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2018年版 報道の自由ランキング
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2018.05.08 韓国通信NO555 小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人) リベラル21
<日本5位上昇して67位、韓国20位上昇して43位>
4月25日発表された国境なき記者団(RSF)による「2018世界報道自由ランキング」結果である。
韓国の過去最高は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府当時の31位、最低は2016年朴槿恵時代の70位だった。日本の過去最高が2010年の民主党政権時11位だったことを考えると、今回やや順位を上げたとはいえ67位は「中後進国」なみだ。オリンピックや天皇退位問題や株価などにうつつを抜かしている場合ではない。報道の自由は民主主義の根幹にかかわる問題だ。
韓国は「ローソク革命」による民主化の進展が評価された。日本は政権の「恫喝」による報道の「萎縮」「忖度」、閉鎖的な記者クラブの存在が減点になったと思われる。ランキングはあくまでも相対評価だが、「秘密保護法」など報道の自由に対する壁が国際的に「問題あり」と評価された。
<マスコミは南北首脳会談をどう伝えたのか>
「板門店宣言」が発表された翌日28日の読売新聞は、一面見出しで「『半島の完全な非核化』合意」、さらに「板門店宣言具体策なし」、二面で「日米 警戒崩さず」「拉致 発表で言及なし」、三面では「非核化 米朝に委ねる」「南北首脳 融和を優先。」、さらに三面社説では「非核化の道筋はまだ見えない」と続いた。朝日新聞の一面は「南北『完全な非核化目標』」「非核化具体策示されず」、二面は「米朝会談へまず一歩」、「南北首脳。融和を演出」「非核化巡り北朝鮮譲らず」、三面では「日米中 期待と疑念」「日本、拉致やミサイル放棄注視」と大きく伝えた。
南北会談の模様は朝からテレビで中継され多くの人が見た。つい数か月前までの北朝鮮とアメリカの動きからは想像できない展開に、驚き、感動した人も多いはず。しかし朝日、読売の見出しからもわかるように、またテレビの報道でもどこか「冷めた」あるいは「醒めた」雰囲気があった。
<もっともな「批判」だが、「的外れ」>
「宣言」では非核化への具体策は語られていない。安倍首相が文大統領に頼んだ拉致問題も触れられていない。たしかにそうだが、日本に不満を語る資格はあるのか。
日本、アメリカ、韓国にとって北の核問題は、また全世界にとっても一大関心事だった。しかし、アメリカと日本が制裁と戦争も辞さない強硬姿勢をとるなか、韓国は対話も重視する姿勢を取り続けた。昨年、韓国の北への人道支援に対し日米が口を揃えて批判したことは記憶に新しい。平昌オリンピックへの共同参加と北の核廃棄への動きがきっかけで対話が始まった。朴槿恵前政権では考えられないことだった。半島の非核化は実現に向けてテーブルについたばかりだ。目標は非核化を含め、分断の克服、平和共存である。そのために必要な信頼関係を築くための具体策が「宣言」のなかに盛り込まれた。
韓国政府の働きかけによって米朝会談が開かれることになり、制裁一本やりの日本は大恥をかいたばかりか出る幕がなくなった。文在寅大統領の努力にぶらさがり、始まったばかりの交渉に「検証可能で不可逆的な完全な非核化」という原則をふりかざすばかりで、無能な政府から期待を持たされた拉致被害者家族たちを落胆させた。
素直に「板門店宣言」を読んでみたい。かつてない平和への意思が具体的に感じられるはずだ。自分の目で確かめたくて、歴史的な「宣言」全文を翻訳してみた。表現として「〜をすることにした」という表現から、努力するというニュアンスを感じ取った。具体性に欠けるという批判にかかわらず報道されていない、さまざまな提案が行われていることにも気づくはずだ。拉致問題以外の話し合いを拒否して朝鮮総連、朝鮮民族学校への敵視を続けてきた日本政府が「非核化」「拉致問題」の解決を、端緒についたばかりの対話に期待するのは「ムシ」がよすぎはしないか。政府の怠慢を棚に上げ、朝日も読売も政府の姿勢に「忖度」した。
<北朝鮮と韓国の巧みな「演出」>
今回の首脳会議には全世界の注目が集まった。一触即発の核戦争の危機を回避した奇跡的な首脳会談の模様が生放送で世界に送られた。韓国と北朝鮮合作による「ドラマ」のように見えた。嘘っぽい「演出」だと批判する人もいる。しかし私にはしたたかな計算を感じないではいられない。
北朝鮮の「承認」と南北融和に決定権を持つのは残念ながらアメリカである。北が核の放棄を決意し、韓国との融和を図ろうとしてもトランプ大統領が「NO」といえば水泡に帰す。「ノーベル平和賞」という声にまんざらでもないトランプだが、気が変わることは十分ありえる。「宣言」にある「国際社会の支持を得るための努力」は世界世論に訴えてでも南北間の平和と統一を達成しようとする両国の強い意志が感じられる。
「板門店宣言」を否定するなら、全世界からアメリカは指弾を受けるはずだ。祖国統一を否定するなら韓国内の反発が広がり、一挙に韓米条約破棄に進むことも予想される。アメリカ次第の北朝鮮と韓国というこれまでの構図を打ち破るための巧みな演出が仕組まれた。北と南の話しあい路線に後戻りはないという強いメッセージを世界に伝えた。もはやトランプ大統領が米朝会談を拒否する余地はなくなったと云える。NOならば日米は国際的に孤立するだけだ。
<今こそ「核兵器禁止条約」へ>
北朝鮮を含め核保有国は9ヵ国。10000発以上の核を保有している。保有国のうち廃棄を宣言したのは北朝鮮だけ。北朝鮮の核を理由に核兵器禁止条約に反対した日本は禁止条約に加盟するのだろうか。北朝鮮と韓国は加盟するはずだ。北朝鮮に核の放棄を求めた核保有大国アメリカとアメリカによる核抑止力を理由に反対した日本は世界に向けて何と説明するのだろうか。
<北朝鮮はウソつきか>
「北朝鮮はウソばかりつく」といわれる。いつどのようなウソをついたのか。韓国、アメリカと北朝鮮の間で、これまでさまざまな「宣言」「合意」が繰り返され、反故にされたのも事実。政権の当事者が変わり、外部の干渉もあった。しかし北朝鮮だけがウソつきと決めつけるのは明らかに間違いだ。
1994年の米朝合意のブッシュ大統領による破棄、廬武鉉政権時代の10.3合意(2017)が李明博韓国政府による破棄などがその例だ。日本と北朝鮮は、「ウソのつき合い」という表現が正しい。2002年に拉致被害者5人が一時帰国した際に北朝鮮との約束を破って帰国させなかった。亡くなったといわれる横田めぐみさんの遺骨がDNA鑑定で別人のものと判明したことなどがそれだ。日本では根拠のない一方的な北朝鮮への不信感が流布され、増幅されてきた。
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