾や飛行場へのアクセスが必要となる」と主張している。
そのために「日本の指導者は、(合理化された)オーストラリア軍の構造をモデルとした独自の共同行動指令を作成し、日本の組織的、法的、歴史的、文化的特徴を考慮して修正するべきだ」と指摘している。軍事的な日米の意志決定をより簡素化することを目的としており、自衛隊が国内基準(憲法9条など)の縛りを受けることなく米軍の一部として相応の軍事的役割を担うこと、自衛隊基地も民間施設もより自由に軍事使用できるように要求している。
アーミテージらは、これまでも「集団的自衛権を禁じていることが日米同盟の最大の障害」「憲法九条がバリケードになって同盟の道をふさいでいる」と改憲を声高に求めており、安倍政府が「憲法改正」を叫ぶのはこの要求に応じた動きにほかならない。
さらに「新たな先進レーダー、費用対効果の高いミサイル防衛、長距離対艦ミサイルの共同開発」や「経済的および軍事的競争の両方の分野が成長しているサイバーセキュリティ、宇宙技術、人工知能」などを米民間企業と連携して開発、導入することを要求している。北朝鮮については、「検証不能で不完全な非核化の見返りとして、軍事演習や在韓米軍、ミサイル防衛を交渉材料にしてはならない」とし、トランプ政府による米朝融和の動きを牽制した。
また経済分野では、中国の大規模経済圏構想「一帯一路」に対抗するために日米の「インフラ整備基金」を設立し、中国の構想に勝る「魅力的な代替案を示すべき」と要求している。さらに、トランプ政府が参加を蹴ったTPP(環太平洋経済連携協定)についても、将来的な米国の復帰を視野に入れ、「TPPを軸にした日米の貿易投資制度の確立を引き続き支持するべき」としており、日米両首脳の政府高官と日米の企業家による「企業と政府の対話」を進めることを提唱。アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本参加を促す動きや日本の中国経済への接近を警戒しつつ、日本経済を引き続き米国に縛り、米国資本の利害を背負って貿易分野でリーダーシップを発揮することを強力に求めている。
第4次となる提言は、朝鮮半島や中東をはじめとする国際情勢が激しく変化し、米国が主導してきた軍事的経済的な覇権がほころび始めるなかで、日本の対米従属体制が「不変」のものであることを改めて確認し、日本政財界にさらなる米国への忠誠を求めている。」
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/9488
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