http://www.asyura2.com/18/senkyo245/msg/220.html
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トランプ大統領が金委員長宛書簡を通じて6月12日の米朝首脳会談をキャンセルしたという報道が飛び込んできた。
トランプ大統領の突然の会談キャンセルについて、メディアは、非核化の条件をめぐる合意がうまくいっていないとか、2回目の中朝首脳会談を持ち出して中国の影響ではないかなどの解説を行っている。
しかし、トランプ大統領は3月9日に金委員長からの会談申し入れを突発的に受け入れたかのように見せたが、米朝間の合意は、トランプ大統領が首脳会談を決めた時点にはほぼ出来上がっていたのは間違いないから、非核化条件などがキャンセルの理由になることはない。
ほんとかいな?という声は聞こえてくるが(笑)、この二日間の私の投稿を読めば、6・12米朝首脳会談がキャンセルになった理由がくっきり見えてくると思っている。
トランプ大統領が最近米朝首脳会談の延期や中止を口にするとき、必ずと言っていいほど、「大連の中朝首脳会談」を持ち出していることを思い出してほしい。
会談キャンセルの意向を伝える金委員長宛書簡は、CNNの記者が「まるで親しい友人に宛てたような手紙。会談が永遠に開かれないということではなく、会談への扉は開かれているということだ」と解説したことでもわかるように、キャンセルの理由が、米朝の対立や米朝交渉の行き詰まりではないことは確かだ。
表向きのキャンセルの理由は、「最近のあなた方の声明に表れた激しい怒りとあらわな敵意に鑑み、私は現時点ではこの長く計画してきた会談を実施するのは不適切だと感じる」からというものである。
「あなた方の声明に表れた激しい怒りとあらわな敵意」というのは、今のような状況だと首脳会談を取りやめるかもしれない、会談を取りやめるようにトップに進言するかもしれないなどといった北朝鮮のキム第一外務次官やチェ外務次官の言動を指していると思われる。
しかし、彼らの言動自体が“小芝居”だと思う。端的に言えば、米朝が合作で、会談をキャンセルしても角が立たない絶妙な環境を作ったのである。
ご存知のように、北朝鮮は中国と同じく労働党が行政機関より上位の組織であり、外務省の次官といっても日本の外務次官とは比較できないほど低いポジションでしかない。
「あなた方の声明に表れた激しい怒りとあらわな敵意」といっても、それを表明したのは、外との折衝を担う中堅外交官でしかなく、金委員長やその側近(常務政治局員)ではない。
書簡を締めくくる言葉も、「この最も重要な首脳会談について考え直すことがあったら、遠慮なく私に電話するか手紙を書いてほしい」という極めて前向きで善意に溢れたものである。
書簡には一か所だけ、「あなたは自分の核戦力について語るが、米国の核兵力はあまりにも大規模で強力で、私はそれが決して使われずに済むことを神に祈っている」というきな臭い文言があるが、これは、国内強硬派向けポーズであり、トランプ大統領特有のお遊び“過激発言”と解釈できる。
(トランプ大統領の金委員長宛書簡全文の日本語訳文は末尾に掲載)
じゃあキャンセルした理由は何なのかといえば、表題にある通り、日朝首脳会談に乗り込んで日朝国交正常化交渉に決着を付けられない日本政府(安倍首相)の動きである。
ずばり言えば、安倍首相が6月12日までに日朝国交正常化にめどをつけられないという現実である。
この投稿は、元々は、
「大詰めの日朝交渉:トランプ大統領が米朝会談延期説を語るワケ トランプ大統領が安倍首相に気を遣うワケ」
というタイトルで、このところの国際政治の動きのなかで「蚊帳の外」説も喧伝されている日本が、朝鮮半島の平和構築にとってどれだけ重要なポジションを占めているかを説明する予定のものだった。
タイトルに書いた「米朝首脳会談をキャンセルしたワケは優柔不断で主体性のない安倍首相への気遣い!」は、この二日ほどのあいだに投稿した内容を引用するだけで大まかに説明ができる。
1)「大詰めを迎えた日朝交渉:「拉致問題」解決に向け大きく舵が動いた5月7・8日大連「中朝首脳会談」」
http://www.asyura2.com/18/senkyo245/msg/149.html
この投稿は、5月7・8日の大連中朝首脳会談が「日朝首脳会談」が、日朝国交正常化交渉をなんとしても推進したい安倍政権を支援するために、「日朝交渉」のどん詰まり原因である「拉致問題」をなんとか“解決”するための調整が目的だったと説明したものである。
この2回目の中朝首脳会談の性格について、トランプ大統領も知っているとして、
「今日行われた米韓首脳会談の場で、トランプ大統領は、6・12米朝首脳会談の中止や延期の可能性に言及し、この投稿の主題である第2回中朝首脳会談(5月8日)後に北朝鮮の態度が変わった、中国が影響を与えたとしたら問題だ、習主席は世界一のポーカーフェイスなどと語っている。
トランプ大統領は、大連の中朝首脳会談のすぐ後に習主席は電話で協議しているから、公表されたもの以外に、中朝首脳会談の内容や成果はわかっているはずである。
さらに言えば、ポンペオ新国務長官が、会談翌日の5月9日に、中朝首脳会談から帰国した金正恩委員長と会談し、刑事犯で拘束されていた3名の韓国系米国民の釈放を実現しているから、2回目の中朝首脳会談の内容を生々しく聞いた可能性もある。
この投稿をお読みいただけば、脅したり褒めたり宥めたりというトランプ大統領特有のおとぼけ(ブラフ)ぶりの裏事情が少しは垣間見えると思う。」
トランプ大統領が最近米朝首脳会談の延期や中止を口にするとき、2回目の中朝首脳会談にひっかけているが、これは彼特有の言い回しで、日朝関係がいい方向に少しずつ改善されているがしばらく様子を見なければ結果はわからないというものだろう。
これは、トランプ大統領が、日本(安倍首相)が北朝鮮との国交正常化を何とかしようとしていること、北朝鮮も中国の仲介で安倍首相のメンツが立つように「拉致問題」で少しは配慮しようとしている状況を認識していることを意味する。
何より重要なのは、今日まで続く朝鮮半島南北分断の淵源と言える朝鮮併合(朝鮮半島に影響力を本格的に及ぼそうとした日清戦争からとも言えるが)に踏み切った日本としては、北朝鮮との国交正常化について、戦火を交えるほどの敵対関係にあった米国の後塵を拝するわけにはいかないと考えていることをトランプ大統領が了解していることである。
(敗戦(ポツダム宣言受諾)時に、ともかく日本であった朝鮮半島をただ放棄した(見捨てた)という責もある:朝鮮半島をいわゆる植民地支配していた日本が、朝鮮戦争で戦火を交えた米国よりもあとに北朝鮮と国交を正常化することになったら、日本という国家の道義と名誉は地に落ちる:米国(ニクソン政権)が中国大陸を蹂躙した日本を反中共にしたまま中国と関係正常化を図った二の舞にはしたくないと外務省などは考えている:かつてのように米国の後ろ盾で経済力を見せつけるといった日本の外交は、中国の台頭と米国の内向きという新たな状況において難しく、将来の国民のためにも道義と名誉は失ってはならない)
さらに、日本が国交正常化後に負担する経済協力金には、米国が負担すべきミサイル輸出停止や核開発凍結の代償(3千億円ほどでクリントン政権時代に約束)も含まれていること、日本が02年に北朝鮮と国交正常化交渉を始めなければならないよう米国が汚く酷い罠を仕掛けたことなどから、強圧的に国交正常化を進めさせるのではなく日本の立場を尊重しなければならないことも知っている。
北朝鮮としても、今では日本に頼らなくても中国や韓国から経済的支援を受けることで経済発展できるとしても、それらに依存するだけになれば保護国や属国のような立場になってしまうから、ちゃんと尊厳を維持できる自前の資金がなんとしても欲しい。
北朝鮮にとって、歴史的賠償として堂々と受け取れる日本からの経済協力や日本との経済関係は、「主体思想」的に経済発展を実現するために不可欠なのである。
日本では米朝交渉は長引くという見方が大勢を占めているが、私は、米朝首脳会談が行われれば、調印はともかく、平和協定から国交正常化(不可侵条約)までの約束が取り交わされると考えている。
トランプ大統領も金委員長も、せっかちな性格であり、こうしたい(こうしよう)と思って決断したら、迅速にことを進めさっさと実現したいのだ。安倍首相とは違って・・・・・
だからこそ、安倍官邸は、米朝国交正常化に後れを取らないよう、日朝国交正常化に向けた打開策を必死に追及しているのである。
トランプ大統領が6・12米朝首脳会談キャンセルをしたのは、
2)「大詰めの日朝交渉:“帰国したい人だけ帰国”「拉致問題解決法」を青山繁晴氏やビートたけしに発言させ世間の反応を窺う安倍官邸」
http://www.asyura2.com/18/senkyo245/msg/197.html
で書いたように、
「 しかし、「拉致問題」解決に関するこの“転向”でさえ、戦略眼もなければ政治的胆力もない安倍政権が実行に踏み切れるか定かではない。
そう遠くない時期には踏み切るのだろうが、いよいよ追い詰められて訪朝というかたちはなんとしても避けて欲しい。
できれば、サンクトペテルブルグ経済サミットでの日露首脳会談の帰りに平壌に立ち寄って欲しい。
拉致問題の泥沼に嵌まって政治的使命を未だ果たしていない安倍首相には、真っ正面から、朝鮮半島の平和実現に日本が果たすべき歴史的使命をきちんと国民に訴え、「拉致問題」がこじれた理由をきちんと説明すべきとだと再度言いたい。」
という部分の、日露首脳会談後の「安倍首相電撃訪朝」はないということ、6月7・8日のカナダサミットのときも難しいという情報を得たからだろう。
昨日、ワシントンにいる河野外相が、「条件が整わないなら米朝会談をする意味がない」 と表明したり、野上浩太郎官房副長官も、定例記者会見で、「トランプ大統領が米朝首脳会談延期の可能性に言及したことは北朝鮮の具体的行動を引き出すためのもの」としながら「高く評価する」と表明している。
これらの日本政府高官の言動は、トランプ大統領に対する「日朝国交正常化はまだムリ」というシグナルだった可能性が高い。
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トランプ米大統領の書簡全文 [日経新聞]
2018/5/25 1:24
米ホワイトハウスが公表したトランプ米大統領による北朝鮮の金正恩委員長宛の書簡全文は次の通り。
シンガポールで6月12日に開催予定となっていた、双方が長いこと求めてきた首脳会談に関する最近の折衝と協議へのあなたの時間、忍耐、努力に本当に感謝する。会談は北朝鮮によって要請されたと伝えられていたが、それは我々には全く関係のないことだ。私はあなたと会談に参加することを非常に楽しみにしていた。
残念なことに、直近のあなた方の声明に表れた激しい怒りとあらわな敵意に鑑み、私は現時点ではこの長く計画してきた会談を実施するのは不適切だと感じる。よって、この書簡をもって、双方のために、しかし世界にとっては損害となるが、シンガポールでの首脳会談は実施しないと表明する。あなたは自分の核戦力について語るが、米国の核兵力はあまりにも大規模で強力で、私はそれが決して使われずに済むことを神に祈っている。
私はあなたと私の間で素晴らしい対話が築かれつつあると感じていた。そして究極的には、重要なのはその対話だけだ。いつの日か、私はあなたと会うことを非常に楽しみにしている。一方、(米国人の)人質解放に感謝する。彼らはいま家で家族とともにある。素晴らしい意思表示で、非常に感謝している。
この最も重要な首脳会談について考え直すことがあったら、遠慮なく私に電話するか手紙を書いてほしい。世界、そして特に北朝鮮は、永続する平和、素晴らしい繁栄と富の大きな機会を失った。この逃した好機は歴史における真に悲しむべき瞬間だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30947620V20C18A5EA1000/
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