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9月 07, 2018
<経済産業省は6日、北海道内のほぼ全世帯にあたる295万戸で起きた停電について、午後9時時点で、7日朝までに約120万戸分に相当する150万キロ・ワット規模の電力供給を確保できるとの見通しを明らかにした。北海道電力が発電所の再稼働を進め、6日午後4時時点で、札幌市や旭川市など28市町村で約33万戸の停電が解消したとしており、その後、さらに復旧が進んでいる。
安倍首相は6日夕、首相官邸で開いた関係閣僚会議で、北海道内の電力供給について「夜を徹して作業を進め、7日朝までに全体の3分の1にあたる100万世帯への供給再開を目指す」と述べた。
ただ、主力の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(出力165万キロ・ワット)の復旧に時間がかかる。世耕経産相は6日、停電の完全復旧には1週間以上かかるとの見通しを示した。6日の地震で北海道内の発電所は一時、すべて停止した。経産省などは、同電力の管内のほぼすべてで電力供給が止まる「ブラックアウト」が起きたとみている。2011年の東日本大震災でも同様の事態は起きなかった。
北海道電力は、地震で停止していた火力発電所や水力発電所の再稼働を順次進めており、本州からの電力融通分などを合わせ、7日中に約300万キロ・ワットの電力供給を確保する見通しだ。ただ、5日の北海道のピーク時の電力需要は380万キロ・ワットで、完全復旧には、出力が大きい苫東厚真火力発電所の再稼働が必要になる。一部の地域では停電が長引く可能性がある。
政府は、東日本大震災時に行われた計画停電について「あらゆる選択肢を排除していない」(経産省幹部)としている。ただ、まずは電力の復旧を急ぐ考えで、節電も呼びかけている。経産省は東京電力ホールディングスなど各電力会社に対し、北海道の病院や避難所など重要施設向けに、電源車を派遣するように要請した>(以上「読売新聞」より引用)
日本はまさに災害列島と化したかのようだ。毎年の風水害は経常化したし、震災被害も九州から北海道まで日本に安全な地域は存在しない。今回の台風や震災に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
それにしても北海道民が見舞われている最大の災害は「ブラックアウト」と呼ばれる大停電だ。「ブラックアウト」とは電力の需要と供給のバランスが崩れることで、すべての発電所が停止する現象だ。地震が起きた当時、北海道の電力需要の半分程度をまかなっていた「苫東厚真発電所」が緊急停止したために発電する量が急激に減り、周波数を保つことができなくなった。決まった周波数が保たれないと設備が壊れてしまうため、ほかの発電所も一斉に停止せざるを得なくなったことにより北海道全域の停電が起きた。
しかし電気は社会インフラでも根幹をなすもので、鉄道などの移動はもちろん、自動仕分け機を採用している郵便や物流、さらには通信・情報にも大きな影響を与える。
都会ではビルではエレベーターはもとより、生活機能で最も重要な水がポンプで汲み上げられないため飲み水のみならずトイレも使用できなくなる。ある程度の規模の総合病院は自家発電装置の設置を義務付けられているため、緊急手術や透析などは対応できるだろうが、患者の入院病棟のエアコン電源確保までは手が回らないだろう。
いずれにせよ、電気の確保は緊急を要す。経産相は「完全復旧まで一週間程度かかる」とニュースで言っていたが、そんなに日数を掛けてもらっては困る。全国電力会社各社は緊急事態に対応すべく、いろんな事態を想定して災害復旧のシュミレーションは行っているはずだ。
北海道と本州の間には津軽海峡の海底を通る「北本連系線」と呼ばれる送電線が敷かれていて、最大で60万キロワットまで本州から電力の供給を受けることができるようになっているようだ。しかし完全停電しているため、北海道内で一定程度の電力の復旧が進まなければ本州からの電力の供給を受けることができない仕組みになっている。つまり北本連系線を使って電力の供給を受けるためには、外部からの電源を使って電圧を調整する必要があるため、まずは北海道内で火力発電の復旧を急ぐ必要がある。
北海道電力は、運転が停止していた火力発電所のうち、「砂川火力発電所」をすでに再稼働させ、7日には「奈井江火力発電所」、「伊達火力発電所」、「知内火力発電所」の3か所を稼働させ、電力の供給再開を急ぐことにしているようだが、主力発電所の「苫東厚真発電所」の復旧が完全復旧のカギを握っている。
ただ今後のことを考えれば全国電力会社が電気を融通し、全国的な需給調整を担う「電力広域的運営推進機関」の融通電力の容量を上げることも必要ではないだろうか。各電力会社が指示を受けた時点の供給力にもよるだろうが、火力発電所の出力を上げるなどして対応する体制作りをしておく必要がある。
日本は災害列島だ。近々到来が予想される東京地下直下型大震災や南海トラフ大震災など「電力広域的運営推進機関」の出番が必ずあるだろうし、その際には融通電力量を格段に上げておくことと、電力系統の体系化も必要になるだろう。
「国土強靭化」の一環として「電力広域的運営推進機関」の融通電力拡大も予算化してブラックアウトに対処する手立てをシュミレートしておく必要があるのではないだろうか。タワーマンションが電力喪失の事態に見舞われれば、エレベーターに取り残された人たちの安全確保は一時的な自家発電で対応できるようになっているだろうが、それも発電燃料に限りがあるため電気の復旧は緊急を要するだろう。
大震災によるブラックアウトを初めて経験したが、これを奇貨として大震災などによるブラックアウトに対処する電力復旧の手順を確立しておく必要がある。
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