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5月 21, 2018
<全国の大学の教員のうち約半数は非常勤で、常勤の専任教員も約4分の1が「特任」「特命」などの形で任期付き雇用となっていることが、朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」で分かった。一般企業と同様、非正規や有期雇用が増えている形で、教育や研究の安定とともに、こうした教員の処遇が今後の課題となりそうだ。
調査は昨年、国公私立大751校を対象に実施した。この質問に回答した659校の教員をみると、本務者(専任教員)は16万9458人、兼務者(非常勤教員)は延べ16万9164人でほぼ同数。ただ、非常勤教員は複数の大学をかけ持ちしている例もあり、延べ人数となる。また、専任教員のうち、任期付きは4万4401人だった。任期なしの専任教員は12万5057人で、全体に占める割合は約36・9%だった>(以上「朝日新聞」より引用)
全国の大学の教員のうち約半数は非常勤で、常勤の専任教員も約4分の1が「特任」「特命」などの形で任期付き雇用ということは大学教育に当たっている教官の過半数が常勤でないことだ。日本の未来に対して由々しき事態だ。
企業で研究開発投資を怠れば必ず業績が低下して企業競争力を失い業界から脱落する事態を招来する。それは日本の家電業界を見るまでもなく、明白なことだ。
産業界のみならず医薬品業界にとっても基礎研究を行う大学は非常に重い存在だ。しかし国立大学の「独立行政法人化」により経営効率を求められ、経営効率の一環として常勤の教官を非常勤に置き換えてきた。それがいかなる結果を招くか、近未来に分かるだろう。
日本の研究・開発投資が低下していると懸念されている。今後は現在のペースで物理・化学の分野でノーベル賞を日本の研究者が受賞しているのは無理であろうと、当のノーベル受賞者たちが口を揃えている。
すべてにおいて効率化を求めるのは間違いだ。行政に経営感覚を導入する、などと叫ぶ地方自治体の首長や議会候補者を見掛けるが、そもそも地方自治体が存在するのは企業化するのが相応しくない社会的な部門があるからだ。
たとえば警察や消防署は行政効率化に馴染まない。事件がないから警察官を削減するとか、火事が少ないから消防署員定数を削減する、ということにはならない。不要不急と思われる定員でも確保して、非常事態に備えるのが警察署や消防署だ。そうした議論は日本へ侵攻する他国がいないから自衛隊を廃止すると飛躍するのは危険だというのと同じだ。
研究開発に携わり学生を指導する大学教官は非常勤で良い、という議論は「独立行政法人」としては極めて自然な議論の帰結なのだろうが、そもそも大学を「独立行政法人」とするのが間違っている。
教育とはきわめて非効率なものだ。生徒の能力にバラツキの大きい「全入」の義務教育ではなおさらだ。その義務教育で担任と別に副担任を置くなどと教育現場は私たちがギューギューの詰め込み学級で一人の教諭が担任だった当時とは格段に改善されている。
それにも拘らず、最高学府の大学教育で政府が手抜きをするのは解せない。大学に進学する若者の数も頭打ちとなり、確かに私学は駅弁大学といわれるほど地方にもくまなく乱立しているが、国立大学は入学定員を減少させている。
従って学生定員に合わせて雇用する国立大学が研究者の数を減らしているのも当然だとしても、さらに常勤を削減して非常勤で賄っているのは解せない。むしろ大学の定員を大きく割っている私立大学や、大学生の過半数が「留学生」という何処の国の大学か判らない私立大学こそ「経営」なのだろうから、厳しく峻別すべきではないだろうか。
国立大学を経営感覚で運営すべきと決めて「独立行政法人」とした日本政府のあり方も含めて「経営効率」だけを求めるのは間違いだ。官邸密室政治に堕した安倍自公政権を見るまでもなく、効率化はともすれば民主的手続きを省きトップの暴走を招く。
大学の研究開発は「成果主義」に馴染まない。その反面、一本も論文を書いていないタレントが人寄せパンダとして私学などの教授に就任しているのも、大学教育としてどうなのか疑問を持たざるを得ない。
大学は高等学校までも「教育」とはまるで異なる。大学では研究のための手続きや研究のための学問のありり方などや、研究のために対象をいかに「学問する」かを学ぶところだ。つまり教官が研究・開発に臨む姿勢そのものが「大学教育」だ。
臨時職の教官でそうした姿勢を学生たちに見せることが可能だろうか。効率化はともすれば他人の研究論文やデータの「コピペ」を招来し、盗用を招きかねない。研究手順を一つ一つ再現して研究を確認する手間暇こそが「研究」の第一歩だという「非効率」を是認した上での大学のあり方の議論でなければならない。
私は今からでも遅くない、日本の未来に禍根を残したくないなら「独立行政法人」化した国立大学を元の国立大学に戻して、従来の国立大学予算を復活させるべきだ、と提言する。大学教育は行政効率に馴染まないし、馴染ませるべきでもない。
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