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日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これは、どう見ても異常事態だ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56340
2018.07.13 三木 由希子 NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長 現代ビジネス
首相の活動が確認できない
加計学園問題では、安倍首相が加計理事長といつ会ったかを、新聞の首相動静とFacebookで確認したと答弁。官邸の入館記録は1日保存で廃棄しているので、誰がいつ面会に来たかわからない。
柳瀬秘書官(当時)は、加計学園側との面会を愛媛県職員作成文書の存在が明らかになるまで、記憶にないと言い通した。首相や官邸幹部が何をしているのかは、行政文書で確認できないことがさも当たり前かのようになっている。
「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」と書かれた文科省文書が明らかになって以来、加計学園問題において、文書に書かれていることが言った言わないが問題になり、書かれていることは相手が勝手に書いたり言ったりした虚偽になり、会ったか否かは文書で確認できなければなかったことになるということを繰り返してきた。
国家戦略特区による獣医学部新設をめぐり、便宜供与があったか否かが争点の政治問題だ。そのため、記録がないことより、それを埋める文科省文書や愛媛県文書、今治市文書などに注目が集まる。
しかし、首相をはじめ官邸幹部の持つ権力と反比例して、その活動が行政文書として確認できないことは、明らかに異常な状況だ。
そして、首相をはじめ官邸側にはその活動を行政文書に記録し、説明責任を果たすという権力としての基本的な作法がない一方で、それを棚に上げて公文書管理の徹底を各行政機関に求めるというのは、完全なダブルスタンダードだろう。
首相をはじめ政権幹部の活動記録は、残されないのが当然なのだろうか?
以前に、「『佐川氏の日程は1日で廃棄』情報公開請求でわかった衝撃の実態」で、日本の実態とアメリカの状況を紹介した。
今回はさらに、アメリカで大統領をはじめ幹部職員や政府活動の記録がどう残されているのかを見ていきたい。
米大統領の日程表
米大統領は、任期中の公務の記録を保全し、国立公文書館記録管理局(National Archives and Records Administration; NARA)に保管され、それぞれが大統領図書館を建設して最終的にはそこで保管、公開される。
各大統領図書館はNARAによって運営されるが、運営は寄付金などでまかなわれ、建設から運営まで公費を使わない仕組みになっている。
各大統領図書館のウェブサイトを見ると、大統領任期中のスケジュールが公開されている。全部公開されずに、部分的に非公開になっているところもあるが、それでも、1日のスケジュールが克明に記録されていることがわかる。
2001年に就任したブッシュ大統領の2005年9月14日のスケジュールは、全部で12ページ。ここでは最初の一枚のみ掲載しているが、注目してほしいのは、AM7:05からとAM9:05からの部分。Pとあるが、これは大統領が電話をかけたということ。誰にいつ電話をしたのかまで記録されている。【1】
白抜きになっていて(b)(6)などと記載されている部分は、非公開部分とその非公開理由の条文番号だ。
一日のスケジュールには、出席した会合の出席者名簿、この日はヘリでの移動があったので搭乗者リストなどもついている。
このような記録が、任期中、ずっと作成されている。
もう一つは、ニクソン大統領の1969年6月1日の日程表だ。
日曜日だが、一日のスケジュールが始まった場所、公務に係る電話は市内、長距離の別にわけて、電話をかけたことを示すPと、電話がかかってきたことを示すRに区分されて記録されている。この日はヘリの移動があったため、乗客リストもこのスケジュールのあとについている。【2】
また、幹部職員のスケジュールももちろん作成され、廃棄されずにNARAに移管して永久保存されている。現在の行政管理予算局長のスケジュールが、情報公開請求により一部公開されている。【3】
スケジュールを見ていくと、大統領(POTUS)とロバーツ上院議員と電話とか、この時間にこの人から職務用の携帯に電話がかかってくる予定なども記入されている。
他の日のスケジュールを見ると、この時間にこの人に電話をする、というものもあったりする。
佐川前国税庁長官の日程表がスカスカでしかも1日保存だったのとは大違いだ。
判断や決定をする立場である権力や権限のある者が、いつ誰と会い、誰と話し、どこに行ったのか、どのような会議や打ち合わせなどに出ていたのかは、政府活動そのもの。
記録することで、不適切な接触や影響力の行使が監視されるという、権力に対する適切な抑止を働かせることにもなる。
日本では、昨年12月の行政文書管理ガイドラインで日程表をわざわざ保存期間1年未満と明示したので、首相の日程表があったとしても、短期間で廃棄することは法的に何の問題もない。このガイドラインの徹底を今、政府と与党は推進している。
結果的に、首相を筆頭に官邸幹部、政務三役、幹部職員などは、記録がない、あるいは短期で廃棄することで、何をしていても行政文書で確認ができない、監視が及びにくい環境にあり、たがが外れやすい状況にあると言えるだろう。
入館記録やミーティング記録
加計学園問題では、日程表だけでなく官邸の入館記録を1日保存で廃棄しているため、誰がいつ官邸を訪れたのかが、行政文書として残っていないことが明らかになった。
新聞等の首相動静を見れば、だれが首相に会いに来たのかはある程度わかるが、だからよいとはならない。行政文書として残っていないことが、そもそもおかしい。
官邸に入館するには「訪問予約届」が事前に出されているが、これが一日で廃棄されている。筆者は、2018年1月中の10日間分、訪問予約届を情報公開請求して入手して整理してみた。【4】
公開された予約届からわかったことは、ほとんどが各省庁から出されたものだったということだ。訪問先は、首相だけでなく、副官房長官、秘書官、補佐官などさまざま。ときどきどこから予約届が提出されたのかを不開示にしているものがある。
これらが、各省庁や自治体など以外から出されたもので、一部が報道関係で記者会見出席のため、それ以外は表敬的な訪問と思われる。
首相動静に出てくるような国会議員や自民党関係者などは出てこないので、予約届がすべての官邸訪問者で作成されているわけではない。事前届け出がないと入館できない場合、不要な場合がどこで線引きされているのかは不明だ。
いずれもしても、まともに入館者の記録が残される仕組みになっていない。
一方、アメリカの大統領府の入館記録は、訪問者記録として電子データで残っている。
オバマ政権では大統領府の入館記録が公表されていたが、トランプ政権になってすべて削除され、非公開方針となっていたところ、情報公開訴訟で争われ、再び公開されるようになった。
現在公開されている入館記録の一つが、大統領府の行政管理予算局への訪問者記録だ。【5】
※画像クリック拡大
記録されている項目には、訪問者の氏名や人数はもちろんのこと、誰を訪問するのか、いつ予定が入れられ、開始時間、終了予定時間、面会の場所などがある。面会等のログにもなっている。
ミーティングのログは別に作られ、大統領府の科学技術政策局のものが一部情報公開請求で公開されている。【6】
※画像クリック拡大
一覧表になっているログには、用件、ミーティングの設定者、参加者、日付、開始と終了時間などが記録されている。
重要なのは用件も記録されているところで、一覧表は、ちょうど科学技術政策局長候補者の面接が行われていた時期のもので、実際に面接を行っていたことがわかる。候補者氏名は不開示になっている。局長は今でも決まっていない。
実際に何が話されたのかは、別に記録が作成されていなければわからないが、訪問者記録とミーティング記録があれば、官邸だけでなく各行政機関でもいつ誰が来たのかわからない、などということは起こらないだろう。
議員からの問い合わせ、働きかけの記録
何を記録すべきかということで言えば、政官接触の記録作成問題がある。
先日も、名古屋市の中学校で行われた前文科事務次官の前川氏の授業について、自民党衆議院議員の指摘を受けて文科省が授業内容を報告するよう名古屋市教委に求めた問題に関連して、自民党議員からの接触記録を文科省が作成していなかったことが報道された(毎日新聞「文科省 前川氏授業照会 政官接触記録作らず 『不当要求でない』」2018年6月17日)
国家公務員制度改革基本法は、政官接触の記録の作成について必要な措置を講ずることを定めているが、実際の運用は不当な政官接触の記録だけを作成するとされている。
自民党議員からの政官接触は不当なものではなかったので、記録の作成義務はないというのが文科省の説明だ。
この仕組みでは、国会議員などからの接触を記録することによって、行政として接触を「不当なもの」と認定したことになる。記録すること自体が特別な意味を持ってしまうため、よほど悪質なものでなければ記録が作成されない。
国会議員などは選挙で選ばれている公職者として、行政職員とは異なる立場にあるので、国会議員やその関係者からの接触は、それ自体が影響力の行使にあたる。
それがすべて問題なのではなく、不当や違法な影響力の行使が問題になるので、前述のような記録作成基準が出来上がっている。
しかし、本来は影響力の行使に当たる政官接触はすべて記録して、それを公開して不当か否か、国会議員等の活動が適当か否かは有権者が判断し、選挙によって当否を決めればよい、というのが本筋だろう。
そうすれば、記録を作成するときに不当か否かを判断する必要もなくなる。
これも、アメリカでは連邦議員から政府機関への問い合わせ記録が作成されていた。一つが、FBIに対して連邦議員やそのスタッフが問い合わせ等を行った記録だ。【7】
いつ、誰が誰(あるいはどこ)に対して問い合わせ等をしたのか、用件は何であったかという問い合わせ概要がログとして記録されている。一番上は、コミーFBI長官にあてたものであることがわかる。
また、CIAからも同じような記録が公開されている。いつ、どの議員からどのような要件で問い合わせがあったのかが記録されている。【8】
これらはあくまでも概要やログなので、個別の案件についてさらに詳しく記録を残す必要があれば、別途作成されることになるのだろう。
なぜ記録が残るのか
日米を比較すると、何を公的な記録として残すのかということの違いだけでなく、記録そのものの作り方が違うこともわかる。
これを、やはりアメリカは違う、記録を大事にする、それに引き換え、と日本の状況を嘆いてしまうと、話は先に進まない。
なぜ記録は残るのかをかみ砕いて考えてみれば、一つは、権力や権限へのアクセス、影響力の行使を記録することで、政府が説明責任を果たし、政治的正当性を確保することになるという合意があること。もう一つは、その合意に基づき、記録の仕方を決めているということだ。
政治的なレベルの活動の何をどう記録するのかを、その都度個別に行政職員が判断することは、非常に負担が大きい。
一方、こういう場合はこう記録していくと決めていれば、記録を残すことは「作業」になる。この日常作業にしておくことが、ポイントだろう。
翻って日本はどうかと言えば、そもそも政治レベルの活動を行政文書に記録して残すことの合意そのものが、政治的にあるとは言えないだろう。
政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がないまま、政治的リーダーシップが発揮されている。このことがもたらす問題が、今、私たちが目の当たりにしている政治の姿だ。
公文書管理の問題がさまざま議論されているが、まずはこの問題を解決する必要がある。
現代ビジネスに寄稿 “日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これは、どう見ても異常事態だ” 三木由希子 https://t.co/XyVPJEMXZv 加計学園問題で強調されるべき問題は、政治レベルの記録がないことを一貫して官邸・政府が自己弁護に使っていること。米国の公文書と比較
— 情報公開クリアリングハウス/Access-info Clearinghouse Japan (@johokokai_ch) 2018年7月13日
首相の活動が確認できない国は、どう見ても異常事態だ@tim1134
— りゅうすず (@rurinsu) 2018年7月12日
日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか https://t.co/PO73BIxZ6A #現代ビジネス
日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか(現代ビジネス)政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がないまま、政治的リーダーシップが発揮されている。このことがもたらす問題が、今、私たちが目の当たりにしている政治の姿だ。https://t.co/C3L9WNiHz2
— teru(テル) (@teru_lefty) 2018年7月12日
日本の公文書根理の姿勢。卒業意向無し。
— Yasuaki Madarame (@madarame) 2018年7月12日
“そもそも政治レベルの活動を行政文書に記録して残すことの合意そのものが、政治的にあるとは言えないだろう。
政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がない”
→日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか https://t.co/StUOXpwc28
いまの首相自身や、行政府が公文書から何から、隠ぺい捏造改ざんする体質だから無理です(きっぱり)。 / “日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか(三木 由希子) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)” https://t.co/9ulFZdMGHO
— へんせいふう (@henseifuride) 2018年7月13日
異常な国日本。国民が率先して変えていきましょう!
— ぷ− (@prairiedog_POOH) 2018年7月13日
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"首相を筆頭に官邸幹部、政務三役、幹部職員などは、記録がない、あるいは短期で廃棄することで、何をしていても行政文書で確認ができない、監視が及びにくい環境にあり、たがが外れやすい状況にある"
— 現代ビジネス (@gendai_biz) 2018年7月13日
日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか https://t.co/Mz4ulGYd7H
情報公開に対する日米の違いを見ると、そ権力を誰が作っているのかという意識の違いでもあるように思う。米国は権力の側にも、その権力が誰により作られたのかという明確な意識があるように思う。
— K.Ohki(大木啓司) (@ichikazeroka) 2018年7月13日
日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか https://t.co/qX9y9a0fHz #現代ビジネス
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— ワッキー提督@逃 (@admiral_wakky) 2018年7月13日
"なぜ記録は残るのかをかみ砕いて考えてみれば、一つは、権力や権限へのアクセス、影響力の行使を記録することで、政府が説明責任を果たし、政治的正当性を確保することになるという合意があること"
日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか https://t.co/MzY0dLZEz4 #現代ビジネス 「政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がないまま、政治的リーダーシップが発揮されている。このことがもたらす問題が、今、私たちが目の当たりにしている政治の姿だ」この正論が通らない国
— くまくま (@makumakumasayu) 2018年7月13日
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