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「潔さなきタックルとその後
コラム狙撃兵2018年5月18日
ひどいタックルをかまして物議を醸している日大アメフト部の学生は、その後「監督の指示だった…」と周囲に漏らしているのだという。一方で、試合前にこの選手に対して「相手QBを壊してこい」「やるなら(試合に)出してやる」と反則行為を促すような発言をしたとされる監督は、「反則行為を意図的に指示したことはない」と主張し、大学側は「指導と選手の受け止め方の乖離が問題の本質」なのだとコメントを出した。立場の弱い学生が真相を表だって口にすることもできぬまま処分され、指示を出したとされる側は知らぬ存ぜぬをやっている光景が、何だか国会とそっくりのように思えてならない。組織の統治の在り方や、危機管理への対応、自己防御の反射神経に共通のものを感じるからだ。
これが安倍政府なら、「私や妻がこの国有地払い下げ(タックル)に、もちろん事務所(大学)も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理(監督)も国会議員(日大理事)もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と言い出すのだろうと、言葉を置き換えて想像してしまう。そして、権力を持っている者の言動に合わせてナンバー2あたりが「どの組織だって改ざん(タックル)はありえる話だ。会社だってどこだって、ああいうことをやろうと思えば個人の問題でしょうから」「改ざん(悪質なタックル)が組織全体で日常茶飯事で行われているということは全くない。そういった意味では、個人の資質とか、そういったものが大きかったのではないか」などと開き直りそうな気すらさせるのである。つくづく、あの手のはぐらかしの作法が蔓延してはならないと思う。
どの組織においても、トップの自己防衛にために「あいつ(選手)が勝手にやった」で処理される下部の気持ちやいかばかりかと察する。とはいえ実行したのは本人で、試合に出たいがためにあのような危険なタックルをかましたのであれば批判は免れない。「監督の指示だったから」といって何ら思考することなく盲目的に実行したのであれば、それもまた上意下達の産物として考え物である。
日大には、末端選手の尻尾切りではなく、スポーツ精神に則って誠実な対応をしてもらいたいものである。あの後ろから不意を突くタックルそのものが卑怯だが、まず第一に相手選手を気遣うことができなければはじまらない。学生スポーツに首を突っ込んで、外野席からやんやと騒ぎ立てるつもりはないけれど、潔さも大切であると思う。
吉田充春」
https://www.chosyu-journal.jp/column/8048
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