http://www.asyura2.com/18/senkyo251/msg/218.html
Tweet |
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52225230.html
2018年09月23日 「ジャーナリスト同盟」通信
<韓国系米人学者のH・スヌー著、1975年、シカゴで出版>
翻訳本としては第一級のものだろう、Japanese militarisme past and present 1975 by Harold Hakwon Sunooを辻野功が翻訳して、三一書房から1980年に出版されている。どこで手に入れたものか、書棚を整理していて見つけた。韓国系米人の日本研究者が書いた、それこそ第一級の日本研究である。いま彼のような、本物の日本研究者をアジアで探してもいない。むろん、日本にはいない。日本研究に熱心な韓国にも中国にもいない。ずばり日本財閥の歯牙にかまれている可能性を否定できない、各位に猛省を促したい。
<鋭い日本分析、アジアの日本研究者の怠慢を笑うハロルド・スヌー>
著者の優れた分析の背景は、36年間も植民地支配された韓国で生まれ、韓国の教壇とマスコミの世界、それから米国の大学での研究と、実に恵まれた環境が、彼の研究を本物にさせた。東欧でのファシズム研究も分析に鋭さを加えている。いま生きているのかどうか。翻訳者はどうしているのか。三一書房は健在かどうか。古本屋で見つけることもできるだろう。
彼は日本の侵略の核心が何であったのか。それを知っている。日本占領軍が真っ先に軍閥のみならず、財閥と国家神道を排除した理由を知悉している。現在は、この真実さえつかんでいない研究者が多数だ。
本来は平和的な農耕民族である日本人の精神を、侵略体質へと駆り立てたカルト・狂信化させた原始宗教・神社信仰の国家神道、もう一つが政商から財閥にのし上がった金力亡者である。軍人・役人・政治屋の餌はカネである。金が動かす暴政だ。
現在、財閥も国家神道も、申し分なく復活している。日本会議は後者の政治団体で、安倍がその頂点に立っている。足らざる部分を、スヌーが想定できなかった公明党創価学会が補っている、とても危険な戦後最悪の体制である。
スヌーの「日本の軍国主義」は、既に45年前に分析、指摘していたことに驚く。
近代民主・資本主義国家の落とし穴は、国民が気づいたときは、財閥が支配する体制に変質していることである。日本だけでなく欧米諸国もそうである。財閥をどうコントロールするのか、これに成功しないと、財閥支配の、戦前とは形を変えた侵略国家となる。むろん、その場合、軍国主義がその前提でもある。アメリカがその典型であろう。日本もそうであることに気付かねばならない。
韓国系米人日本研究者は、1975年の時点で日本の軍国主義を分析、世界に警鐘を鳴らしていた。
<財閥と神道の復活を45年前に分析・警鐘を鳴らしていた!>
戦後の日本には、財閥研究の本が無いに等しい。日本に来て国会図書館に行っても、戦後の新しいマントを着た財閥の本はゼロである。そもそも財閥という言葉さえ見つけることが出来ない。
なぜか、財閥が政府を支配して、新聞テレビの言論界から学会までくまなく制圧してしまっている、そのためだ。外国の日本研究者は、何十年も日本で日本研究をしても、鋭い分析は出来ない。
筆者でも、現役の政治記者時代は分からなかった。国会周辺を街宣車が日中国交正常化を批判していたことに、平和軍縮派の宇都宮徳馬に「右翼の活動費は誰が出しているのか」と聞くと、彼は即座に「それは財閥だよ」と即答した。戦前史を知悉している宇都宮の一言に頷くほかなかったが、自民党政治が財閥によって動いているという事実を理解できるようになったのは、それから数十年の時を必要とした。
著者は冒頭の第一章で「全能の財閥」を論じている。隣国の学者の中には、財閥が自国の経済復興に貢献していると信じ込んでいた。
いわく「財閥はいまや戦前以上に経済成長に専念している。しかし、その政治的支配力は、かつてよりも絶対的となった」
これは的を射た分析である。ここを理解できないと、日本の軍国主義は分からないだろう。
さらにいわく「今日、財閥は経済政策のみならず、政治・軍事政策をも支配している。首相を含む政治上のポストが、多数党である自民党よりも、むしろ経団連によって決定されてきたのである」
これも全くの真実である。スヌー分析に脱帽である。
<神道復活にも鋭いメス>
彼は侵略性の日本軍国主義のもう一つの要素である「明治の変革」に鋭いメスをいれる。そこで「神聖視された天皇」(大日本帝国憲法)に比例して登場した国家神道を俎上に乗せる。
すなわち、明治に復活した神道を注視する。神道は日本軍の侵略と一体である。植民地には、必ず神社を建てた。そして拝礼を強要した。神社信仰は天皇信仰とも一体だった。
「原始的な自然崇拝の名残りである神社」を国家神道として、国民に強要、祭礼に全国民を動員させた。今も秋祭りは地方のみならず、都内でも繰り広げられ、寄付の強要もなされている。最近は、創価学会関係者も、これに協力して、政治での自公連立を、神社信仰の場でも共演している。
スヌーは「神道とナショナリズム」で、偏狭な愛国心を活用した改憲軍拡路線に警鐘を鳴らす。戦争神社である靖国神社参拝に狂奔する首相の日本、天皇・神道・国家主義の日本は、戦前の軍国主義と変わらない。
神道の本山・神社本庁の神主と氏子の勢力は、戦後の政教分離・信仰の自由のもとでは、不気味な存在であろう。
スヌーは、創価学会公明党を革新勢力として位置付けて、国家主義の日本を抑制する政党・教団と分類している。当時は池田大作氏が「大衆路線」を打ち出していたからであろうが、いま分析すれば、その反対となろう。
<財閥+神社神道(日本会議)=軍国主義完全復活の日本>
韓国系米人日本研究者のハロルド・スヌーの「日本の軍国主義、過去と現在」は、侵略勢力である財閥復活と、それを受け入れ、推進する悪魔的精神勢力としての戦争神社の神道という原始宗教について、しっかりと研究している。
戦後の財閥解体と国家神道廃止のいい加減さによる復活を、鋭く分析している。この点では、歴史哲学者の第一人者・三木清と同じである。
<スヌーのいないアジアと世界の恐怖>
神社神道は、既に日本会議という極右の政治・宗教団体を組織して、頂点に安倍晋三を担いでいる。その政策はすべてが財閥向けである。内部留保金は500兆円に近い。この恐怖の実態を前にして、アジアはおろか世界にもハロルド・スヌーはいない。軍国主義は完全復活している日本だというのに。
<行政権の長が日本国憲法解体を叫ぶ異様な日本>
行政権の長は、憲法を尊重し、擁護する義務がある。それを反故にして、率先して9条の改憲軍拡を、この6年間もわめき散らしてきている。それに追随する公明党創価学会の日本政治が、今日のアジアと世界の危機である。
<宗教政党の右翼化の危険>
われわれはいま、公明党の右翼化に怯えている。安倍・日本会議と連動することによる、日本軍国主義の強化拡大の動きである。
毎年史上最大の軍拡予算を編成していることに、公明党は毎回、拍手を贈っていることの脅威である。
池田氏の理念が、吐き消えてしまったことへの脅威である。
<世界は混とん、危うい日本会議政治のかじ取り>
ヨーロッパでは、移民・難民問題が吹き荒れている。イスラム圏への欧米帝国主義への反発が背景にある。極右台頭を引きずり込んでいるEUで、英国のEU離脱問題が壁にぶつかっている。疲弊するロシア経済と米中貿易摩擦に、トランプの政治的危機と中間選挙の行くへと世界は混とんとしている。
唯一の明るい兆しが半島の和解である。
軍国主義批判の消えてしまった日本の航路は、いかにも危ない。スヌーの「日本軍国主義」を読んで、目を覚まさないと、アジアの前途は暗い、本当に暗い!
2018年9月23日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK251掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK251掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。