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新聞社、「押し紙」隠蔽の実態…販売店の申告を公取委は無視、是正なら新聞業界再編も
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23275.html
2018.05.09 文=小山内未果/弁護士 Business Journal
佐賀新聞本社社屋(「Wikipedia」より/Fullcap)
5月8日付記事『新聞社の「押し紙」、公取委が放置で販売店を見殺しに…部数水増しなら詐欺行為』では、新聞社による新聞販売店(以下、販売店)への「押し紙」の実態についてお伝えした。押し紙は独占禁止法で禁止されている違法行為であるにもかかわらず、取り締まるはずの公正取引委員会(以下、公取委)はまったく動かないのが現状だ。
販売店から申告があった際、公取委が適切に新聞社への調査を行っていれば、押し紙は是正されるはずである。公取委は、営業所などへの立入検査、関係書類の提出命令、出頭命令、事情聴取、そのほかに独禁法47条所定の調査権限が与えられており、新聞社の販売局やそのほかの販売店にも調査を行うことができる。いつどのように立ち入り調査を行うかなどは、公取委の判断次第なのだ。
仮に突然、公取委が販売店や販売局に対して調査を行えば、一定の効果があるはずだ。販売局から極秘資料が見つかるかもしれないし、調査対象以外の販売店から供述が得られる可能性もある。
ただ、新聞社側は普段から偽装工作をしているようだ。最たるものは、二重帳簿の作成である。実は、新聞業界内部でも第三者機関による販売店への立ち入り調査が行われているが、調査の時期と対象の販売店は事前に新聞社側の知るところになっているという。そして、調査の時期になると、新聞社の指導によって対象の販売店は事前に偽の顧客名簿や領収書などを作成して調査を待つというのだ。つまり、二重帳簿をつくって調査をやり過ごしているのである。筆者は、こうした事情を販売店関係者から聞いたことがある。
少なくとも、公取委は新聞社に対して、申告があった販売店への押し紙を認定するべきだ。そうした動きを続ければ、押し紙を強いられている販売店も倒産の憂き目に遭う前に公取委に申告して被害を抑えると共に、新聞社にダメージを与えることができるようになる。そして、「公取委への申告によって押し紙が是正される」という実例が積み重なれば、販売店にとっては大きな勇気になる。そもそも、それが本来あるべき公取委の姿勢といえるのだが……。
■「販売店からの自発的な注文」を偽装する新聞社
一方、押し紙の摘発は証拠上も難しい側面があるため、公取委が調査に慎重であること自体は必ずしも不適切というわけではない。たとえば、注文部数はあくまでも販売店側の意思に基づいたものとするために、販売店主が注文票に注文部数を書いて「販売店が自発的に注文している」という体裁を取っている。
しかし、実際には新聞社の販売局の社員が各販売店に所定の部数を書くように指導していたり、新聞社が年度ごとに(押し紙が含まれた)目標部数を販売店に提出させて、その数字通りに注文させたりしている。
押し紙に関する訴訟では、こういった点を論拠に「販売店が自発的に注文したものであり、新聞社による押し紙とはいえない」などの反論に遭うため、販売店側は非常に苦労している。これに対して、販売店側の武器となる証拠は、新聞社から注文部数を指導されたときなどの音声データである場合が多い。
■新聞業界から献金…政治家も動かない現状
では、現在の公取委の姿勢を変えることができるのだろうか。筆者は、できると思う。行政機関である以上、公取委も国会の監督を受ける立場にあるからだ。そのため、衆議院の経済産業委員会で質問をしたり質問趣意書を提出したりする方法がある。以下は、質問の一例だ。
(1)「公正取引委員会が販売店から押し紙の申告あるいは情報提供を受けた件数は何件か」
(2)「そのうち、実際に調査を行った件数は何件か」
(3)「実際に調査を行った件数のうち、実際に新聞社に対し聞き取りを行った件数は何件か」
(4)「公正取引委員会が新聞社に対して行政処分を行った件数は何件か」
しかし、ここにも問題がある。政治家は押し紙について無関心なのだ。彼らが国会で公取委の姿勢をただせば押し紙の調査と摘発が進み、結果的に新聞社に多大なダメージが与えられる。しかし、そうした事実に気付いていないのではないだろうか。もはや「公取委が押し紙という違法行為を調査し、場合によっては行政処分を行う国家組織だということを知らないのでは」とすら思えてくる。
特に残念なのは保守派の政治家だ。押し紙の実情を知る弁護士という立場から見て、新聞社が“マスゴミ”であることに異論はない。それだけに、主義主張の如何を問わずに「偏向報道をただす」と息巻く保守系政治家には期待していたのだが、彼らは威勢のいいことを言うばかりで実際には何もしていない。
押し紙が是正されれば、新聞業界は再編を余儀なくされるといわれている。販売店のなかにも、押し紙で有名な某新聞社に確実にダメージを与える証拠を持っているところはあるはずだ。しかも、押し紙は違法行為であるため「言論弾圧だ」などと反論されることもない。それにもかかわらず、政治家が傍観しているのはなぜなのだろうか。
保守派を名乗る政治家は、実際には既得権益に戦いを挑む勇気がないのかもしれない。新聞業界から与党政治家への献金も確認されており、「保守政治家と新聞は、いわばプロレスのような関係か」と勘繰りたくもなる。支持者の手前、新聞も政治家も表向きは激しく言い争うが、実際は相互依存のような関係になっており、決定的な衝突は避けているように見える。
先述した通り、販売店から申告を受けても公取委が調査をしない現状がある。そうした実態について、政治家が公取委に対してヒアリングを行い積極的な対応を迫ることが、押し紙を是正するための一助になることは明らかだ。
■注目される、佐賀新聞の押し紙訴訟
新聞社が押し紙を行っていることを証明するような事例がある。佐賀新聞の販売店が弁護士を代理人として発行元の佐賀新聞社に訴訟を起こしており、公取委に対して緊急停止命令の発令を求めているのだ。おおまかな事件の概要は 以下の通りである(消費者法ニュース112号337頁以下)。
1.販売店が弁護士を代理人として、注文部数を減らして注文をした
2.これに対して、佐賀新聞社が注文部数以上の部数を送りつけた
3.販売店は、新聞社が送りつけてきた注文部数を超える注文代金相当額の支払いを拒絶した
4.佐賀新聞社が販売店に対して販売店契約を更新しなかった(販売店として認めないという意思表示)
5.販売店が、販売店の地位があることの確認を求めて提訴した
まさに、絵に描いたような押し紙の事例に見える。この裁判では、すでに契約の更新を認める仮処分が二度出ている(佐賀地裁平成29年3月29日決定、同平成30年3月30日決定)。
すでに弁護団は公取委に申告を行っている。あとは公取委がいつ動くのか、あるいは動かないのか。それを確認する絶好の機会である。
(文=小山内未果/弁護士)
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