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欧州に劣る食の安全安心への米日スタンス
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2018年7月15日 植草一秀の『知られざる真実』
英国のメイ政権がジョンソン外相などの辞任で動揺しており、訪英した米国のトランプ大統領がメイ首相に米国との自由貿易協定締結に対する否定的な発言を示し、メイ政権が一段と苦境に立たされていると報道されている。
英国は2016年6月の国民投票でEU離脱(ブレグジット)を決めた。
しかし、その後、どのようなかたちでEU離脱を実現するのかで意思の不統一が顕在化し、そのなかでメイ首相が窮地に立たされている。
意見対立はソフト路線とハード路線の対立で
ソフトブレグジット対ハードブレグジットと表現されている。
ハードとは強硬な離脱。これに対してソフトとは、EUとの協調を優先した穏健な離脱ということだ。
7月6日にメイ首相は英国首相の公的別荘であるチェッカーズで閣僚会合を開き、英内閣はソフトブレグジット路線で進むことを合意、発表した。
この合意を受けて、離脱交渉の責任者であり、ハードブレグジット派のデービEU離脱担当相が辞任を表明した。
さらに、ハードブレグジット派の中心人物であるボリス・ジョンソン外相も辞任を表明した。
この結果、メイ政権が厳しい局面に立たされているわけだ。
この状況下で、訪英した米国のトランプ大統領がメイ首相に対して、「米国との貿易協定は実現しないだろう」と警告を発したのである。
メイ政権にとってはEU離脱後の最優先課題が米国との自由貿易協定(FTA)締結であり、この方向に水を差されたかたちになっている。
TPPにしろ、日欧EPAにしろ、「メガFTA」と呼ばれる自由貿易協定の枠組みは、基本的にグローバルに活動を拡大する巨大資本=多国籍企業の利益極大化を目的とするもので、その弊害は計り知れない。
いま、世界では、こうしたグローバリズムの嵐に対して立ち向かう「反グローバリズムの旋風」が吹き始めている。
英国民のEU離脱決断や、米国におけるクリントン女史の大統領選敗北は、反グローバリズム旋風を象徴する事象である。
しかしながら、その反グローバリズム旋風自体も単純明快なものではない。
トランプ大統領はTPPやNAFTAなどのメガFTAに反対しているが、多国籍企業の利益極大化そのものに反対しているわけではない。
米国の貿易収支の改善、米国内での生産拡大、ひいては米国の輸出伸長を目指しており、グローバル巨大資本の利益極大行動そのものを敵対視しているわけではないのだ。
イタリアで新政権が樹立されたが、連立政権は草の根民主主義勢力の「五つ星運動」と右派政党「同盟」によるものである。
「五つ星運動」は直接民主主義、ローカリズムを重視しているが、「同盟」は排外主義的な色彩を強く有している。
反グローバリズムの旋風と一言で表現しても、対応の基本方向はローカリズムとナショナリズムに分かれているという面もある。
トランプ大統領がメイ首相に厳しい警告を送ったのは、メイ政権が農業製品の安全基準などに関してEUが決めたルールを離脱後も順守する考えを示したためである。
EUの食の安全、安心に対する姿勢は極めて厳格で、人体に与える影響が危険視されるものについては、「予防原則」を基準に厳しい対応を示してきた。
米国では成長ホルモンを使用した牛肉や遺伝子組み換え食品の流通が許されているが、EUはこれらを禁止している。
メイ首相はEU基準の食品安全規制を維持する考え方を示したわけで、トランプ大統領は米国の輸出伸長の視点からメイ首相の行動を批判したというものである。
メディアは自由貿易協定締結が困難になる状況を生み出しているとしてメイ首相を批判する論調を形成しているが、詳細な経緯を踏まえれば、メイ首相の主張を頭ごなしに否定することは妥当でない。
私たちは、問題の本質をしっかりと見極めてメディアが流布する情報に接する必要がある。
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