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沖縄知事選自民意見広告が示す安倍政治の本質
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2018年10月 2日 植草一秀の『知られざる真実』
9月28日付の琉球新報に二つの全面意見広告が掲載された。 24面に掲載されたのは、 「あなたの一票は、翁長知事の遺志を継ぐ「オール沖縄」の候補者へ」 と書かれたもので、9月22日の「うまんちゅ大集会」における翁長雄志前知事夫人の翁長樹子氏あいさつを掲載したものだった。 同紙の13面には、もう一つの全面意見広告が掲載された。 自民党沖縄県支部連合会が出稿したものである。 上段に巨大な文字で、 「豊かになるチャンスを 逃すのですか? 私たちの判断が問われています。」 と書かれている。 玉城デニー氏は、辺野古米軍基地建設反対を明確に掲げ、これまでの県政路線を継承することを明言した。 しかし、佐喜眞淳氏は辺野古米軍基地建設の是非について、最後まで態度を表明しなかった。 最重要の争点について態度を表明しないのは卑怯である。 政治家として行動するなら、賛成でも反対でも旗幟を鮮明にするべきであった。 「豊かになるチャンスを逃すのですか?」 というコピーを考えたのは一体誰か。 「あなたがたは貧しいんだよ!せっかくその貧しさから救ってあげようとしているのに、拒むのですか?」 と言われているとしか読み取れない。 さらに、「私たちの判断が問われている」とあるが、日本語としておかしい。 「豊かになるチャンスを逃すのか?」との問いを投げているのだから、判断して答えを示すのは、「あなた」にしかならない。 本土の広告代理店が作った全面広告なのだろう。 沖縄の主権者を「貧しき者」と位置付け、上から「貧しさから抜け出すには自公の候補に入れるしかない」と「恫喝」している。 これが、安倍内閣の沖縄への接し方なのだ。 「四の五の言わずに,基地を受け入れろ。基地を受け入れるなら財政資金を恵んでやるぞ」 「しかし、基地を受け入れないなら、財政資金を投入するのは見送るぞ」 というものなのだ。 沖縄の人々の立場に立ってものごとを考えるという姿勢が皆無なのだ。 挙げ句の果てに、携帯電話料金を下げると言った。 要するに、「札束で頬を叩けばひざまずく」としか考えていないのだろう。 玉城デニー氏は、沖縄の歴史を象徴する生い立ちを背負って国会議員になり、沖縄のために議員活動を続けてきた人物である。 その玉城氏は、辺野古に基地を造らせないために、あらゆる手法を駆使して力を尽くすことを述べるとともに、沖縄に住む,すべての県民を,一人も取り残さないことを訴えた。 政府とつながって、上から恵んでやるという横柄な姿勢で恫喝するのではなく、みなで手をつないで、住みやすい沖縄を作ることを訴えた。 その結果が選挙結果になって表れた。 事前の予想では玉城氏が最終的に負けるとした論者が圧倒的に多かった。 本ブログ、メルマガでは、昨年10月総選挙の比例代表選投票結果を踏まえて、玉城氏の基礎票が佐喜眞氏を上回ることを示し続けた。 「昨年10月衆院選比例代表選挙での得票状況は以下のとおりだ。 立希共社 325,983 自公維 302,655 選挙は前自由党衆議院議員の玉城デニー氏と前宜野湾市長の佐喜眞淳氏による事実上の一騎打ちになっている。 両陣営の基礎票が上記計数であると見てよいだろう。 さらに保守陣営で辺野古米軍基地建設反対の人々が玉城氏支援に回る。」 と記してきた。 この基礎票に、玉城氏の人間力による得票が大きく上乗せになった。 その結果として、史上最多の得票による玉城氏圧勝がもたらされた。 選挙で何よりも大事なのは、候補者そのものである。 どれだけ環境を整えても、候補者がだめなら、選挙に勝てない。 この点が改めて浮き彫りになった。
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