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今日の「赤旗」。首相の学生時代の教員、成蹊大名誉教授の加藤節氏の首相批判は痛烈だ。「安倍氏は本当に歴史を知らない」「一国の首相としてうそつきと呼ばれても恥じない」「責任をとって政治家を辞める決断力もない」「現代日本には『非合法性』が瀰漫している」。国民多数が声をあげ乗り越えよう!
— 志位和夫 (@shiikazuo) 2018年7月3日
焦点・論点 成蹊大学名誉教授(政治哲学)加藤節さん
安倍晋三首相を“叱る”
しんぶん赤旗 2018年7月3日【3面】
安倍晋三首相の学生時代の教員の一人で、安倍政権を舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判してきた成蹊大学名誉教授の加藤節さん(政治哲学)に現代日本の政治状況について聞きました。
(松田繁郎)
現代日本にはびこる「非合法性」国民多数が声あげ乗り越えよう
―「卒業生」の安倍首相を叱っていますね。
僕は、安倍晋三氏を「無知」(ignorant)と「無恥」(shameless)という厳しい言葉で呼んで物議を醸したのですが、安倍氏は本当に歴史を知らない。一国の首相としてうそつきと呼ばれても恥じない。国会で森友学園問題を野党から追及されて「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」と言いましたが、もはや、国政を混乱させ、政治不信を招いたことへの結果責任を取って政治家を辞める決断力もない。
現実を論じるときに、僕は主語と述語という言い方をします。「現代日本」を主語としたときに、もっとも的確にそれを示す述語は何か? それは「非合法性」(illegality)だと思います。現代日本には「非合法性」が瀰漫(びまん)しているからです。
安倍政権は憲法も伝統的な憲法解釈も無視する。官僚の世界では文章が改ざんされ隠蔽(いんぺい)される。大企業は法令順守をしないでデータを改ざんして隠す。「働き方改革」を含めて非常にまずい状況です。
近代政治思想を原理的に探究し、民主主義の基礎を築いたジョン・ロック(1632〜1704年)は「法が終わるところ、暴政が始まる」といいました。つまり、政治にとって法を守ることが重要なのです。人間が人間であることの証しである「固有権」(property=生命・健康・自由・資産)を法的に守らないのが彼のいう「暴政」です。
ただ、「法の支配」といっても、結局は「人の支配」なのです。最高裁長官や内閣法制局長官の人事も事実上、内閣が決めています。立憲主義には、安倍首相のように法を信頼しない人が出てきたら、立憲主義が簡単に無に帰する脆弱(ぜいじゃく)さがあることに注意する必要があります。法を無視したり、法の解釈を勝手に変更したりしたら立憲主義が成り立たなくなる。そのとき、どうするか。
権力が法を破って暴走するときに、ロックが唯一の歯止めにしたのが「抵抗権」「革命権」です。結局、民主主義(リベラル・デモクラシー)による歯止めしかない。「法の支配」が「人の支配」に転化したとき、それを乗り越える運動としての民主主義が重要になります。「憲法守れ」「法を守れ」と国民の多数が声を上げて「不法な権力」を乗り越えていく方法しかないのです。それによって野党をわれわれが支えていかなければ力にならない。立憲主義を強化していくには「抵抗権」や「革命権」を極致とする民主主義が重要だというのがロックからのメッセージなのです。
―加藤さんが大学院3年のとき、著作集の校正・編集を通じて交流した南原繁・元東大総長は、吉田茂首相から、空論をもてあそぶ「曲学阿世(きょくがくあせい)」の徒とまで言われながらも、戦後日本がすべての連合国と平和条約を結ぶ「全面講和」を主張しました。
南原繁は非常に面白い意見の持ち主でした。彼は1946年、東大総長時代に第90回帝国議会の貴族院の勅撰(ちょくせん)議員として、GHQ(連合国軍総司令部)の憲法案の審議に参加し、吉田首相と丁々発止のやりとりをしました。
安保政策について南原は当初、憲法9条に賛成せず、必要最小限の自衛のための兵力は必要だとしていました。その際、南原は、「自衛権」だけではなくて、日本の国際社会への復帰を考えたわけです。つまり、主権国家の論理と、国際社会に復帰して国連軍の一員として平和を破る勢力に対処する論理との二段構えで、必要最小限の自衛のための兵力と言ったのです。
南原は、政治の目的は何か、政治が仕えるべき価値は何かというときに、永久平和を実質的な内容とする「正義」を重視しました。その際、南原は、「正義」は一つであり、それが支配する世界も一つでなければならないと考えました。
そこから南原は、普遍的な「正義」が支配すべき一つの世界を分断する「冷戦」やそれを助長する動きに加担する日本の方向はまずいと考えて「全面講和」を主張し、「冷戦」の一方の陣営にくみする「片面講和」を進める吉田首相と対決しました。
その後、南原は同じ論理に立って日米安保条約に反対し、再軍備にも反対しました。また南原自身は晩年、核時代における憲法9条の人類史的意義を認める立場から、それを変えるべきではないと主張しました。
僕も南原に連なる護憲派として、日米安保を解消して多元的な平和条約をあらゆる国と結ぶ、まさに「全面講和」で中立を守るべきだというのが憲法9条の精神だと思っています。
―そうした観点から、米朝首脳会談後、「在韓米軍の縮小」を「望ましくない動き」(「日経」6月13日付1面)と、朝鮮半島における平和の構築を歓迎しないような論調をどう見ますか。
米朝首脳会談については曖昧だとか抽象的だとか、いろいろな批判があることは承知していますが、核戦争の危機が遠のいたことは大事に考えなければならないと思います。その点で韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が果たした役割は大きいですね。民主化に命をかけてきた人で、理想と現実感覚とを兼ね備えた、世界でもっとも優れた政治家の一人だと思います。
日本の戦後政治の最大のねじれは、憲法9条と日米安保とのねじれです。マスコミの論調を見ると、日米安保条約が第二の「国体」(国家体制)で、手をつけてはいけない“神聖不可侵”のようにされています。日米安保のような既成事実が圧倒的な拘束力をもつ政治の世界だからこそ、逆に、何かを始める人間の能力に賭けて制度を変えていく、政治をつくりかえていくことが重要になってきます。
未来を予測して現在の生き方を決め、人間にふさわしい善(よ)き生の条件を考える能力としての知性を復権させて、政治をつくりかえ、組みかえていくべきだと思います。
敵を味方にし、中立にし、中立者を味方にしていくというかたちで、言葉によって相手を説得し、相手の変化を引き出していく。人間は変わりうるという人間の「可変性」を信じ、人間は何かを始めることができるとの人間観に立って交渉を積み重ね、現状を変革していくことが大切です。
かとう・たかし 1944年長野県生まれ。東京大学法学部卒業。成蹊大学名誉教授。著書『近代政治哲学と宗教』『南原繁』『ジョン・ロック』、訳書『完訳 統治二論』『寛容についての手紙』ほか多数。
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