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10月 07, 2018
<沖縄県知事選で、立憲民主党や共産党などの野党が支援した前自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏が当選した。安倍晋三政権には打撃だが、難題はむしろ玉城氏の側に待ち受けている。
言うまでもなく、「米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設しないなら、どこに持っていくのか」という問題である。
玉城氏は「辺野古移設に絶対反対」を掲げて、当選した。安倍政権が支援した前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏は移設問題への態度をあいまいにして選挙戦に臨んだ。それが裏目に出た形だ。ここは政権の反省点だろう。
これから、どうなるのか。
沖縄県は8月、普天間飛行場の移設先である辺野古の埋め立て承認を撤回し、玉城氏は県の方針を追認している。
安倍政権は、裁判所に承認撤回の取り消しと、執行停止を求めて争う方針だ。国の安全保障に責任を持つ政府としては当然だが、知事になる玉城氏は法廷闘争を受けて立つだけでいいのか。
知事は住民の暮らしと安全に責任を負っている。辺野古がダメというなら、代替案を示さなければならない。だが、選挙戦で代替案は一向に示されなかった。
まさか、「世界一危険」と言われる普天間飛行場を現状のまま放置していいと考えているわけではあるまい。代替案を示せなければ、かつての鳩山由紀夫政権と同じになる。
鳩山政権は「最低でも県外」と言い続けて、答えを示せず、結局、問題解決から逃げ出してしまった。玉城氏は無責任な姿勢をまたも繰り返しているように見える。
玉城氏が法廷で戦うだけなら、普天間問題の解決にはならない。むしろ「代替案を示せないから法廷に逃げた」とさえ言えるのではないか。
これまで、司法の場では、埋め立て承認の取り消しや、工事差し止めは認められず、県が敗訴している。この先も県に厳しい判断が下されるようなら、知事は苦しい立場に追い込まれる。
さて、安倍政権は2日、内閣改造と自民党役員人事を決めた。
焦点の石破派からは、元東京地検特捜部検事の山下貴司衆院議員(当選3回)が法相に抜擢(ばってき)されたが、石破茂元幹事長自身は、内閣にも党の主要ポストにも起用されなかった。これは当然だ。
なぜかといえば、総裁選を戦った相手だからではない。最重要課題である憲法改正で、石破氏は安倍政権と異なる考えであるからだ。登用していたら、いざ憲法改正を進める過程で「思わぬ波乱」が起きかねない。
安倍首相の側近である加藤勝信・前厚労相を党総務会長に起用したのも、同じ理由だろう。自民党は重要法案を国会に提出する前に、総務会の審査をパスしなければならない。だからこそ、信頼する人物を据えた。
内閣官房副長官、厚労相に加えて今回、党の重要ポストに就いた加藤氏は、これで「ポスト安倍」レースに有力候補の1人として名乗りを上げた形になる。今回の人事で、もっとも注目すべき点である>(以上「ZAK ZAK」より引用)
無理難題を押し付けて「それが嫌なら代案を示せ」という馬鹿の一つ覚えが炸裂している。かつて民主党政権時代にマスメディアが民主党の政策に悉く文句をつけたが、その決まり文句が「代案を示せ」「財源を示せ」だった。
つまり新らしい政策を潰し、政策転換を潰す「魔法の言葉」の一つが「代案を示せ」だった。それなら同じように安倍自公政権が消費増税10%を策動しているが、その国民負担増に対する負担減となる「代案を示せ」と、なぜマスメディアは突き付けないのだろうか。
日本国民は貧困化し、エンゲル係数はここ近年で最悪になっている。国民は搾り取れば幾らでも搾り取れる「豆かす」ではない。
まず国民生活を改善して、日本のGDPの主力エンジンたる個人消費を拡大しなければ経済成長はあり得ない。だから個人消費を削減する可処分所得に直接手を突っ込む消費税の増税などデフレ経済からの脱却を目指す日本では以ての外なのだ。
マスメディアは消費増税で総需要不足に陥る個人消費を手当てする「代案」をこれまで一度たりとも政府に要求したことはない。しかし普天間基地返還の移設先を政府が勝手に「辺野古」と決めて、それに反対するとマスメディアが「代案を示せ」とは何事だろうか。
沖縄の基地負担を減らす絶好の機会が普天間基地返還で訪れようとしている。その基地返還をわざわざ「代替地」を米軍に提供することで沖縄の基地負担を軽減する機会を潰そうとしている。
政府が勝手に辺野古と決めた移転先に反対すれば「代替地」を示せとはDGNのイジメと何ら変わらない。政府が勝手に決めたのだから、辺野古移設に沖縄県民が反対すれば政府が次なる移転先を探すのが当然の責務だろう。
鳩山氏が「最低でも県外」と発言したのは日本の首相として当然のことだ。出来れば「海外」へ徹底して頂く、というのが鳩山政権の本意だった。
実際に普天間基地に駐留している海兵隊は米本国では「時代遅れ」の軍隊として、海・空・陸のいずれかにくっ付けて海兵隊を解体しようとする意見が大勢を占めている。敵前上陸の肉弾戦を本旨とする海兵隊はまさに時代遅れだ。
いずれにせよ、政府決定に反するなら「代替地を差し出せ」という脅迫は民主主義国家の政策決定にそぐわない。辺野古沖公有水面埋め立て許可を出したのは任期切れ直前の「辺野古移設反対」で当選した元知事の仲井真氏だ。この卑劣千万な行為により、沖縄県民は分断の刃を突き付けられた。
県知事許可の公有水面埋め立て許可を前知事の翁長氏が取り消すと決定したのだから、その段階で安倍自公政権はトットと辺野古移設から撤退すれば良かった。なぜそうしなかったのか。沖縄に基地を建設するのに際して、沖縄県民の選挙で示された意思よりも安倍自公政権の決定の方が優先するというのか。
第三の権力を以て任じる報道機関が政権の広報機関に堕してしまっては、さぞかし言論界の先輩諸氏は草葉の陰で泣いていることだろう。権力と戦わないマスメディアは政府広報機関だ。
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