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6月 10, 2018
日本は民主主義の国だ、と日本国民は信じて疑わない。確かに一人に一票の「民主的」な選挙制度で代議員が選出されて地方政治や国政が行われている。
しかし一人一票の投票が平等に行われているから「民主主義」が確立されているのか、というと必ずしもそうとはいえない。なぜなら多くの国民が望ましいとは決して思わない情実政治が民主主義の頂点たる国政で行われているのを私たちは目撃しているからだ。
民主主義が完全に機能していたら、多くの「有権者」が望む社会が実現されているはずだ。では多くの有権者が望む社会とは一体何だろうか。
少なくとも故郷が放射能に汚染されて「居住禁止区域」に指定される社会ではないはずだ。少なくとも働く意思と動ける体のある者がホームレスになる社会ではないはずだ。一方に生涯かかっても使い切れないほど巨万の富を持つ一握りの富裕層がいる半面、結婚はおろか明日にも「馘」を言い渡されるかも知れない貯蓄もない派遣労働者の若者たちがいる、という社会を多くの有権者たちは決して望んでいないはずだ。
それではどうして一人一票の民主主義の下で、こうした「多くの有権者が望まない社会」に日本がなっているのだろうか。しかし、それは民主主義を世界へ輸出している本家の米国でも同じだ。
一握りの超・富裕層と圧倒的多数の貧困層が存在する、というのは民主主義国家として少し変ではないだろうか。多くの有権者が、少なくとも過半数の有権者が「7人に1人がフードスタンプを支給される」社会は変えるべきだと考えて、彼らの意見を代表する議員をワシントンへ送り込んだなら、そうした社会格差は是正されるはずだ。
しかし、そうはなっていない。むしろ社会格差は広がっているように見える。実際にジニ指数をみても、一握りの者が富を独占しているのが良く分かるだろう。世界の富はトップ8人で40%近くを占めているといわれている。
しかし生涯かかっても使い切れない富は、実はないのと同じだ。いかに部屋数の多い大豪邸を建てようと、人が一度に使える部屋は一部屋だ。何十台のスーパーカーをガレージに並べようと、人が一度に運転できるのは一台の自動車だけだ。そしていかに宝石や高級服で身を飾りたてようと、人は老いて死んでいく。絶世の美女だったイングリッド・バーグマンもオードリー・ヘップバーンも既にこの世にいない。
富に限界がなくても、人には限界がある。物欲は果てしなくても、人生は限りある。しかしそうとは考えない愚かな「支配欲」に憑りつかれた強欲な一握りの謀略が民主主義を歪めている。
民主主義の仕組みを使って、政治を「我が物」に操ろうとする者がいて、操るための仕掛けを方々に張り巡らしている。その成果として民主主義の社会で多くの者が貧困化する、という理不尽な「矛盾」が現れている。
人の物を勝手に奪ったり、人を虐殺したり虐げたりしてはならない、と人たちは普通に「常識」として思っている。しかし、それはつい数十年前まで「常識」ではなかった。
さらに遡ること100年の世界では白人が有色人種の人たちの土地を奪い有色人種の現地人たちを牛馬以下に使役しようが凌辱しようが虐殺しようが、それが普通だった。その成果の象徴が大英博物館の収蔵品だ。欧州諸国の歴史的な整然とした街並みや社会インフラも、そうした富によって築かれたものだ。
常識は時代によって変化する。現代社会では中国の南東シナ海への軍事的な進出は非難されるが、つい一世紀前までは当たり前のことだった。弱肉強食こそが社会正義だった。
そうした遺伝子が現代の民主主義の中に紛れ込んでいる。ウォール・ストリートを根城にする一握りのハゲ鷹たちが自分たちに都合の良い世界を構築しようとしている。それは瞬時に世界を駆け巡る電脳世界に対応した巨額投機資金による大金儲けの仕掛けを全世界に作ることだ。
一握りのハゲ鷹たちは既に米国で彼らの野望を成し遂げている。今度はそれを世界各国へ輸出することだ、と考えた。
ハゲ鷹たちが民主主義の政治体制下で彼らの野望を実現するために米国政界で何を行ったか。いわずと知れてロビィストの暗躍と、各上下国会議員選挙で彼らに与する候補者や大統領選への巨額選挙資金の提供だ。そして選挙がカネで左右されるようにテレビCMやお祭り騒ぎの選挙戦を自由にし、それを伝統として米国に根付かせたた。
奇しくもトランプ氏が米国のマスメディアを「フェイク・ニュース」だと散々こき下ろしている。まさしく米国のマスメディアは一握りのハゲ鷹たちを賛美する宣伝機関に堕している。
アメリカンドリームを宣伝することは格差社会を是認する暗示を毎日行って集団催眠から覚醒させないためだ。プロスポーツのバカげた高額年収の公表も集団催眠から覚醒させないための道具立てだ。
ハゲ鷹たちにとって好ましいのは瞬時に世界の何処へでも巨額投機資金を動かして、人より早く巨万の富を手に入れることだ。そのためには戦争を起こすことだって構わないだろう。
この評論の題に「民主主義の前提」と名付けた。日本で民主主義の前提を覆す異常事態が起きているからだ。民主主義の前提として、まず第一に正しい情報がすべての有権者に行き渡っていなければならない。第二に、有権者は個々の信念によって投票し、何人によっても投票を強制されてはならない。そして第三に公務員はすべての情報を開示し、嘘を吐いてはならない。この三原則が確保されていれば、民主主義は正しく機能する。
中世の宗教裁判という馬鹿げた茶番がなぜ「神の名」によって行われたのか。それは正しい情報が行き渡ってなかったからだ。そして「神の名」による思考停止(これこそが宗教の特徴だが)が社会全般で常識だったからだ。そして何よりも民主主義社会ではなかったからだ。
では、現代の世界でなぜ戦争が絶えないのか。それは民主主義の前提が崩れているからだ。まず国連からして民主的な運営がなされていない。そして神の名による戦争が絶えないのは宗教という「思考停止」原則を利用する権勢欲や名誉欲に憑りつかれた狂人が神の名を騙っているからだ。
人類の英知はまだまだ発展途上にあるが、私は大きな希望を持っている。なぜなら私のこのブログは電脳世界を駆け巡り、世界の誰でも読むことが出来る。ただし、一部ネットを規制している中国やロシアや北朝鮮などでは読むことが出来ないが。彼らの国の権力者たちは正しい情報が彼らの国へ流れ込めば、彼らの政治がいかにいかがわしいものかが露呈するからだ。多くの国民に正しい情報を知られたなら、彼らの統治が立ち行かなりかねないからだ。
しかし多くの世界の人々は自由にネットを閲覧できる。このブログで書いた「ジニ指数」とは何か、知らない人は是非とも検索して理解して頂きたい。そしてあなたの国は世界のどの程度なのかを理解して頂きたい。あなたの国のマスメディアは必ずしも正しい情報を伝えているとは思えない。公務員だった嘘を吐く。公然と国会で嘘を吐き、公文書を隠蔽し、そして都合良く記憶喪失になる。そうした場で議決された法案や「決めごと」が行政で執行されるのは、決して民主主義政治とは言わない。
日本国民は江戸時代さながらの情実政治の目撃者だ。しかしこうした恥ずかしい政府と国会を日本国民が持っている責任は選挙でこうした政治勢力を支持したからに他ならない。民主主義ではすべての政治責任は国民に帰結する、という原理原則も有権者は肝に銘じておくべきだ。
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