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アベに対する「政治と行政の私物化」「隠蔽・改竄・口裏合わせ」「説明責任放棄」の批判に躊躇があってはならない。この批判を人格攻撃として封じることを許してはならない。
http://article9.jp/wordpress/?p=11014
2018年9月2日 澤藤統一郎の憲法日記
今年(2018年)9月は、沖縄県内各自治体の選挙の月となった。
「この1カ月間で県知事選挙、宜野湾市、本部町、伊是名村、大宜味村の4首長選挙、那覇、うるま、石垣の3市区の県議会議員補欠選挙、名護市や沖縄市をはじめとする29市町村議会選挙が実施される予定だ。ほぼ毎週選挙の告示、投開票があるという前代未聞の事態となっている。」(琉球新報)
とりわけ、9月30日投開票の沖縄知事選の結果は極めて重要だ。国政にも、アベの改憲策動にも大きく影響する。我がこととして、オール沖縄派候補勝利のために、力を尽くさねばならない。その立場から、このブログでも選挙運動に参加しようと思う。
その重要な沖縄県知事選の10日前に、自民党総裁選がある。こちらは、その結果が「極めて重要」ではない。自民党の総裁選びは、明らかに他人事。アベと石破、どちらの候補にも肩入れするつもりはない。しかし、事実上次期首相を決める選挙なのだから、無関心ではおられない。本日のブログでは、現時点での幾つかの感想を述べておきたい。
石破の総裁選パンフの表紙に大きく「正直、公正、石破茂」の文字。誰が見てもアベの政治姿勢批判である。
「ワタクシ・石破茂は正直で公正である」というアピールは、「キミ・安倍晋三は、嘘つきで、アンフェア」という明確なメッセージ。「さあ、総裁選有権者である自民党の皆さま。正直で公正であるワタクシ・石破茂と、嘘つきでアンフェアな安倍晋三のどちらを選びますか」と争点化したのだ。
これに対して、アベ陣営から、「個人攻撃は好ましくない」「個人の人格攻撃は控えるべきだ」との批判が出たとのこと。石破支持を表明している竹下派の吉田博美参院幹事長も「相手への個人的なことでの攻撃は非常に嫌悪感がある」などと述べたと報道されている。私にとっては他人事なのだから、真面目に反論するのも大人げないが大きな違和感を禁じえない。やっぱり、「正直・公正」のアピールは、アベ個人に対する、その人格への攻撃として有効なのだ。党内、だれもが、そう思っている。ここまではよく分かる。
しかし、「安倍氏個人に対する人格攻撃は好ましくない」「個人的なことでの攻撃は非常に嫌悪感がある」はまったく理解できない。対立候補者の個人的資質や政治的活動歴に対する批判の言論は選挙戦の王道である。これを好ましくないと避けては、選挙運動は成り立たない。
ましてや、一対一の選挙戦。政治姿勢のあり方が対決点となるべき政治状況である。有権者の適切な選択を可能とするための、基礎的な情報の提供は不可欠である。互いに、自らの政治姿勢やその実践を語ると同時に、対立候補の政治姿勢やその実践歴を語らずして、いったい何のための選挙なのだ。
言論の自由は、とりわけ政治的言論の分野において議会制民主主義を支える基礎とての重要性をもつ。選挙運動とは、最高度に自由が保障された言論戦でなくてはならない。「ワタシは正直で、キミは嘘つきだ」「ワタシは国民のために公正な政治を行うが、キミは腹心の友のために政治を歪めている」「ワタシは、ガラス張りの政治を行い説明責任を果たしてきたが、キミは不都合を隠蔽し説明するすると言ってしないではないか」。このように彼我の姿勢と行動の比較・対照を訴えるのが、真っ当な選挙戦だ。「お互い、痛いところにはさわらないようにしよう」という馴れ合いは、選挙の体をなさない。
アベは、今回の総裁選に限らず、今後の選挙すべてにおいて、「不正直、不公正」を攻撃されることになる。もっと具体的には、「政治と行政の私物化」「隠蔽・改竄・口裏合わせ」「説明責任の放棄」の批判に曝される。これを、「個人攻撃だから好ましくない」と言ってはぐらかし通すつもりなのか。そんなことでは、自民党を議会制民主主義政党と呼んでよいのか、根幹にかかわる問題ともなる。
こんな分かりきったことなのに、自民党の中で「『正直・公正』は、個人攻撃として好ましくない」という声が出たことの意味には、二通りの理解が可能である。
一つは、アベ陣営の余裕のなさのなせる業との見方。「石破が本気になってアベの不正直・不公正を衝いてこられると相当なアベの痛手となる」「好ましくないとは、そういう意味だ」「どうせ勝てない石破ではないか。せめてアベの面子を潰さないように配慮した方が利口ではないか」「アベ攻撃に手加減の魚心あれば、選挙後にはそれなりの水心が期待できるぞ」という文脈。
もう一つは、石破陣営の高等戦略に乗せられた説。「単に『正直・公正』を掲げるだけではあまりにも平凡にすぎてインパクトに乏しい」「これにアベ派の『正直・公正を政策に掲げるのは怪しからん』というクレームを引き出すことができれば、俄然このキャッチが話題性を帯びることになる」「しめしめ。まんまとうまくことが運んだ」という見方。
吉田博美は、石破陣営にあってアベへの配慮を演じて見せたようで、その実、アベの味方を演じたフリをして、うまうまと『正直・公正』の話題化に成功したというのだ。石破が一時「正直・公正」のフレーズを降ろす可能性を示唆したのも、計算された演出だというのだが、さていかがなものか。
いずれにせよ、石破は「正直、公正」のフレーズを大きな話題にすることに成功し、しかもこれを堅持する方針を固めたのだ。ここまで大きくポイントを稼いだ。一方、「嘘つき・アンフェア」をあらためて印象づけられたアベ陣営は、藪をつついて蛇を出した失態。
なお、石破陣営の主観的意図は知らないが、日本社会全体に「正直、公正」が失われていることが大きな問題となっている。アベに象徴される「不正直・不公正」とこれに伴う「隠蔽・改ざん・口裏合わせ」のダーティーさは、政界にとどまらない。障がい者雇用に見られる官界の「ウソとごまかし」が衝撃だったが、産業界にも、スポーツ界にも、メディアにも、今やウソやごまかしやデマやフェイクがまかり通っている。いま、「正直、公正」の価値は重要で、これを争点とする意味は大きい。
このことに関連して8月28日の「リテラ」の記事を引いておきたい。いつもながら、よく情報を集めて切れ味がよい。「安倍独裁化で首相批判が完全タブーのディストピア」を次のように語っている。
「石破氏の『正直、公正』撤回示唆発言を受けて、Twitter上には「#石破氏の新キャッチフレーズ」なるハッシュタグが登場。これがいわゆる大喜利状態となり、こんな盛り上がりを見せていた…。
「憲法違反はしません!」
「お友だちを優遇しません」
「国民を“こんな人達”と呼びません!」
「強行採決を繰り返しません」
「災害時に宴会はしません」
「自分のフェイスブックへの差別的書き込みを放置しません」
「ネトウヨ作家をNHK経営委員にしません」
「ヤクザに汚れ仕事は依頼しません!!」
「公文書は改竄せずに保存しておきます!」
「聞かれたことに答えます」
「約束を守ります」
「自由と民主主義」
このままではマスコミや市民が「ウソで国民をごまかす政治はやめろ」「えこひいきのない公正な政治を求める」と、民主主義国家としてごく当然ことを言っただけで、誰もが「安倍首相への個人攻撃」なるレッテルを貼られ、政権から弾圧されてしまう。なかにはこんなツイートまで見られた。
〈自由、民主主義、寛容、報道の自由、地方分権、開かれた政治、国民第一、弱者にやさしい政治、格差是正、公金の適正支出、討論・対話重視、誠実、三権分立、権力を私物化しない… ダメだ。何を言っても安倍への個人攻撃になってしまう。〉
まったく、そのとおり。付言することはない。
もう一つ。今や絶好調の「日刊ゲンダイ」の記事(8月27日)も引いておこう。「出馬表明を生中継 “安倍チャンネル”と化したNHKの過剰演出」の見出し。
いやはや、異常な連携プレーだ。NHKが26日、視察先の鹿児島・垂水市での安倍首相の自民党総裁選への出馬表明を生中継。午後3時45分から緊急番組を組む熱の入れように、安倍首相も視聴者が恥ずかしくなるほどの露骨なカメラ目線で応じた。
スタジオには“安倍首相べったり”の政治部の岩田明子記者が陣取る鉄壁の布陣である。彼女は「鹿児島での出馬表明は地方創生を重視する姿勢を打ち出すため」「今年は明治維新から150年。明治維新ゆかりの地、鹿児島を(出馬表明の)発信の地とすることで“新しい国づくり”への意欲を示す狙いもあったのかと思う」などと解説。安倍首相の出馬表明が5分足らずだっただけに、言い足りない部分をしっかりフォローし、政権のスポークスマンとしての役目を十分に理解しているかのようだった。
今や「皆様」ではなく、「アベ様」のNHKに成り果てている。NHKの不気味なまでの“安倍チャンネル化”は、鳥肌が立つほどである。
同様の違和感を金平茂紀も述べている。昨日(9月1日)の毎日新聞「週刊テレビ評」欄での、「総裁選出馬の緊急特番への違和感 首相と党総裁は別の職務」というNHK批判の記事。
NHKのアベのための「総裁選出馬緊急特番」記事に、ことさらに「安倍総理大臣は…」と繰り返していたことを問題視し、「安易に首相と党総裁の呼称をまぜこぜにして用いることは公正ではない」と指摘した上、自民党の総裁選挙管理委員会が新聞・通信各社に対して総裁選挙について、「公正・公平な報道」を求める文書を配布したことを問題視している。
金平は、「こんな文書を一政党のトップ選びで配布すること自体が問題」とする。これが8月28日のこと、見方によっては、NHKが安倍出馬特番を放送したのを見越してからの申し入れ。この選管は、NHKには抗議の一つもしてはいない。
露骨にアベと結ぶNHK。あるいはNHK政治部。ここにも、「正直・公正」が欠けているのだ。
(2018年9月2日)
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