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アベノミクスの本当の姿をじっくり見てみよう
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2018年7月22日 植草一秀の『知られざる真実』
第2次安倍内閣が発足して5年半以上の時間が経過し、安倍内閣は経済政策刷新の旗を掲げてきたが、主権者である市民の生活は悪化を続けている。
安倍内閣は経済政策刷新の旗を掲げた。
これを「アベノミクス」と銘打ち、自画自賛を続けてきたが、市民生活は悪化の一途を辿っている。
経済を評価する第一の尺度は実質経済成長率だが、第2次安倍内閣発足後の実質経済成長率平均値は+1.3%である。
これは、民主党政権時代の成長率平均値+1.8%よりも大幅に低い。
経済運営全体のパフォーマンスは民主党政権時代を大幅に下回っている。
民主党政権時代には、東日本大震災、原発事故があり、日本経済の活動は著しく低下した。
第2次安倍内閣発足後の実質経済成長率は、あの暗かった民主党政権時代の成長率を大幅に下回っている。
そして、市民にとって最重要の経済指標が、実質賃金の変化である。
本給、時間外手当ボーナスをすべて含む現金給与総額の実質値の推移を見ると、民主党政権時代は、ほぼ横ばい推移だったが、第2次安倍内閣発足後は約5%も減少した。
市民の所得環境は大幅に悪化したのである。
労働者の実質賃金指数の推移を調べると、1996年をピークに20年以上も減少し続けてきたことが分かる。
「失われた10年」、「失われた20年」と言われてきたが、実際に1996年以降の約20年の間、市民の実質所得は減少し続けてきた。
その、実質賃金減少のすう勢の例外になっているのが2009年から2012年の民主党政権時代である。
この期間は、労働者の実質賃金が例外的に横ばい推移した。
実質賃金指数の水準を調べると、2015年を100とすると、1996年は115.8の水準だった。
1996年から2015年までの19年間に、実質賃金指数は13.6%も減少したのだ。
国民生活が疲弊し、苦しくなったことは、統計数値が明白に立証している。
安倍首相がいくら口先で「アベノミクスで経済は良くなっている」というデタラメを流布しても客観的な統計数値が、安倍首相発言の「ウソ」を明白にしている。
小池百合子都知事は昨年の総選挙の際、
「アベノミクスによって、日本経済は数字の上では良くなっているのかも知れないが、実感がない」
と発言していたが、完全な事実誤認である。
日本経済は実感だけでなく、数字の上でも著しく悪くなっている。
雇用者数は2013年1月の5513万人から2018年1月の5880万人へと367万人増えた。
しかし、増加した雇用者数の内訳をみると、正規労働者の比率は26.3%で、非正規労働者が73.7%を占めている。
雇用者数が増えたのは事実だが、増えた雇用者の4人に3人は非正規労働者なのだ。
そして、一人あたりの実質賃金は第2次安倍内閣が発足したのちの期間だけで約5%も減少した。
経済全体のパフォーマンスが民主党政権時代よりも大幅に悪く、一人あたりの実質賃金が横ばいから5%減少に転じた。
これがアベノミクスの成績表なのだ。
その一方で、はっきりと良くなったのが大企業の収益である。
大企業収益だけは史上最高益を更新してきた。
したがって、大資本の株主と超富裕層はアベノミクスを絶賛しておかしくないが、圧倒的多数の労働者はアベノミクスを糾弾するのが正しい。
このまま進めば、日本の労働者階層は完全に日干しにされてしまうだろう。
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