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阪神支局銃撃事件以降リベラル色を薄めてきた朝日新聞だが、米朝首脳会談に関する社説全文を読んで、あまりに不様な歴史観・世界観に目を覆ってしまった。
末尾に米朝首脳会談に関する社説全文を引用するが、そこから、いくつか抜粋して批判したい。
今更、朝日新聞を批判しても....という気はあるが、入試問題にも使われ続けるように一定のファンがいるようなのでムダにはならないだろう。
1)「その歴史的な進展に世界が注目したのは当然だったが、2人が交わした合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった。」
共同声明にある「新たな米朝関係が朝鮮半島と世界の平和と繁栄に貢献することを確信し、互いの信頼構築により朝鮮半島の非核化を促進できると認識」ほど、朝鮮半島をめぐるこれまでの歴史に照らして画期的で意義深い合意はない。
それは、核兵器をいつまでに廃棄するとか、原子炉など核関連施設にいついつからIAEAの査察を受け容れるといった具体的な事柄の列挙よりずっと価値の高い合意である。
それが理解できない歴史観や世界観の持ち主なら、日本を代表する新聞と自負する朝日新聞で社説を書く仕事から降りた方がいいと断言する。
2)「公表されていない別の合意があるのかは不明だ。署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る。」
米朝は、今回の首脳会談をめざし昨年8月頃からは交渉を続けてきたから、共同声明に書かれていない合意や詳細な取り決めは数多くあるのは当然だろう。
しかし、それらは、「朝鮮半島と世界の平和と繁栄に貢献する新たな米朝関係」と謳った共同声明に包摂されていると考えられる。
昨年春のような迫り来る戦争の危機を遠ざけるというレベルではなく、新たな米朝関係の確立と朝鮮半島における恒久的かつ揺るぎない平和体制の構築に関する問題について両国首脳が協議したのに、「米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る」というような社説を書いた幹部の思考回路は錆び付いているか腐敗している可能性がある。
「新たな米朝関係が朝鮮半島と世界の平和と繁栄に貢献する」という共同声明を出したことだけでも、両首脳が会談を行った大きな意味があることを理解できないのだろうか。
70年近く敵対関係にあったのだから、米国も北朝鮮も、会談をことさら急いだわけではなく、納得できる合意に達したから会談をしたのである。
というより、米国と北朝鮮は、今回の米朝首脳会談で合意した内容は25年前に合意している内容とほぼ同じである。
日本政府も大きく関わっているが、体制保証=不可侵を謳った94年の「米朝枠組み合意」を履行せず、約束した軽水炉2基もけっきょく提供しないままで終わった(09年頃に民間ベースで軽水炉1基を電力食いのウラン濃縮施設用に提供)。
米国トランプ政権は、急いだというより、サボタージュしてきた過去の米国政権の誤りを償ったと見ることができる。
3)「「朝鮮半島の永続的で安定的な平和体制」づくりという声明の目標の実現へ向け、両首脳は重大な責任を負ったことを肝に銘じねばならない。」
むろん、米国と北朝鮮は、共同声明の内容を現実化するために責務を果たし実現に奮闘しなければならない。
しかし、同時に、トランプ大統領が会見で語ったように、日本を含む周辺諸国も同等の責任を負っている。
日本が、日朝平壌宣言に基づく国交正常化交渉を16年近くもサボタージュしていることが、この16年間に繰り返された“北朝鮮騒動”の淵源なのである。
「拉致問題」の解決を振りかざし、日朝平壌宣言の最優先課題であった国交正常化交渉の入り口でぷいと帰ってしまった日本の罪はとてつもなく大きい。
そういう日本政府をきちんと批判してこなかった朝日新聞にも小さいながら罪がある。
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(社説)初の米朝首脳会談 非核化への重大な責任
2018年6月13日05時00分
朝鮮戦争が休戦状態になってから65年。敵国同士だった米国と北朝鮮の首脳が初めて会い、握手を交わした。
その歴史的な進展に世界が注目したのは当然だったが、2人が交わした合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった。
最大の焦点である非核化問題について、具体的な範囲も、工程も、時期もない。一方の北朝鮮は、体制の保証という念願の一筆を米大統領から得た。
公表されていない別の合意があるのかは不明だ。署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る。
だが拙速だったとしても、2人が踏み出した一歩の意味は重い。日本を含む北東アジア地域の未来も左右する米朝の新たな関係を誓い合ったのだ。
大きな賭けに近い実験と言わざるを得ない。約束通り、これを起点に懸案の解決への道筋を開かねばならず、失敗に終われば、回復困難な禍根を将来にわたって残すだろう。
「朝鮮半島の永続的で安定的な平和体制」づくりという声明の目標の実現へ向け、両首脳は重大な責任を負ったことを肝に銘じねばならない。
■過去の教訓に学べ
トランプ大統領が金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長からの会談要請を受諾してから、3カ月。この間、米側は過去の過ちを繰り返さない厳格な非核化を会談の条件にするとしてきた。
「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」。トランプ氏は記者会見で、それを文書に落とすには「時間がなかった」と認めた。その上で金氏は速やかに動くだろうとの期待を口にした。
その軽々しさには驚かされるとともに深い不安を覚える。
北朝鮮の核問題は、合意がほごにされる背信の歴史だ。歴代政権の試みを何度も非難しながら、トランプ氏は本当に過去から学んだのだろうか。
トランプ氏が「すばらしい人物だ」と持ち上げ、金氏が「巨大な事業を始める」と語る。きのうはそんな友好の演出が目立ったが、重要なのは明文化された行動計画である。
「非核化」の定義をしっかりと固定し、明確な期限を区切った工程表こそ、会談の成果と呼ぶに値する。今後予定される米朝協議で、着実に非核化措置を築かない限り、トランプ氏の外交は称賛されない。
一方、北朝鮮が米国から最も得たかったのは、社会主義国を標榜(ひょうぼう)しながら特異な独裁を敷く体制の保証にほかならない。
共同声明での約束に加え、トランプ氏が米韓軍事演習の見直しまでも示唆したことは北朝鮮にとって大きな成果だろう。
■人権問題の監視を
北朝鮮はすでに国内向けにも核放棄を語り、経済再建に注力すると宣言している。だが、本当に体制を維持し、国際社会で名誉ある存在にもなりたいと願うなら、自らの国家運営のあり方を改める以外に道はない。
仮に米軍による攻撃が避けられても、北朝鮮が抱える他の問題が解消するわけではない。
その一つが人権問題である。国内に数カ所ある政治犯収容所では多くの人々が劣悪な暮らしを強いられているとされる。
金正恩氏の兄、正男(ジョンナム)氏はシンガポールの隣国マレーシアで昨年、暗殺された。米政府が北朝鮮による犯行と公式に結論づけたのは、つい3カ月前。
トランプ氏は成果を急ぐあまり、人権問題に目を背けるようなことがあってはならない。
朝鮮半島情勢の先行きは見通せないが、関係国の外交の歯車は活発に回り始めている。
韓国、中国、ロシアの首脳級がかつてない頻度と密度で相互に対話を進め、米朝交渉に間接的にかかわってきた。
安倍首相はこの間、トランプ氏に対し、金正恩氏との会談で日本人拉致問題を提起するよう要請してきた。トランプ氏は会談で「提起した」というが、実際のやりとりは不明だ。
日本の北朝鮮政策の根幹が、米韓との緊密な連携にあることは今も変わらない。だが、その米韓がすでに北朝鮮との対話に大きくかじを切り、圧力一辺倒の路線を変更した事実を直視する必要がある。
■日本、積極関与の時
二国間の問題は当事国同士で話し合うしかない。もし今後に米朝や南北間の協議が進めば、朝鮮戦争の公式終結や新たな平和体制づくりに関する大枠の協議も始まるだろう。
日本がいまだに国交をもたない近隣国は北朝鮮だけであり、その関係正常化は戦後日本の最大の課題の一つである。
米国との関係に寄りかかるだけの受け身の姿勢から脱し、朝鮮半島と北東アジアの安定と和平づくりを積極的に構想する外交力が問われている。
米朝会談は諸懸案を打開する明確な方向性は打ち出せなかった。だからこそ、日本は中韓ロとの連携を深め、建設的な関与を探らねばならない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13537341.html
※関連参照投稿
「当時の官房長官である福田康夫元首相が語る「日朝交渉失敗要因」と「日本の約束破り」」
http://www.asyura2.com/18/senkyo245/msg/288.html
「昨年10月ニューズウィーク記事:米朝交渉の歴史にトランプは学べ 「頓挫したのはアメリカが約束を破ったためだった」」
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/334.html
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