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対北朝鮮外交について安倍首相がトランプ大統領の指南役というホラを吹くほど、安倍首相とトランプ大統領の親密な関係を自慢している政府だが、トランプ大統領が本当に安倍首相や日本に思いを寄せているのなら、朝鮮半島の和平実現はもう待てないから、とにかく米朝首脳会談の前に日朝国交正常化に道筋をつけろと強く諭したと思う。
トランプ氏が大統領に就任した昨年2月以降幾度も行われた日米首脳会談や電話協議でそう諭された可能性もあるが、理念も道義も政治力も胆力も薄い安倍首相は、結局、“外圧頼み”でなんとか日朝国交正常化に動くという、みっともないだけでなく、日本に大きな損失と不安をもたらす道を選択した。
米朝首脳会談を米朝及び朝鮮半島の問題として論じる傾向があるが、何度も繰り返し言ってきたように、今回の米朝首脳会談は、日本政府=安倍政権に日朝国交正常化を急がせる最後通牒として行われたものである。
安倍政権=日本にとって、遅すぎるがそれほど悪くない条件で日朝国交正常化に道筋をつける最後の機会は、日朝交渉が不調でけっきょく断念したが、朝鮮半島危機が世界レベルで騒がれていた昨年5月1日に安倍首相がロンドンから平壌を訪れ、交渉再開と国交正常化の期限を約束することだった。それと引き換えに、北朝鮮は、核実験とミサイル試射の凍結くらいは約束したであろう。
(その電撃訪朝を実現していたら、悪夢で阿修羅に集う多くの人は許しがたいことだろうが、安倍首相がノーベル平和賞をもらうことになったであろう)
昨年5月初頭がダメでもぎりぎり最後の機会は、やはり断念した今年1月17日に、平壌を訪問し国交正常化の確約をすることだった。
安倍政権が、二度の機会を、たぶん、「拉致問題」で国民を説得できるだけの条件を北朝鮮が示してくれなかったことで諦めたため、米国トランプ政権は、日本を日朝国交正常化の道にムリヤリ引きずり込みながら、「米朝和解」を先行させるという“荒技”を選んだ。
日朝国交正常化の前に「米朝和解」が実現したことは、日本にとって「第3の敗戦」を意味する。
むろん、「第1の敗戦」はアジア太平洋戦争(大東亜戦争)であり。「第2の敗戦」はプラザ合意を契機に進んだバブルの形成と崩壊である。
「第3の敗戦」は、対処次第で敗戦とはしないこともできるから確定的ではないが、おそらく、日本を根底的に変えた「第1の敗戦」にははるかに及ばないが、「第2の敗戦」よりも重いものになるだろう。
チコちゃんに叱られる!ような生き方をしている識者たちも、数年もしないうちに「第3の敗戦」に気づき、なぜ、02年10月時点からちゃんと日朝国交正常化交渉を進めなかったのか、「拉致問題」は重要なことだが国交正常化交渉と併行して進めたほうが良かったという批判と怒りの声が彷彿することになるだろう。
それは、当然のごとく、日朝平壌宣言をとりまとめながら、「拉致問題」についてきちんと国民や拉致被害家族に説明・説得できず、政権維持のため(国交正常化を実現するためにはそれも必要だが)、02年10月に第1回日朝国交正常化交渉の入り口に立っただけでぷいと離れていった「小泉−安倍」の責任につながっていく。
02年10月29・30日にクアラルンプールで開催された久々の日朝国交正常化交渉(第12回)では、
「日朝平壌宣言に基づき安全保障上の問題につき議論するため、双方は、日朝安全保障協議を11月中に立ち上げることに合意した。〈中略〉日朝平壌宣言に従って行う協議であり、同宣言に述べられた核問題、ミサイル問題等を議題とするとの共通認識の下、具体的には、今後、日朝間で詰めていくこととされた」
と、現在なおテーマになっている軍事的問題を日朝が協議して解決する土俵ができようとしていた。
拉致問題についても、
「日本側より、5名の被害者の方につき、その家族を含めて自由な意思決定を行える環境の設定が不可欠であるとして、その安全の確保及び早期帰国と帰国日程の確定を求めた。これに対し、北朝鮮側は、拉致問題については、金正日国防委員長がその存在を認め、謝罪し、再発防止を約束した上で、きちんと誠実に対応してきた、この問題をきれいに解決する意思があるが、約束どおり、被害者5名が一旦北朝鮮に戻り、事情を全く知らない子供と話すことが問題のスムーズな解決につながる、帰国は被害者本人及びその家族の意思によるべきものである、この問題を政治的に利用する考えはなく、被害者の家族の安全については心配する必要はない旨述べた。」
「日本側より、生存が確認されていない拉致被害者についても、事実解明を引き続き強く求めるとともに、拉致被害者の御家族から出された疑問点等を踏まえた追加照会事項を手交し、速やかで誠意ある回答を求めた。北朝鮮側は、関係機関とも協議しつつ、可能な限り速やかに回答できるよう努力する旨述べた」
とあるように、「拉致問題」も、日朝国交正常化交渉と併行して協議できる状況にあった。
最後には、
「なお、次回本会談については、北朝鮮側より、11月末の開催につき提案があり、日本としては、これを持ち帰り、検討することとした」
になったが、日本政府は、突如として「拉致問題」の解決が国交正常化交渉に入るための条件と言いだし、それ以降の会談は行われることがなかった。
「日朝国交正常化交渉第12回本会談」概要より
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/abd/nego12_gh.html
「日朝国交正常化交渉第12回本会談」をもって以降の日朝交渉を突っぱね続けたことを考えると、その判断は、レベルは格段に低くリカバリーも可能だが、対米開戦を意味する「真珠湾奇襲攻撃」に匹敵する愚考だと言える。
このような説明を書くと、そうはいっても、おまえは、日朝国交正常化を成し遂げられるのは無能でも安倍しかいないと言ってたじゃないかと思われる読者もいるだろうが、それは、今でもそう思っている。
なぜなら、この数ヶ月の国際情勢とりわけ朝鮮半島情勢の歴史的変化にまともに発言した政党や政治家はいないからである。(私がウォッチしている限り)
野党は、安倍首相が、「拉致問題」の解決を日朝交渉の入り口にせず、「拉致問題」の解決のために日朝交渉を行うと表明しても、鈍感な反応というか無反応でやり過ごしている。
そのような政策転換は、対北朝鮮政策の方針をたんに02年10月時点のものに戻すことを意味している。
それは、それなら、「拉致問題」という重大な課題を抱えていながら、なぜ、02年10月から積極的に日朝交渉を進めなかったのかという重大な国策の誤りに帰結する。
そうであるのに、野党与党問わず、「拉致問題」で総理大臣になったとも言える安倍首相に、日朝関係での決定的な路線転換について、転換した理由や今後の展望などをきちんと説明するよう求める声さえ大きくなっていない。
日本にとって決定的な重要な問題を解決する端緒を米国大統領に頼み込む姿は、属国の統治者としか見えないのに、大きな批判は起きない。(外圧と米国の威光を利用する典型的な日本政治の手法だが)
(安倍氏は、02年9月の小泉訪朝にも同行し、一時帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に戻さないようにしたと豪語(ウソでなんとか帰ってもらおうとしたがダメだったので強硬策に転換)した政治家なので、トランプ大統領のように過去の大統領が解決できるのに解決しなかったと言える立場にはない。簡潔に言えば、小泉純一郎氏とほぼ同等の重罪を背負っている)
はっきり言えば、「モリカケ」絡みも重要な政治テーマだと思っているが、日朝国交正常化にまつわる数々の失政と今なお続く“敵対”的な対北朝鮮政策に較べれば、捻挫と心臓発作くらいの違いがある。
それに気づかず、米朝首脳会談を受けて、「北朝鮮に時間稼ぎをさせるおそれがある」などと発言する最大野党立憲民主党(福山氏や辻元さん)に、安倍首相(自民党)に代わって政権を担う能力を見いだすことはできない。
(それほど、日朝関係の改善は、日本の政治家にとって恐ろしいほどの鬼門なのである。だからこそ、日朝国交正常化=拉致問題解決をやり遂げることが政治的使命となっている安倍氏にしか、この政治課題はクリアできないと言ってきたのである。安倍氏は、米中の要請で首相になったくらいだから、トランプ大統領の対応でも推測できるように、それなりの気遣いとサポートを受けることもできる)
拉致被害者家族は、02年の時点でもリタイア年齢に達していた人が多く、その後亡くなられた人も複数いる。
安倍首相が12年12月に恥ずかしながら再び首相の座に就いてからでさえ、5年半も経過している。
実際のところはまだわからないが、02年10月以降今日に至る歳月のなか、北朝鮮で亡くなられた「拉致被害者」(たぶん02年時点で日本に帰りたくなかった人)もいるかもしれない。
しかし、米朝和解が日朝国交正常化に先行したことを「第3の敗戦」と呼ぶのは、関係者には申し訳ないが、拉致問題解決の失敗(先延ばし)に由来するわけではない。
リアルな世界として次の事柄をイメージして欲しい。
南北首脳会談で融和の兆しがあったとしても朝鮮半島が南北に分断され軍事的緊張関係が続くなか友好と支援が欲しいと北朝鮮が思っていた2002年、
中国や韓国が経済的に興隆してはいたが日本がなお圧倒的な経済力を誇っていた2002年、
中国や韓国の金融力が乏しく北朝鮮にとっても経済再生と経済成長には日本の支援が絶対必要と認識していた2002年、
北朝鮮の経済成長のためにインフラ整備や鉱物資源開発などで日本との経済連携が不可欠だった2002年、(日本は35年の朝鮮半島統治があったので北朝鮮の鉱物資源などを調査している)
と
「米朝和解」が実現し、北朝鮮は軍事的脅威に対処するために国力を大きく割く必要がなくなった今、
韓国との融和と経済協力が進むことが見えている今日本との和解はそれほど重要なテーマではなくなった今、
軍事的経済的に最後の後ろ盾であった中国が量的には日本を圧倒するほどの台頭を見せている今、
北朝鮮は自主独立で経済成長するため韓国や中国の支援に過剰にすがりたくないが、最悪の場合、日本の支援なしでも経済成長は達成できる国際環境に支えられている今、
EV用電池などに必須の者も含めてレアメタルやウランなどが豊富な北朝鮮に欧米諸国が熱い視線を向けている今
の違いを。
02年当時と現在の違いは何を意味するのかと言えば、日本が、日朝交渉を“間違った理由”でサボタージュしてきたために、圧倒的だった優位性を失うハメになったということである。
日本に救いがあるとしたら、韓国や中国に気兼ねすることなく、自分の判断で使える資金をできるだけ多く持ちたいという北朝鮮の主体思想的構えが今なおあることである。
そして、日本は、歴史的道義に照らしても、朝鮮半島の平和構築と統一回復を後押しなければならない立場なのに、あれこれ注文をつけて本当にぎりぎりまで「米朝和解」の足を引っ張り、米朝共同声明に対する評価も冷淡なという状況である。
しかも、安倍首相は、国内向けポーズだろうが、今なお、拉致・核・ミサイルの包括的解決が見通せなければ日朝首脳会談は行わないと表明している。
「第3の敗戦」というショッキングな呼び方をしたが、対米戦争を仕掛けるという取り返しのつかない失政とは違い、日朝国交正常化に先行して「米朝和解」を許してしまった失政は今後の取り組み方次第でそれなりのリカバリーができる。
「米朝和解」を日本にとっての「第3の敗戦」にしないためにどうすればいいのか、政治家や識者はそれを徹底的に議論しなければならない。
今のような論調が続けば、「米朝和解」が日本にとっての「第3の敗戦」になるのは必至である。
おまけ:
今夜のBSフジ「プライムニュース」では、日朝平壌宣言のとりまとめに尽力した田中均氏のガレージで爆発事件が起きたとき「当然だろ」と語った石原慎太郎氏が出演し、米朝首脳会談後の東アジアについて語るという。政治的には力を完全に失っているが、リトマス試験紙として、何を語るのか確認したい。
※関連参照投稿
「「北朝鮮核問題」ではなく「朝鮮半島統一回復」が主題と気づかぬ日本の政治家やメディアたちの精神を蝕んできた属国的戦後史」
http://www.asyura2.com/18/senkyo245/msg/319.html
「当時の官房長官である福田康夫元首相が語る「日朝交渉失敗要因」と「日本の約束破り」」
http://www.asyura2.com/18/senkyo245/msg/288.html
「「解決済み」言及せず=拉致問題で金正恩氏―首脳会談を本格模索:中国・米国そして北朝鮮にもおんぶにだっこの安倍首相」
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/255.html
「東アジア激変と日本0:「モリカケ冷麺」でも生き延びる安倍政権:長きに亘って続いてきた日本と北朝鮮の「奇妙な裏同盟」の序」
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/296.html
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