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ちばてつや氏「権力者にを堂々とものを言える国であって」 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/235092
2018年8月13日 日刊ゲンダイ
ちばてつや氏(C)日刊ゲンダイ
「あしたのジョー」初連載から50年 |
今年は、ボクシング漫画「あしたのジョー」の初連載から50年の節目。1968年から73年にかけて「週刊少年マガジン」で連載され、戦後日本の高度経済成長から取り残された人々と拳一つで成り上がる主人公の姿が描かれた名作だ。「まっ白に燃え尽きたい」――。主人公・矢吹丈の生きざまに、若者だけでなく、寺山修司や三島由紀夫なども熱中した。何が読む人の心を打ったのか。この50年で社会はどう変わったのか。「ジョー」の生みの親を訪ねた。
※インタビューは【動画】でもご覧いただけます。
ジョーと自分を重ね描いた |
――連載中はどんな心境で「あしたのジョー」を描いていたのでしょうか。
当時の私は、ちょうど青春期が終わりを迎える頃でした。20代後半から30代前半です。漫画家は、締め切りに追われて寝られないとか、どうしても不規則な生活になってしまう。体の疲れがピークになっていたんでしょう。ジョーを描きながら、「俺はもう長くないなあ」と思っていました。
――壮絶ですね。
ジョーを描き始めた頃は、まだ自分のペースがつかめないから、週刊誌や少女雑誌、新聞や月刊誌にも連載を持っていて、一番仕事が多かった。そんな環境で、だんだん徹夜ができなくなったり、体の無理がきかなくなってきたり、体力の限界がはっきりしてきた。だから、できるだけ仕事量を減らして、最終的にジョーの連載だけに絞ったけど、本当に疲れがたまっていました。
――キャラクターに自分自身を重ねて描いていたのでしょうか。
日本社会はちょうど高度成長期でね。みんな冬は雪山にスキー、夏はハワイへ行ったり、海でサーフィンをやったり、「若大将」(加山雄三)が大活躍の時代だよ。誰もが青春を謳歌していた。そんなとき、私は家の中にずーっと閉じこもって仕事。体のどっかが痛いとか、よく眠れないとか、肉体的にも精神的にもつらい時期でした。リングで血みどろに闘うジョーと自分を重ねながら描いていたのかなあ。
――作中で、ジョーが1回だけ乾物屋の娘・紀子とデートするシーンが出てきます。ジョーが世界タイトルマッチで敗れた後、「燃え尽きる」シーンにつながる重要な場面です。
ボクシング漬けのジョーが可哀想だなって思っていたんです。ジョーも紀子のことが好きで、紀子もジョーのことを慕っていたから、1回はデートさせてやりたいなと考えていた。それで、楽しいデートを描こうと思ったのに、いつの間にかシリアスな雰囲気になってね。紀子がデート中、ジョーに「ボクシングばかりの青春を送ってていいの」って聞くわけですよ。私と楽しい青春を送りませんか? って投げかけているのに、ジョーは女の子の気持ちなんて分からない。「俺はそこいらのブスブスくすぶっているやつらみたいに生きたくない」「俺は真っ赤に燃えてまっ白な灰になるような生き方がしたい」なんて、ぶっきらぼうなことを言ってね。今振り返ると、描いている私もそういう生き方がしたい、その方が充実した人生じゃないか、と「覚悟」したのでしょうね。
ちばてつや氏(C)日刊ゲンダイ
文句が言えるのは、若者の特権ですよ |
――自身も若くして死んでいいと思っていた?
ジョーのライバルで力石徹というキャラクターがいるんですけど、彼が作中で亡くなった後、実際にお葬式をやることになった。劇団を主宰していた寺山修司さんが中心になって、講談社の大きな講堂にリングを造ってね。平日なのにたくさんのファンの人たちが集まって力石の死を悼んでくれた。そのとき、自分の仕事が思った以上に意味があるんじゃないかと感じたんです。日本中の若者がジョーや力石の人生を見て涙したり、感動したり、試合の流れに一喜一憂して応援してくれたり、他の仕事ではなかなか味わえない。ジョーを描きながら、疲れていたと同時に、ある意味本当に充実していた。だから、例えばもし30歳そこそこで死んでも、こんなに充実した人生はないと思えたんです。
――なぜ、当時の若者や文化人に支持されたのでしょうか。
私自身、その理由を分析したこともないし、いまだに分からない。もちろん、脚本を担当した高森朝雄(梶原一騎)さんの脚本がすばらしかったことは確かだし忘れてはいけないことだけど、あの「時代」だったからかな。ジョーの連載開始は、戦後20年くらい。そろそろ戦争のことを忘れてしまって、高度成長で景気が良くなっている頃でした。一方で、近所のおじさんが傷痍軍人だったり、友達の家のお父さんがシベリアから帰ってこなくて行方不明だったり、戦地から引き揚げて帰ってきたばかりで病気を患っている人もいました。まだまだ日本中のあちこちに戦争の傷が残っていた時代ですよ。そんな複雑な時代だったからこそ、どう生きたら充実した人生を送れるか、みんながいろいろ考えるようになった時期とジョーが重なったんじゃないかな。自分でも不思議なんだけど、連載当時は、何かが高森さんと私に乗り移って、この時代にはこういう話が必要だと描かされているような感覚でした。
――「あしたのジョー」のタイトルは高森さんが付けたと聞きました。
制作会議で、なかなかタイトルが決まらなくてね。またみんなで考えましょうって立ち上がった時に、高森さんが「あしたのジョー……」ってポツリと言ったんです。それで、みんな座り直した。「エッ、いいんじゃないの」って。それまで「四角いジャングル」とか「一発屋ジョー」とか、それこそ紙が真っ黒になるぐらいタイトルを考えていたんですけどね(笑い)。高森さんは、当時、「あしたのジョー」と同時期に「巨人の星」も手掛けていて、ジョーの連載が終わった後に「巨人の星は直木賞、あしたのジョーは芥川賞のつもりで書いた」と話していました。だから、本名の高森を使ったんです。
政治家には器量がないと |
――もはや文学の領域ですね。若者の言動は、この50年で変わりましたか。
当時の若者は結構、「こんな社会でいいのか!」と表に出しましたよね。こんな政治でいいのか、権力者がこういうことしていいのか、って意見を言っていたと思う。今は、いろんな問題に気付いてもどう吐き出していいか分からない若者たちが多いのかなあ。でも、文句を言えるのは、若者の特権ですよ。選挙の投票率が低いのが心配です。ある政治家は、投票日はできるだけ有権者に寝ていてほしいなんて言っていたけど、とんでもないことですよ。
――自身の戦時中の体験から、安保法制や共謀罪法などに反対していました。
戦争中、庶民が一番恐れていたのが憲兵さん。何をしていたかというと、庶民の行動を監視したり、新聞や雑誌を検閲したりしていた。権力を持つ側は、国民を守ることが仕事なのに、国民を抑えつけてしまっていた。出てくる情報は、勝った情報ばかりで、負けたり、都合の悪い情報は出てこない。戦時中の国民は、目をふさがれ、口をふさがれ、耳をふさがれていたのです。戦争は、加害も被害も全て「犠牲者」になってしまう。そんな時代に戻って欲しくないから、いろんな法律が通るたびに、国民の自由が制限されてしまうのではないかと怖いんです。
――表現者の立場として現政権の政治運営を危惧している。
例えば、SEALDsみたいに学生がデモをしても、別に警察が捕まえたりしない。それがいつの間にか逮捕できる法律になるかもしれない。今は、一国の首相に対して「安倍は何やってんだ!」と言えるじゃないですか。これはとても健全だと思う。国民から文句を言われることを喜ぶ首相であって欲しい。政治家は、いろいろ批判されても「なるほど、おまえの言うことも正しい。政治に生かすよ」って言うくらい大きな器量がないと。これからの日本は、物を自由に言える時代がずっと続いて、権力を持つ人を指さして「おまえがそれじゃダメだろーっ」て堂々と言える国であって欲しいですね。
(聞き手=高月太樹/日刊ゲンダイ)
▽1939年東京生まれ。41年旧満州・奉天に渡る。46年中国から引き揚げ。56年、17歳で漫画家デビュー。61年「ちかいの魔球」で週刊少年誌デビュー。現在は「ビッグコミック」(小学館)で「ひねもすのたり日記」を連載中。代表作に「紫電改のタカ」「ハリスの旋風」「おれは鉄兵」など。
「あしたのジョー」初連載から50年 ちばてつや氏が安倍政権に苦言も
日刊ゲンダイ 2018/08/12 に公開
2018年はボクシング漫画の名作「あしたのジョー」の初連載から50年の節目。
漫画家のちばつてや氏が当時の心境や重要なシーンのエピソードなどを語ってくれました。
自身の戦時体験から、安保法制や共謀罪法などに反対しているちば氏は、総裁3戦を目指す安倍首相にも苦言を呈しています。
【注目の人 直撃インタビュー】ちばてつや氏「権力者にを堂々とものを言える国であって」 https://t.co/l0HFuijir6 #日刊ゲンダイDIGITAL #日刊ゲンダイ
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2018年8月12日
ちばてつや氏「権力者にを堂々とものを言える国であって」政治に対して文句が言えるのは、若者の特権ですよ。私は自身の戦時中の体験から、安保法制や共謀罪法などに反対していました。 - 北海道は素敵です!! - Yahoo!ブログ https://t.co/gZOWITNAFr
— 松本 美紀子 (@yuuta24mikiko) 2018年8月12日
自分の考えと異なる考えを排除する総理。人の話を理解できない、理解しようとしない人が権力を持つ。
— JJ(平和・反核・反差別) (@JJ9_) 2018年8月13日
そういう世の中ではいけない。
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"戦争中、庶民が一番恐れていたのが憲兵さん。何をしていたかというと、庶民の行動を監視したり、新聞や雑誌を検閲したりしていた。権力を持つ側は、国民を守ることが仕事なのに、国民を抑えつけて…"
— 加勢 仁 (@kase_jin) 2018年8月13日
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日刊ゲンダイ
ちばてつやさんは素晴らしいし、「あしたのジョー」も最高の漫画だった。なぜか?ちばてつやさんが感受性豊かな素晴らしい人間だからだ。このインタビューを読んでつくづくそう思った‼️
— 九州・自然エネルギー推進ネットワーク (@oita_energy) 2018年8月13日
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権力者に物を言えることと愛国心は異なる。
— デマやめよ (@demayamechan) 2018年8月13日
パヨクには愛国心はない。自分勝手だ。と言うことが分かっていない
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— ソウル・フラワー・ユニオン (@soulflowerunion) 2018年8月13日
「政治家は色々批判されても『なるほど、おまえの言うことも正しい。政治に生かすよ』って言うくらい大きな器量がないと」「権力を持つ人を指さして『おまえがそれじゃダメだろー』て堂々と言える国であって欲しい」
文句を言えるのは、若者の特権ですよ。選挙の投票率が低いのが心配です。ある政治家は、投票日はできるだけ有権者に寝ていてほしいなんて言っていたけど、とんでもないことですよ。
— 選挙ステッカー (@senkyosticker) 2018年8月13日
ちばてつや氏「権力者にを堂々とものを言える国であって」 https://t.co/9XeKPHZtQ8 #日刊ゲンダイDIGITAL
「戦時中の国民は目を口を耳をふさがれてた。戦争は加害者も被害者も全て「犠牲者」そんな時代に戻って欲しくない。法律が通るたびに、国民の自由が制限されてしまうのではないかと怖い」(ちばてつや氏)
— piyo (@piyopikopichi) 2018年8月13日
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注目の人直撃インタビュー
— KK (@Trapelus) 2018年8月9日
漫画家 ちばてつや
権力者を指さして「ダメだろ」と言える国であって欲しい
・ リングで血みどろのジョーと自分を重ねて描いた
・ 高度成長ながら戦争の傷が残る複雑な時代とストーリーが重なった
・ 文句を言えるのは若者の特権
(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/hiII1WfIar
近隣の国には言えない国もあるようですが、日本は言ってる若者も少ないように感じます。
— 遮 眼帯 (@mirrorofyata) 2018年8月10日
選挙で「ダメ」を言える事も大事な権利ですね。
要は、指差して「服を着ろ!」と言ってあげる優しさだな。
— tsuyoshi_man (@tsuyoshi_man) 2018年8月9日
服着てないとかみっともないしな。
それができるのが民主主義ってもんやな。
今の腐敗した時代は、何故か憲政史上最悪のテロ政権を擁護する不届き千万な賊が見られる。
今の日本はすべてがおかしい。
しかも、安倍応援団=反日極左集団と。
権力者に物を言えない国になったら、こんな恐ろしいことはありませんね。逆に、権力者を批判することを「いけないこと」と思う愚か者が増えているような気もします。
— 小雨 (@YamaguchiShoko) 2018年8月9日
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