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10月 10, 2018
<日本とタイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは9日午前、都内の迎賓館で日本・メコン地域諸国首脳会議を開いた。日本の政府開発援助(ODA)などを使い同地域で150以上の協力プロジェクトを推進する新たな指針を採択した。日米などが掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」で連携する方針も確認した。
新たな指針「東京戦略2018」は(1)生きた連結性(2)人を中心とした社会(3)グリーンメコンの実現――を柱に掲げた。ラオスでの空港拡張やミャンマーの道路建設など今後の具体的な案件を列挙した。郵便サービスの改善や通信技術を使った保健医療向上などソフト面の支援も盛り込んだ。
南シナ海問題では軍事拠点化を進める中国の名指しを避けつつ「埋め立てや活動を含む南シナ海における状況に対する懸念に留意した」とした。北朝鮮の「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)を実現するとの目標を明記した。
安倍晋三首相は共同記者発表で「海外投融資やODAなどの公的支援を活用し、これを呼び水にして民間投資を後押しする」と述べた。
日メコン首脳会議はメコン川流域5カ国と日本が参加し09年から毎年開催しており、日本での開催は3年ぶり>(以上「日経新聞」より引用)
メコン川流域五ヶ国(タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)と日本の首脳が東京で日メコン首脳会議を3年ぶりに開いたという。安倍自公政権の五年間に、メコン川流域のカンボジア、ラオス、ミャンマーなどには中国が「一帯一路」策と称して強引な「元」借款のインフラ整備を持ち掛けていた。
ラオスには中国国境から高速鉄道を敷設して、首都ビエンチャンまで直通させようとしていた。計画では中国からラオス、タイ、マレーシアを経由してシンガポールまで、全長約3540キロメートルの高速鉄道で結ぶという壮大なものだ。
同時期に韓国はラオス南東部のアッタプー県で建設したセピアンセナムノイダムが今年7月に決壊して周辺の村落が水没、少なくとも27人が死亡、3千人以上が家を失った。その災害復旧にラオス政府は日本の技術に期待しているという。
上記のように、安倍自公政権が3年間も日メコン首脳会議を開催できないでいる間に、中国や韓国が日本に代わってメコン川流域の諸国に浸透していた。遅ればせながら日本政府はメコン川流育の国々に呼びかけて首脳会議を開催したわけだが、どのようなインフラ整備をそれらの国でいかなる形で行うのかが問われる。
中国が「一帯一路」で中国国境からラオス、タイ、マレーシアを経由してシンガポールまで、全長約3540キロメートルの高速鉄道で結ぶという計画は資金面で難航している。たとえばタイの鉄道サービスは運送時刻が守られず遅いという不満はあるものの運賃は無料だ。高速鉄道が開通しても運賃を支払って誰が乗るのか、という問題がある。
ダムが決壊したことにより、ラオス政府は世界銀行の支援を受け、新たなダム建設の安全基準の策定を急いでいる。計画の認可体制についても見直しを進めており、新規のダムは事実上建設が延期されている、という。水力発電の売電収入で稼ぐラオス政府の構想は宙に浮いた状態だ。
メコン流域の五ヶ国は経済的にはタイのGDPが最も大きく455億ドルで最も小さいのはラオスで17億ドル(人口は6,200千人)しかない。しかし人口はタイが69,122千人で、ベトナムが(GDP 220億ドル)87,848千人、ミャンマーが(GDP 66.57億ドル)47,963千人、カンボジア(GDP 22億ドル)が14,138千人となっている。
つまり貸付金でインフラ整備を行う国力はメコン流域五ヶ国にはほとんどないといわざるを得ない。トーンルン首相は、建設終了を2021年12月2日の建国46周年記念にあわせるように指示し、現在急ピッチで建設が進められている。プロジェクトは両国出資の合弁企業によって実施され、負担割合は中国が70%、ラオスが30%となっている。ただ資金力のないラオス政府はラオス政府の出資額も約7億2000万ドルとなり、ラオスにとってはより良い条件になったといえる。ラオス政府の負担は軽減されたが、2015年11月8日付のVientiane Timesによれば、返済保証にはラオスのボーキサイトプロジェクト、3つのカリウムプロジェクトから得られる収入を充てるという。また両国出資の合弁企業が総額の60%を中国の金融機関から融資を受けるといっても、最終的に政府保証であることに変わりない。IMFによると2017年のラオスの公的・公的保証債務はGDPの61.1%、2018年は65.3%と推計されていて、約7億ドルとはいえラオスにとっては少なくない負担だ。
中国は「一帯一路」と称してインフラ整備を近隣各国に持ち掛けて、中国高速鉄道を中国国境から引くことを条件に「安く」建設することを約束してきた。しかし上記各国のGDPを示した通り、「元」借款といってもそれは各国政府保証の借金に過ぎず、返済が滞れば施設は中国政府に接収されることになる。つまり体の良い侵略に過ぎない。
日本政府はメコン川流域五ヶ国に中国のインフラ投資はそれらの国へ侵略の意図があることを喚起して、日本のインフラ整備にそうした意図のないことをしっかりと説明すべきだ。実際に中国はチベットやウィグル自治区へ高速鉄道を敷設して、侵略した地域に対する中共政府の支配を強めている。
日メコン首脳会議が毎年開かれていたものの、その間にも中国がメコン川流域の国々への支配を強めていたことに対して安倍自公政権の怠慢を強く批判する。
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