枝野氏の長時間演説、衝撃的登場でベストセラーに? 立憲民主党への期待は大きいが、存在感を高められない野党陣営 2018.7.31(火) 筆坂 秀世 内閣不信任決議案の趣旨弁明をする立憲民主党の枝野幸男代表(2018年7月20日撮影、写真:Natsuki Sakai/アフロ) カジノなど日本に必要ない 第196回通常国会が7月22日に閉会した。法案では働き方改革法やカジノ法が焦点となったが、森友学園、加計学園の“モリカケ問題”が印象に残った国会だった。野党が対決法案と位置付けた働き方改革法もカジノ法も、自民党など与党によって結局は成立させられた。 日本に本当にカジノが必要なのか。賛成派は、訪日観光客が増えて、経済効果が大きいとか、雇用の場が増えるなどと主張している。 しかし、今でも外国人観光客は多すぎるぐらいだ。昨年(2017年)1年間だけでも、2800万人以上が日本を訪れた。十分ではないか。これ以上、増やす必要があるのか。また訪日する外国人観光客がカジノに魅力を感じるかどうかも、何も証明はされていない。経済効果についても、まったく分析はなされていない。 なぜこれほど多くの外国人観光客が訪日することになったのか。多くは日本の自然環境や食文化、日本庭園など伝統的な工作物や工芸品、治安の良さ等々があるのだろう。近隣のアジア諸国の経済発展も大きな影響があることは間違いない。カジノなどという“博打場”を作ることが日本の魅力を上げるとは到底思えない。 そもそも日本は、ギャンブル大国である。公営競技として、中央競馬、地方競馬、競輪、競艇、オートレースがある。宝くじ、スポーツ振興くじ(toto)もある。さらにパチンコ、パチスロである。パチンコ、パチスロは、遊技とされているが、深刻な依存症が問題になっているようにギャンブルそのものである。 「オーストラリアのカジノ業界団体の国際調査では、据え置き型ギャンブル機の設置台数は日本のパチンコ・パチスロが457万台で、2位の米国に約5倍の差をつけ圧倒的にトップだった」(7月29日付産経新聞)という。産経の同記事によれば、今でもギャンブル依存症の疑いをもたれている人は、320万人にも及ぶという。この上にさらに依存症を増やすことが必至のカジノを作ろうというのだ。 カジノ法と共に、ギャンブル依存症対策基本法も成立させられた。今後、官房長官を本部長とする対策推進本部が内閣に設置され、依存症対策に取り組むという。ギャンブルの機会をさらに増やして、他方で政府を挙げて依存症対策に取り組む。何という滑稽さか。ギャンブルそのものをなくせば依存症もなくなるではないか。 今でも実はカジノはある。暴力団による違法カジノだ。警察によって摘発はされているが、存在する違法のカジノのごく一部に過ぎないと言われている。暴力団は、違法カジノによってカジノのノウハウを蓄積している。カジノの周辺に暴力団が関わってくる危険性もある。 どの世論調査でも、カジノ反対が圧倒的に多い。なぜこの声を簡単に無視するのか。まともな政治のありようではない。私は絶対に反対である。 枝野氏の長時間演説が緊急出版 全体としては盛り上がりに欠けた国会だったが、会期末に話題になったのは立憲民主党枝野幸男代表が7月20日に行った安倍内閣に対する不信任決議案の趣旨説明だろう。なにしろ2時間43分という長さで、記録に残る限りでは1972年以降、衆院では最長だったそうである。 もちろん私は聞いてはいないので、その良し悪しを論評することはできない。それよりも興味を持ったのは、この趣旨説明が『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』として緊急出版されるということだ。 まず出版社がフジサンケイグループの扶桑社というのに驚いた。産経新聞といえば、実に分りやすい安倍応援団であり、立憲民主党やその代表の枝野幸男氏らに対して、厳しい報道を繰り返してきたからだ。さらに驚いたのは、緊急出版の事実が7月26日にアマゾンの予約ページで公開されると、一夜にして総合ランキング1位に躍り出たというのだ。 アマゾンの書籍ランキング画面のキャプチャ(2018年7月30日午後2時時点)。枝野氏の演説の書き起こしが1位になっている。 拡大画像表示 政治家の演説集のようなものは、これまでも出版されてきたが、そんなに売れるものではない。日本共産党の不破哲三前議長らも演説や講演をまとめて本を何冊も出版してきたが、党内でもそれほど読まれるわけではない。ましてやアマゾンで予約1位など、普通、政治家本ではあり得ない。 安倍内閣の支持率もそう高いわけではない。カジノ法などへの国民の批判も大きい。モリカケ問題でも、誰もが真相など分かりきっている。安倍夫人や安倍首相が無関係などとは、誰も思ってはいない。証拠を残さなければ、何をやってもかまわないなどとも、国民は思ってはいない。やはり安倍内閣への批判も少なくないのだ。そして、その対抗勢力として国民が期待する一番手が立憲民主党であり、枝野幸男代表ということだろう。Amazon1位はそのことを示していると思う。 議会を壊すパフォーマンスをするべきではない とはいえ野党全体としての存在感の低さは、どうにもならないものがある。野党議員の経験者として今国会を外野席から見ていて、野党の振る舞いについて気になったことを2点指摘しておきたい。 私が共産党の議員時代、質問で心がけたことの1つは、与党議員もうなずくような説得力を持った論戦をするということだった。“与党議員などから褒めてもらわなくて結構”という態度は間違いである。立場は違えども、与党にも野党にも、真摯に国会論戦を聞いている人は少なくない。野党だから真面目、与党だから不真面目などということは、まったくない。 私自身、自民党議員から、「先日の質問は良かったですね」などという声を何度もかけられたものだ。そうでなければ、物事を動かす力は持てない。ぜひ、野党議員には与党議員をうならせるような質問をしてもらいたい。 野党を見ていて、もう1つ気になることがある。それは、すぐ議会のなかでプラカードや垂れ幕を掲げることだ。国会最終盤でも自由党の山本太郎、森裕子両議員と参院会派「沖縄の風」の糸数慶子議員が本会議での投票時、壇上で「カジノより被災者を助けて!」「カジノより学校にエアコンを!」と書いた垂れ幕を掲げ、「売国法案反対」などと叫んだ。 いつからか、国会でプラカードや垂れ幕が多用されるようになった。カジノ法には反対だが、国会の本会議の壇上で垂れ幕などというのも言語道断の行いである。こういうやり方は、言論の府である議会のあり方を壊してしまう行為である。言論で堂々と与党と対峙する、そういう矜恃を野党議員には持ってもらいたい。 活力がないのは自民党も同じ 9月下旬には、自民党の総裁選挙が行われる。岸田文雄政調会長が早々と不出馬を表明し、野田聖子総務相は立候補に意欲を示すものの、20人の推薦人が集まらないと見られている。結局、安倍首相と石破茂氏の対決ということになりそうだ。ただ竹下派を除き、ほとんどの派閥が安倍支持にまわる見込みであり、安倍首相の3選は揺るぎそうにない。 本来、自民党の派閥というのは総理・総裁を目指すために存在するのだが、いまではその力を喪失してしまったようだ。 細田派所属の参院議員に聞いたことがあるが、細田派で最も力を持っているのは、会長の細田博之氏ではなく、元会長で議員を引退した森喜朗氏だそうである。今でも時々派閥総会に顔を出すそうだが、森氏が顔を出しただけで空気がピーンと張り詰めるという。今の自民党の派閥の実状を物語っている。 自民党の歴史を見ると、党内での争いこそが活力の源泉になり、議員自身を鍛え、育ててきた。“仲良しクラブ”で戦いを避けていると自民党自身を弱くしてしまうように思えてならない。小さな野党しか存在せず、自民党内での争いもないのでは、日本の政治全体の活力をなくしてしまうことになる。これこそ議会制民主主義の危機なのである。
【第188回】 2018年7月31日 上久保誠人 :立命館大学政策科学部教授 左派野党の「リスクがあるから廃案要求」は時代遅れだ Photo:PIXTA 通常国会が会期末を迎えた。「働き方改革法」、「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法」「成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法」などが成立し、米国を除く11ヵ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)を承認した。 一方、昨年に引き続き、「森友学園」(本連載第178回)や「加計学園」(第158回)の問題で、野党が安倍晋三首相の関与を厳しく追及した。しかし、野党は審議拒否で国会を「18連休」しても国民の支持を得ることができず、安倍政権を追い込めなかった(第185回)。 今回は、この通常国会だけではなく、安倍政権下での6年間の国会を振り返り、日本政治の変化とこれからの国会のあり方を考える。 第二次安倍政権の国会審議を振り返る(1) 「特定秘密法」「安保法制」「テロ等準備罪法」 第二次安倍政権は、様々な重要課題を通してきた。「特定秘密保護法(2013年)」(第72回)、「安全保障法制(2015年)」(第115回)、「テロ等準備罪(共謀罪)法(2017年)」(第160回)、そして今国会で成立した「働き方改革法」(第177回)「IR実施法」などである。 これらは、法案審議で、維新の会など一部の保守系を除く、旧民進党(現在、立憲民主党、国民民主党、無所属の会など)、社民党、共産党の「左派系野党」が、法案を徹底的に批判し、審議拒否したあげく、与野党間の協議が行われず、ほぼ無修正のまま強行採決で成立したという共通点がある。 左派系野党が、これらの法案に猛反対した理由は、「法律が通った後のリスク」だったことも共通している。例えば「特定秘密保護法」では、左派系野党はジャーナリストや市民の取材行為が、情報漏洩で強制調査の対象となる可能性があると指摘した。そして、ジャーナリストや市民が必ず委縮し、政権批判を手控えるようになると訴えた(第72回・P.2)。 安倍首相は国会で何度も「メディアが捜査対象となることはない」と明言し、法律の条文上も問題はなかった。だが、左派系野党は、戦前の「治安維持法」の歴史を持ち出し、「政府の説明は信頼できない」として、反対を貫いた。 「安保法制」は、国会での連日にわたる野党の厳しい追及と、憲法学者による集団的自衛権行使を「違憲」とする意見表明、それに対する安倍政権の二転三転する粗っぽい答弁によって、安保法案への反対運動が日本全国へ急拡大した。国会の外を反対派のデモが取り囲み、「戦争は嫌だ」「命を守れ」「戦争法案絶対反対」「今すぐ廃案」と叫び続け、国会の中ではありとあらゆる手段で成立を阻止しようとした(第115回)。 この連載は、「安保法制」の国会審議自体は高く評価していた。「政権担当経験」持った野党は、なにが政府にとって答えづらい、難しいポイントなのか、政府の立場を理解していた。政府と野党の間で議論が深まらなかったという批判は当たっていない(第115回[下])。 ただし、野党の厳しい質問は、あくまで廃案を目指すものであった。最終的に、野党は国会での充実した議論を自ら捨てて、憲法学者の「憲法違反」という主張に乗り、徹底的な反対を貫いたのだ。その結果、充実した国会論戦は法案の修正に結実せず、数多くの問題を残したまま、安保法制は成立してしまった。 「テロ等準備罪(共謀罪)法」でも、左派野党は、法案の「廃案」を求めて、国会で徹底的に抗戦した。また、国会の周辺では、反対を訴えている人たちが抗議の意思を示していた。しかし、与党はここでも数の力を生かして強行採決し、法案を通してしまった。 この法案も問題の多いものだったことは言うまでもない。277ある処罰対象の罪のうち、テロに関連するものは110しかない。国民の大多数が不安に思っているのは明らかだった。だが、それらは1つも削られることなく、無修正で国会通過し、法律として成立してしまったのだ(第160回・P.1)。 第二次安倍政権の国会審議を振り返る(2) 「働き方改革法」「IR実施法」 そして、今国会である。安倍首相が第1次政権時から挑んできた、年収が高い一部の専門職を労働時間の規制から完全に外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を含む「働き方改革関連法」が成立した。これも野党が猛反対する中、強行採決となった。 国会審議では「高プロ」のさまざまな問題点が浮かび上がっていた。例えば、労働時間の規制がないと、残業代も深夜・休日手当も出ないことになる。残業代も深夜・休日手当も出さないでいいならば、企業が労働者の長時間勤務を管理しなくてもよいことになる。また、「高プロ」の対象となる業務など、適用要件の詳細は決まっておらず、法案成立後に労働政策審議会で議論する方針としていた。 左派野党は、「高プロ」の導入に強く反対した。「働き過ぎを助長する」「適用範囲がなし崩し的に拡大される」「24時間働けと命令される」「徹夜しないと終わらない業務を与えられる」「過労死を認定できなくなる。使用者の責任も問えない」といった懸念を繰り返し示した。 安倍首相や加藤勝信厚労相は「成果で評価される働き方をしたい方のために制度」を作ることの意義を強調したが、野党は高プロの撤回のみならず、法案そのものの廃案を求めて譲らなかった。結局、これも国政選挙5連勝の巨大与党の数の力には勝てず、問題点を抱えたまま、ほぼ無修正で衆院を通過した。 さらに、「IR実施法」である。カジノは刑法で厳格に規制されている賭博罪に当たるが、この法案ではカジノ管理委員会の免許を受けた民間事業者を適用除外とする。カジノ利用者が条件付きで事業者から借金できる制度も含まれる。 左派野党は、ギャンブル依存症やマネーロンダリングへの対策が不十分だと猛批判し、衆院で50時間の審議を要求した。だが、与党は応じず、審議時間は18時間10分にとどまった。結局、左派野党が採決の強行に抗議し、怒号が飛び交う中での採決となり、自民党、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決された。ここでも、ほぼ無修正で衆院を通過した。 「零点」だった野党の「廃案追求路線」の失敗と 今国会の「附帯決議」という新たな動き 第二次安倍政権の重要政策の、国会審議から成立までのパターンは、ほぼ同じことの繰り返しだったと言える。国会審議自体は、共産党を除く野党が一度は「政権担当」を経験したことで、より厳しい質問を政府に浴びせることになり、実は充実したものとなっていた。野党は、それぞれの法案が抱えるさまざまな問題点を明らかにすることができた。これについては、一定の評価を与えるべきである。 ところが、選挙対策のために、政権担当経験がなく「なんでも反対」を貫いてきた共産党との共闘という戦略を取らざるを得なかったために、野党は法案の存在自体を全否定して「廃案」を求めてしまった。それに反発した与党との間で、法案を修正する協議の場がなくなった。法案は、問題を抱えながらほぼ無修正で強行採決されて、国会を通ることになってしまった。この連載では、このような野党の「廃案追求路線」を「零点」と厳しく批判してきた(第160回)。 しかし、今国会では、新たな動きも見られた。国民民主党が、「働き方改革法」「IR実施法」の参院での審議で「附帯決議」を盛り込むことを要求し、これを与党が受け入れたことだ。 「働き方改革法」では、附帯決議は47項目に及び「労働基準監督署による違法な長時間労働に対する指導監督を徹底」「特別条項で延長できる労働時間はできるだけ短くなるよう指導及び助言を適切に行うこと」「高プロの導入に当たって監督署は、使用者に対し制度の周知を徹底するとともに、労働者の健康の確保のため指導監督を適切に行うこと」などが含まれた。 一方、「IR実施法」では、「カジノ単体は認めない。あくまでもホテルや国際会議場、展示場、各種エンターテイメント施設などを有する統合型観光施設のみを認めること」「施行者は国の厳格な審査を経てライセンスを付与された事業者に限る」「カジノに関しては日本人に対し、一定の入場料の徴収、申告による入場排除などの入場管理政策を施す」「これまでの既存の公営競技や遊技から発生しているギャンブル依存症についても抜本的な対策を講じ、全体としてのギャンブル依存症比率の低下を目指す」など、31項目の附帯決議が決められた。 国民民主党の動きは、野党間の亀裂を大きくする行為として厳しく批判されている。だが、IR実施法の附帯決議の実現に奔走した国民民主党の矢田わか子議員は「最大限私たちにできること、少数野党にできることとして附帯決議を条件に採決した。正々堂々と反対した」と、記者会見で語った(国民民主党HP)。 「安倍一強」で、法案を廃案に追い込むのは不可能なのが現実だ。どうあがいても成立してしまう法律の問題点に少しでも縛りをかけようとする動きは、少数野党の限界を乗り越えようとするものであり、筆者は高く評価したい。 国民民主党は「支持率0%」に苦しんでいるし、今回の附帯決議の動きも国民に十分に理解されているとはいえない。しかし、9月に予定される自民党総裁選で、参院竹下派が石破茂氏支持の動きを見せたり、小泉進次郎氏が呼びかける「国会改革議連」に超党派で約100人が参加するなどと合わせて考えると、少し違った景色が見えてくる。 国民民主党の動きは、この連載が主張してきた世界的な潮流である「新しい中道」の動きに沿うものと期待したい(第162回)。また、「分極的一党優位性」から「穏健な保守中道二大政党制」へ向かう萌芽となる可能性がある(第169回・P.5)。正直、国民民主党自体には、明るい未来の展望はないかもしれない。だが、左派野党から離れて独自の道を歩み始める政治家一人ひとりの行動には、確実に新しい未来がある。 「新しい政治」は、「リスク」をどこまで 許容するかが争点とならねばならない 第二次安倍政権における重要法案審議を振り返ると、従来型の対立構図では対応できない新しい争点が浮上しているように思う。それは、政策実施にともなう「リスク」をどの程度まで許容するかという争点ではないだろうか。 左派野党は今回審議で、一貫して「リスク」の存在を主張してきた。「特定秘密法」や「テロ等準備罪(共謀罪)法」には、ジャーナリストや民間人の弾圧につながるリスクがある。「安保法制」には日本が戦争に巻き込まれるリスクや、憲法改正から軍拡路線につながるリスクがある。「働き方改革」には長時間労働、過労死を増加させるリスクがある。「IR推進法」でギャンブル依存症を増やすリスクがある。左派野党は、これらのリスクがゼロでなければ、なにもやってはならないと主張してきたのだ。 戦後「平和国家」であることを謳歌できた時代であれば、左派野党の主張も理解できた。だが、現在は状況が変わってきている。北朝鮮の核ミサイルの開発や中国の海洋進出が国民の懸念となっている。一方でドナルド・トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を標榜し、「世界の警察をやめる」と言っている(第181回・P.4)。つまり、米国がいつまで日本を守ってくれるのか、不透明な状況になってきている。日本が自らの国を守る備えをする必要があるのは間違いない(第180回)。 また、世界中に広がるテロの脅威から、日本が無縁でいられるわけがない。なんらかのテロ対策が必要なのは言うまでもない。そして、グローバルな競争が激化する中、働き方の多様化や外国のお金を日本に引き込むことで競争力を強化することも必要だ。 要は、リスクがあるから何もしない、リスクがなくなるまで新しい政策の実行を認めないうのは、厳しい国際情勢が許さないということだ。たとえ、リスクがあっても必要な政策には取り組まなければならない。その上で、リスクをどこまで許容し、どこからは防ぐのかを議論する。それが日本の「新しい政治」にならなければならない。 (立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
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