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初めて目にした「米朝合意の実現に日本は動け」という社説
http://kenpo9.com/archives/4002
2018-07-17 天木直人のブログ
6月12日のシンガポールでの米朝合意からわずか1カ月。
あの時の大騒ぎがまるで嘘のようだ。
その最大の理由は、7月6、7日に行われたポンぺオ米国務長官と金英哲北朝鮮労働党副委員長との会談が不調に終わったからだ。
そしてこの不調に対して、日本のメディアは北朝鮮の対応に疑義を呈するものばかりだ。
それ見た事か、やはり北朝鮮は油断できない国だ。
トランプ大統領のトップダウンによる外交は、やはり危うい。
日本は北朝鮮が完全非核化するまで制裁を緩めてはいけない。
などといった、米朝合意に水をかけるようなものばかりだ。
一億総安倍首相化である。
そんな中で、きょう7月17日の共同通信がまともな論説を書いた。
すなわち、軍事的な後戻りだけは何としても避けたいとした上で、「非核化」の見返りに「安全の保証」と経済援助を供与する方式は核兵器放棄の王道であると書いた。
そして、「日本は米朝両国が動きを活発化するようもっと後押しすべきだ」と書いたのだ。
私がはじめて目にする正論だ。
建設的な論説である。
そして、その進言は、まさしく安倍首相の為でもあるのだ。
米朝合意の成功を一番望んでいるのはトランプ大統領だ。
国内の弱腰批判をはねつけ、中間選挙に勝てる。
ノーベル平和賞を手にすることができる。
もし安倍首相が北朝鮮に対する圧力一辺倒の政策をあらため、米朝合意に向けてトランプ大統領の努力を後押しするような政策を取れば、トランプ大統領は涙を流して感激するだろう。
ドナルド・シンゾーの強固な仲が文字通り世界一になる。
それこそが、安倍首相がもっとも望んでいる事ではないのか。
それに、安倍首相が欲している年内の韓国、中国との関係改善にも役立つ。
なによりも、安倍首相の悲願である拉致問題の解決のために、何としても米朝合意は成功させなくてはいけないのだ。
それでは、安倍首相は米朝合意の成功のためにどうすればいいのか。
共同通信の論説は、具体的な事は何も書いていない。
「ともすれば陥りがちな冷戦型の思考から脱皮し、北朝鮮の核問題の解決を実現し、不安定な北東アジアの安全保障環境を抜本的に転換させる、そんな構想を持って臨みたい」としか書いていない。
そんな訳の分からない事を書いている様では共同通信も駄目だ。
ズバリ、安倍首相は一日も早く訪朝して金正恩委員長と首脳会談を行い、日朝国交正常化と拉致問題を一気に解決する。
これしかない。
手ぶらで帰るような首脳会談では政治責任を取らされる、などという事を言っているからダメなのだ。
トランプ大統領がやったようにトップダウンで決めて来るのだ。
そのためには、「拉致被害者全員を生きて帰国させる」というこれまでの言葉を撤回することだ。
日本会議に向けたパフォーマンスではなく、正し歴史認識を持って外交の「王道」を行く勇気を持つことだ。
もしそんな対北朝鮮外交が安倍首相に出来るなら、安倍首相もたいしたものだ。
小泉・田中のいかさま訪朝をはるかにしのぐ本物の訪朝になる。
支持率回復間違いない。
なぜ誰もその事を安倍首相に進言するものが側近の中から出て来ないのか。
安倍忖度政治の限界である(了)
米朝合意から1カ月/双方が切迫感持ち交渉を
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1531273567415/index.html
2018年7月11日 山陰中央新報
シンガポールでの米朝首脳会談から1カ月を迎える。ポンペオ米国務長官が6、7日の2日間訪朝し、金英哲(キムヨンチョル)・朝鮮労働党副委員長と6月12日のシンガポール共同声明の履行に関する作業部会設置で合意したものの、楽観を許さない。
米朝双方に不信感が根強く、「非核化」と「安全の保証」という二大課題を実現するための総力を注入していない印象を受ける。このままではこれまで繰り返されてきた米朝合意失速の悪夢の再来も否定できない。
合意の履行が難しいと判断すれば、トランプ氏は軍事的緊張を再び高める方向にかじを切るだろう。そうなれば、対話のテーブルに戻るのは極めて難しい。そうした切迫感を持って、米朝は今の交渉に臨んでほしい。日本、韓国、中国も米朝交渉を支えるあらゆる努力を傾けるべきだ。
米朝首脳会談までの動きは急だった。南北、中朝などの首脳会談が続き、北朝鮮は核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験中止、拘束していた米国人3人の解放、核実験場の坑道爆破に踏み切った。米国は首脳会談で「安全の保証」の供与を約束し、第一歩としての米韓合同軍事演習の中止を決めた。
しかし、その後、動きは止まった。米国が「完全な非核化」実現まで経済制裁を維持すると強調し、北朝鮮は果実を手にできないことで反発を強めている。非核化の工程表などは依然公表されず、シンガポールでトランプ氏が語った「非核化は非常に迅速に動く」とは異なる状況だ。
北朝鮮が求める朝鮮戦争の終結宣言にしても、在韓米軍の存在問題に直結するとして、韓国、日本との同盟を重視する米国は動きが遅い。こうした状況を受けて7日には北朝鮮外務省が、米国は非核化だけを要求し「実に遺憾極まりない」と批判する声明を発表した。
米国が求める「非核化」と北朝鮮が要求する「安全の保証」「制裁解除」をどう関連付けるかは常に難題であり、過去の合意が崩壊したのも関連付けの弱さに起因する。
今回はトランプ氏と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長のトップ同士が合意文書に署名したことから、これまでとは違う。それでも、北朝鮮が体制の安全を保証していると判断する核兵器を簡単に手放すとは想定すべきでない。しかも、トップ同士の合意だけに、崩壊すれば次の交渉の機運は当面やってこない。
11月の中間選挙をにらんで国内世論向けに対北朝鮮外交をアピールしたいトランプ氏の思惑を考えれば、中間選挙後には再び軍事的な緊張に後戻りするというシナリオも想定可能だ。
軍事的な対立への後戻りは何としても避けたい。「非核化」の見返りに「安全の保証」と経済援助を供与する方式は核兵器放棄の王道で、米朝交渉の方向性は間違っていない。
日本は米朝両国が動きを活発化するようもっと後押しすべきだ。冷戦型の思考から脱皮し、北朝鮮の核問題の解決を実現し、不安定な北東アジアの安全保障環境を抜本的に転換させる−。そんな構想を持って臨みたい。核、ミサイルだけでなく、拉致問題を解決するためにもそうした新たな構想が必要だろう。
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